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■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳(4)

■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳 (一)(4)

當時大學に於て同氣相交つたのが前に言つたブョルンソンの外、ヴヰヌヱ[#「ヰ」は小文字]。ボッテン、ハンセンなどいふ青年氣鋭の人々で、此等の一群は相謀つて文壇に新旗幟を樹てんが爲め『アンヅリムナー』(Andhrimner)と題する週刊の文藝新聞を出した。それが千八百五十一年の事であつたが、九ヶ月許りで廢刊した。英の批評家ゴッス氏は之を以て夫のラファエル前派の人々が始めて新文藝を唱へんとして發行した雜誌『ジャーム』(Germ)と同じ不幸の運命に陥つたものと評してゐる。『ジャーム』は今は倫敦の博物館内の圖書館などに貴重書の内として保存せられてゐるが、右の『アンヅリムナー』も今では容易に見當らぬ珍籍となつてゐるといふ。



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*註1:交つた
「交」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kou_majiwaru.jpg

*註2:前に
「前」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen_mae.jpg

*註3:ヴヰヌヱ[#「ヰ」は小文字]
オースムン・オラヴソン・ヴィニエ(Aasmund Olavsson Vinje/1818年〜1870年)のこと。後にジャーナリスト、詩人、エッセイストと活躍。

*註4:ボッテン、ハンセン
ポール・ボッテン=ハンセン(Paul Botten-Hansen/1824年〜1869年)のこと。後に作家として活躍。

*註5:青年
「青」の正字体。「月」は「円」。

*註6:氣鋭
「鋭」の旧字体。旁は「兌」。

*註7:文壇・文藝
「文」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bun_aya.jpg

*註8:旗幟
「幟」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/shi_nobori.jpg

*註9:『アンヅリムナー』(Andhrimner)
1851年の1月〜9月まで出版された諷刺週刊紙。「Andhrimner」は北欧神話に出て来るAndhrimnir(アンドフリームニル=古ノルド語で「すすけた者」の意)をもじった造語かと思われる。よってカタカナ表記も『アンドフリームナー』が近いのかもしれないが、原本のままとした。
(*追記:『イプセン・ハンドブック』(在日ノルウェー王国大使館・刊)によると「Andhrimner」のカタカナ表記は「アンリムネル」となっている。原語もこれが最も近いものと思われる)

*註10:週刊
「週」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註11:批評家・評して
「評」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hyou.jpg

*註12:ゴッス
エドマンド・ウィリアム・ゴス(Edmund William Gosse/1849年〜1928年)のこと。イギリスの詩人、批評家。

*註13:運命
「運」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註14:博物館内・貴重書の内
「内」の旧字体。「冂(=エンガマエ)」+「入」。

*註15:圖書館
「館」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kan_yakata.jpg

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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1

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2011/05/04 14:56
(o´ノωノ`o)こんにち・・ヽ(o´・∀・`o)ノわぁ♪

暑い日ですね。だるだるだよ

博物館で見れないのみたい



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