みーちゃん ~別れは突然に~
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/25 19:58:30
(あれぇ?ここどこ?)
少女が目を覚ましたのは、自分の部屋ではなかった。
何かふわふわとした、丸い物に乗って浮かんでいる。
「おきた?」
足元から声がした。
びっくりした少女は、声がした足元を見た。
そこにいたのは、こっちをじっと見つめている、みーちゃんだった。
「僕を助けてくれてありがとう。 おかげで、猫界に戻れる」
「・・・・・ねえ、みーちゃん、猫界って何? それと、ここどこ?」
みーちゃんは、ゆっくりと話し始めた。
ここはね、人間界の出口から、猫界の入り口までの道なんだ。
おもに、猫界を追放された猫たちが通る道さ。
そう、僕も猫界を追放された一匹の猫なんだ。
僕は、三毛猫の雄だから、とっても高い地位の猫だった。
でも、それをいいことに、僕は贅沢をし始めた。天下りってやつだね。
大切な税金を使って、おいしい物を食べに行ったり、
自分より身分が低い猫をこき使ったりもした。
ある日、そんな僕に罰が下りた。
けがを負わされ、人間界に下ろされたんだ。
猫界に戻る方法はたった一つ
「人間に拾ってもらうこと。」
僕みたいな猫が、拾われるはずがない。
そう思って、諦めていたんだ。
でも、君が来てくれた。
「本当にありがとう。」
少し涙をためながら、みーちゃんが笑った。
~END~