魔女達の宴 ―白銀キ狼ノ書―
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/22 22:35:45
第一章 #-2 狼
昔々あるところに、小さな町がありました。
豊かな緑と自然に囲まれた町は、いつも活気に溢れていました。
――あの日までは。
「…俺たちはもうお終いだ……」
「暗いよぅ…寒いよぅ…お腹が減ったよぅ…」
「なぜ神は我々を見捨てたのですか!」
いつしか、溢れる活気は、切れた傷口から噴き出る血のような嘆きと哀しみに変わり、
町を照らしていた太陽は氷のように凍てついた白い輝く月へ変わってしまいました。
もう町に、陽は出ません。
決して明けない夜が、永遠に続くのです。
「お外に出たいよぅ…太陽の下に出たいよぅ」
子供達が泣き、
「いやよ!!うちの子を返してぇぇええぇえ!!!!!」
大人たちが叫びます。
真っ暗な闇の中に光る、一対の紅い瞳。
それは町の人々を喰らう狼。
白い月に照らされて、灰色狼の毛が、白銀に輝きます。
そして今宵も、狼の遠吠えと人々の悲鳴が、響き渡るのです。
そんな、真っ暗な世界で。
一人の少女が立ち上がりました。
町を襲う狼を、退治しようと言い出したのです。
勿論、みんなは、
「馬鹿か!死にたいのか?!」
「外に出るなんて絶対に駄目よ!!」
猛反対です。
でも少女は、みんなの制止を振り切って、ある日とうとう、家の外に出るのです。
静かな、静かな路地裏。
物音一つしないその不気味さに、少女は身震いしました。
狼に見つからないうちに、早く行かなければいけません。
唯一の頼みの綱、丘の向こうに住む、少女の友達の物知りな年寄り“狼”。
きっと彼に聞けば、何か解決策があるに違いありません。
そっと町を抜け出すと、少女は一心不乱に走りました。
早くしなければ。今宵の血が、流されないうちに。
「狼さん!」
木一本生えていないだだっ広い緑の丘。
少女は彼を呼びました。
彼は丘の向こうから、ゆっくりと少女の元へ歩いてきました。
まるで少女を待っていたかのように。
「なんだい、私の小さなお友達さん」
しわがれた老人のような声で、狼は返事をしました。
「町が、悪い狼さんに襲われてるの。助けて、狼さん」
泣きそうな顔で、少女は狼に抱きついて言いました。
「それは大変だ。今すぐ助けに行ってあげよう」
狼は少女の願いを快く受け入れました。
「本当?!」
「勿論。私はお友達さんのお願いを聴いてあげたい。だけどね、」
狼は、前足で少女を遠ざけて、哀しそうな声でこう言いました。
「私は本来、人間を助けるわけにはいかない、悪魔のお使いなんだよ。
だから私は、お友達さんを助けるために、“生贄”が必要なんだ」
ですが少女は、きっぱりとその狼の言葉を跳ね返しました。
「だったら、私がその生贄になる!お願い、町を、みんなを助けて!」
狼は少女と長いこと見つめあいました。
やがて、
「分った。町を、助けよう」
約束どおり老狼は、たくさんの仲間を連れて、町を襲う悪い狼を倒し、町を救いました。
闇は消え、温かな日の光が差し込みました。
白い月は優しく夜を照らす黄色い月に戻り、太陽が帰ってきました。
町には再び活気が溢れ出し、子供達は走り回り、
大人たちは笑いながら仕事に戻りました。
ですが、町に少女の姿はありませんでした。
誰も少女が居なくなったことに、気づきません。
優しい黄色い月が照らす夜の町。
遠くから、狼の遠吠えが聴こえます。
それはなにかを悲しむような、とても哀しい、遠吠えでした。
昔々あるところに、小さな町がありました。
