Nicotto Town



『精霊の世界、星の記憶』 第7話「風の精霊」①

第二章 アプリコットの野


「風の精霊」


 紅い花、黄色い花、青い花、紫色の花……と、お花畑には何種類ものいろいろな花が、美しく可憐に咲いていた。

星史は二日間、シルビアと歌を歌ったり、時々休みながら歩いてきた。

皮のようになめらかなスエードの葉の袋の水は、もう少なくなっていた。

シリンダの森の水はとてもやわらかくって、冷たくおいしかった。

スエードの葉は水を冷たいまま保存できるようだった。

ピシャの葉の袋の木の実は、まだけっこう残っている。

お花畑では、シルビアが花の蜜を採ってくれたり、花粉団子を作ってくれた。

花粉団子はもっちりふわふわで、ほんのり甘いお菓子だった。

 先ほどから、シルビアは誰かとしきりに楽しそうに話していた。

姿が見えないのでよくわからないが、声からそれは女の子だということだけわかっていた。

話の内容はたぶん精霊語なので、全くわからなかった。

――シルビアには見えているんだろうなぁ。女の子みたいだけど、どんな子なんだろう?

と星史はいろいろ想像し始めた。

――ぼくと同じくらいの子かな?ちょっと上かな? 髪の色は? 瞳の色は、うーん青かな?サファイアみたいな……深い青色だったら、すごくきれいなんだろうなぁ。声がさわやかで透き通っているから、アクアマリンのような青色もいいかもしれない。明るい緑色、ぺリドット・グリーンもいいなぁ。

星史がいろいろ空想をふくらませていると、突然知っている言葉、日本語で、

「セイジ、びっくりしないでね! シルクがね、今、形をとる、姿を現すから」

とシルビアが言った。

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