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- カテゴリ:日記
- 2011/04/10 12:14:23
ドイツ放射線防護協会による日本における放射線被爆リスク最小化のための提言が、2011年3月20日になされています。
福島原発事故の発生後の日本において放射性物質を含む食物の摂取による被爆の危険性を最小限に抑えるため、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに以下の提言を行う。
1.放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、薬草、山菜類の摂取は断念することが推奨される。
ほうれん草1kgあたり54,000Bqのヨウ素131 が検出されたが、こうしたほうれん草を100g摂取すると甲状腺の器官線量は次のとおりとなる。
乳児(1歳未満):甲状腺線量20mSv
幼児(1~2歳未満):甲状腺線量19.4mSv
子ども(2~7歳未満):甲状腺線量11.3mSv
子ども(7~12歳未満):甲状腺線量5.4mSv
青少年(12~17歳未満):甲状腺線量3.7mSv
大人(17歳以上):甲状腺線量2.3mSv
2001年のドイツ放射線防護令第47条によれば、原子力発電所通常稼働時の甲状腺線量の限界値は年間0.9mSvである。原発事故の場合には、同第49条によれば甲状腺線量は150mSvまで許容されるが、これは実効線量7.5mSvに相当する。
ヨウ素131の半減期は8.06日である。福島原発の放射性物質の環境への放出が止まった後も、ヨウ素131が当初の量の1%以下にまで低減するにはあと7半減期、つまり2ヶ月弱かかる。54,000Bqのヨウ素131は、2ヵ月弱後で約422Bq残存しており、およそ16半減期つまり4.3ヶ月(129日)後に1Bq以下となる。
2.乳児、子ども、青少年に対しては、1kgあたり4Bq以上のセシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。成人は、1kgあたり8Bq以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことが推奨される。
長期的に注意を要するのは、セシウム134(半減期2.06年)、セシウム137(半減期30.2年)、ストロンチウム90(半減期28.9年)、プルトニウム239(半減期2 万4,400年)といった長期間残存する放射性物質である。1kgにつき同量それぞれ100Bqのセシウム137(Cs-137)とセシウム134(Cs-134)、およびそれぞれ50Bqのストロンチウム90(Sr-90)と0.5Bqのプルトニウム239(Pu-239)に汚染された飲食物を摂取した場合、以下のような年間実効線量となる。
乳児(1歳未満):実効線量6mSv/年
幼児(1~2歳未満):実効線量2.8mSv/年
子ども(2~7歳未満):実効線量2.6mSv/年
子ども(7~12歳未満):実効線量3.6mSv/年
青少年(12~17歳未満):実効線量5.3mSv/年
成人(17歳以上):実効線量3.9mSv/年
現行のドイツ放射線防護令第47条によれば、原子力発電所の通常稼働時の空気あるいは水の排出による住民1人あたりの被ばく線量の限界値は年間0.3mSvである。この限界値は、1kgあたり100Bqのセシウム137を含む固形食物および飲料を摂取するだけですでに超過するため、年間0.3mSvの限界値以内にするためには、次の量まで減らさなければならない。
乳児(1歳未満):セシウム137 5.0Bq/kg
幼児(1~2歳未満):セシウム137 10.7Bq/kg
子ども(2~7歳未満):セシウム137 11.5Bq/kg
子ども(7~12歳未満):セシウム137 8.3Bq/kg
青少年(12~17歳未満):セシウム137 5.7Bq/kg
成人(17歳以上):セシウム137 7.7Bq/kg
3.日本での飲食物の管理および測定結果の公開のためには、市民団体等は独立した放射線測定所を設けることが有益である。ヨーロッパでは、日本におけるそのようなイニシアチブをどのように支援できるか検討すべきであろう。
飲食物を通じた放射性物質の摂取は、長期間にわたり身体にもっとも深刻な影響を与え続ける経路となります。この提言は、3月20日の時点で出されたものであり、日本での放射性物質の拡散等の地域的な違いが考慮されていないなどの制約はあると思いますが、内部被曝を含めた放射線被爆リスク最小化の助けになります。
本提言の厳しい内容と比べると、政府によって出されている数値、見解は・・・
ドイツ放射線防護協会
http://www.strahlentelex.de/aktuell.htm#Atomschock