Nicotto Town



『精霊の世界、星の記憶』 第6話「花たちの歌」②

星史は恥ずかしくなって、耳までぽっと赤く染めた。

「セイジ、それ、英語の歌よね?!」

「うん、そうだよ」

「何だか、すごく楽しい歌ね!」

「うん、そうだね……」

と言いながら、星史はお母さんが言っていた言葉を思い出した。

「お母さんがね、『哀しいときやつらいときは、楽しいことを考えましょうね』って、よく歌っていた歌なんだ」

と星史が言うと、

「えっ、そうなの?」

とシルビアの言葉が意外な音で発せられて返ってきた。

「セイジ、今、かなしい?……つらいの?」

と曇ったような表情で、シルビアが続けて言葉をつないだ。

星史はシルビアに向けてにっこり笑いながら、

「全然、全然だよ。すごく楽しいよ!」

と言うと、シルビアが、

「本当に?」

と聞いてきた。その言葉に星史は深くうなづいた。

「楽しいから、楽しい歌を思い出したんだ。この歌はね、『My Favorite Things(マイ・フェバリット・シングズ)』っていう歌なんだ。『わたしのお気に入り』っていう意味。お母さんはフランスの人だけど、『サウンド・オブ・ミュージック』っていう映画が大好きで、よく見てた。でね、この歌が特に好きだったんだ」

「そうだったのね」

とシルビアは大きな目をさらに大きくして言った。

「その歌、教えてくれる?」

「もちろんだよ。ぼくもさぁ、ずっとこのお花畑で流れている歌をおしえてほしいなぁと思っていたんだ。シルビア、教えてくれる?」

「花たちの歌ね。ええ、もちろんよ! でも、日本語にしてね」

と言って右目を可愛らしくウインクした。

そして二人は同時に笑い出した。

星史は「歌詞の内容は意味不明だけど、でもお気に入りだから、それでいいよね」と笑いながら、シルビアに歌を教えていった。

シルビアはすぐに覚えて、歌いながら踊りだしていた。

「今度は、わたしが教えてあげるわ!『花のワルト?』じゃなくって、えーと『花のワルツ』よ!」

と顔をちょっと染めながら言い、シルビアは温もりを持った優しく美しい声で歌い始めた。

お花畑の花たちが歌う歌を……。


  まわれ まわれ

  花のまわりを

  風といっしょに

  まわれ まわれ

  たのしいワルツ

  花のワルツ

  さぁ いっしょに

  おどりましょう


  まわれ まわれ

  花のまわりを

  雲といっしょに

  まわれ まわれ

  にぎやかワルツ

  花のワルツ

  さぁ いっしょに

  おどりましょう

  

  あか あお しろ

  むらさき きいろ

  おれんじ ぴんく

  なないろの花園で

  おどろう おどろう

  花のワルツ


星史は花たちと一緒に歌うシルビアの歌に、お母さんと過ごした木漏れ日のような記憶を思い出していた。

#日記広場:自作小説

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2011/04/28 21:41
>若草さんへ

こんばんは!(^-^)/
とても嬉しいコメント、どうもありがとうございます☆(=⌒▽⌒=)

花のワルツ、とても楽しい歌です♪
一緒に歌えたら、きっと楽しいと思います^^
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2011/04/28 00:32
花のワルツの詩とても楽しい気分にさせられます
シルビアと花たちの歌声を聞いて一緒に歌いたいですね^^



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