豊かな緑と自然に囲まれた町は、いつも活気に溢れていました。
――あの日までは。
「…俺たちはもうお終いだ……」
「暗いよぅ…寒いよぅ…お腹が減ったよぅ…」
「なぜ神は我々を見捨てたのですか!」
いつしか、溢れる活気は、切れた傷口から噴き出る血のような嘆きと哀しみに変わり、
町を照らしていた太陽は氷のように凍てついた白い輝く月へ変わってしまいました。
もう町に、陽は出ません。
決して明けない夜が、永遠に続くのです。
「お外に出たいよぅ…太陽の下に出たいよぅ」
子供達が泣き、
「いやよ!!うちの子を返してぇぇええぇえ!!!!!」
大人たちが叫びます。
真っ暗な闇の中に光る、一対の紅い瞳。
それは町の人々を喰らう狼。
白い月に照らされて、灰色狼の毛が、白銀に輝きます。
そして今宵も、狼の遠吠えと人々の悲鳴が、響き渡るのです。
そんな、真っ暗な世界で。
一人の少女が立ち上がりました。
町を襲う狼を、退治しようと言い出したのです。
勿論、みんなは、
「馬鹿か!死にたいのか?!」
「外に出るなんて絶対に駄目よ!!」
猛反対です。
でも少女は、みんなの制止を振り切って、ある日とうとう、家の外に出るのです。
静かな、静かな路地裏。
物音一つしないその不気味さに、少女は身震いしました。
狼に見つからないうちに、早く行かなければいけません。
唯一の頼みの綱、丘の向こうに住む、少女の友達の物知りな年寄り“狼”。
きっと彼に聞けば、何か解決策があるに違いありません。
そっと町を抜け出すと、少女は一心不乱に走りました。
早くしなければ。今宵の血が、流されないうちに。
「狼さん!」
木一本生えていないだだっ広い緑の丘。
少女は彼を呼びました。
彼は丘の向こうから、ゆっくりと少女の元へ歩いてきました。
まるで少女を待っていたかのように。
「なんだい、私の小さなお友達さん」
しわがれた老人のような声で、狼は返事をしました。
「町が、悪い狼さんに襲われてるの。助けて、狼さん」
泣きそうな顔で、少女は狼に抱きついて言いました。
「それは大変だ。今すぐ助けに行ってあげよう」
狼は少女の願いを快く受け入れました。
「本当?!」
「勿論。私はお友達さんのお願いを聴いてあげたい。だけどね、」
狼は、前足で少女を遠ざけて、哀しそうな声でこう言いました。
「私は本来、人間を助けるわけにはいかない、悪魔のお使いなんだよ。
だから私は、お友達さんを助けるために、“生贄”が必要なんだ」
ですが少女は、きっぱりとその狼の言葉を跳ね返しました。
「だったら、私がその生贄になる!お願い、町を、みんなを助けて!」
狼は少女と長いこと見つめあいました。
やがて、
「分った。町を、助けよう」
約束どおり老狼は、たくさんの仲間を連れて、町を襲う悪い狼を倒し、町を救いました。
闇は消え、温かな日の光が差し込みました。
白い月は優しく夜を照らす黄色い月に戻り、太陽が帰ってきました。
町には再び活気が溢れ出し、子供達は走り回り、
大人たちは笑いながら仕事に戻りました。
ですが、町に少女の姿はありませんでした。
誰も少女が居なくなったことに、気づきません。
優しい黄色い月が照らす夜の町。
遠くから、狼の遠吠えが聴こえます。
それはなにかを悲しむような、とても哀しい、遠吠えでした。
とても楽しいです。ファンタジー大好きなので、こんな素敵な作品が読めてよかったですv
3がすごく気になります。
これは、章ごとにどこかしら狼が関わってくる感じなのでしょうか…!
ぶわあっ
貴方に幸あれです
ちょ、塩水てwww
何々、少女人気?w
いやああぁぁぁぁぁああぁぁ女の子オォオォォオオォォ!!!!!