童話 現代ver.
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/27 17:32:11
<ありときりぎりす>
ありは、冬に備えて、必死にえさを運んでいます。
その横できりぎりすは、呑気に歌を歌っていました。
「そんなに呑気にしてると、冬に凍え死んでしまうぞ。」
と、ありが忠告しても、知らん顔。
ありも、こんなやつにかまっている暇はない、というようにせっせと行ってしまいました。
冬が近くなっても、きりぎりすは歌っていました。
でも、外で歌っているのではありません。
ライブ会場で、10万人の観客の中、ステージに立って歌っているのです。
何があったかと言うと、ありたちが行ってしまった後も歌っていたきりぎりすは、
スカウトされ、短期間で売れに売れ、こんな広い会場で歌えるまでになったという訳です。
かなりの収入があったきりぎりすは、暖房のきいた豪華な部屋で、
食料も乏しいありたちは、寒い巣の中で、
冬を過ごしましたとさ。
―――おしまい―――
いきなり失礼致します。
苦労しても報われない……現実ってやっぱりそういうものなのですね……