Nicotto Town


猫バカのぶろぐ。うん。   ・・・・・・読んで?


優しい嘘。

私と美穂は、幼稚園の時からの大親友だ。
いつも一緒に遊んだり、しゃべったり、時にはけんかもしたけど、仲直りは早かった。
そんな美穂に裏切られる日が来るなんて、思ってもいなかった。




私のクラス6-3の女子は、大きく分けて2グループになる。
1つのグループは、いじめっ子などが集結しているハデハデグループ。
もう1つのグループは、いじめられっ子が集まる地味グループ。
地味グループの子たちは、ハデグループに目をつけられると必ずいじめられる。
だから、地味グループの子は、いつもびくびくしていなければいけない。

私たちは、ごまをすってなんとかハデグループに入れた。
トイレ前での地味グループのかげぐちにつきあったり、パシリにされるのは苦痛だったけど
地味グループに入るのは嫌だった。

いじめられたくないからだ。

そのたった1つの理由だけで、私たちはあくせくと努力をしつづけた。





「美穂、一緒に帰ろ!!」

「今日はちょっと・・・・・ごめんね。」
そう言うと美穂は廊下を走って行ってしまった。

「あ・・・・・」
最近、美穂がなんだかぎこちなくなってきた。

きっと、私の気のせいだと自分に言い聞かせながらトボトボと家に帰った。







次の日、掃除の時間、恐ろしいことが起きた。
「ちょっと、掃除しといてよね!」

「え・・・?」

「もうあんたはハデグループじゃない。地味グループ行きだよ!」

ハデグループの香奈子が私を見下すように言った。

「うそ・・・ねえ、美穂?」

私が袖を引っ張ると、美穂は困ったように私の顔を見た。

「きゃはははっ 友達もいなくなっちゃったねぇ」
香奈子がそう笑うと、ハデグループの人もくすくす笑った。

廊下を走るパタパタという音が遠のいていくなか、
私はやっと気付いた。



そうか。私は    つかれてたんだ。



なにか暗い闇を限りなく落ちて行ってるような、そんな気分で家に着いた。


ソファーにつっぷしていると、ピーンポーンとベルが鳴った。
誰だろうと思い、ドアを開けると、そこには美穂がいた。


「何の用?」
できるだけ皮肉たっぷりに聞こえるように言った。

そうすると美穂がいきなり、
「ごめんね、ごめんね」
と言って、泣き崩れてしまった。


「ちょ、どうしたの?」
泣きじゃくる美穂をなんとかリビングまで連れて行った。






「ねえ、ごめんねってどういう意味?」
少し落ち着いた美穂は、口を開いた。
「あのね・・・・

美穂が語ってくれた話は、衝撃的だった。

私が居ないあいだに、美穂は、香奈子から、こういう話をされたらしい。
「あんたの友達、もううざいからグループから消そう」

必死に、やめてくれとたのんだら、
「じゃあ、私たちの前で、あいつ裏切ってよ。そうしたら、一緒にこのグループやめるだけで許してあげる。
     そのかわり、裏切らなかったら―――――今度のいじめのターゲット、あいつね。」


      そう言われ、泣く泣く私を裏切ることを決心した


「ごめんね。ごめんね。」
と、あやまり続ける美穂を見て、涙が出てきた。

美穂のことだから、悩みに悩んでいたのだろう。
私を救うために、私を裏切るか、私がどちらの方が傷つかないか。


そうか。美穂がついた嘘は、優しい嘘だったのか。


「美穂、もういいよ。」


私は、今できるせいいっぱいの笑顔で、美穂を抱きしめた。










中学校でのクラスは、なんと、美穂と同じだ。
あの事があってから、美穂とはさらに仲が良くなった。

「美穂、入学式始まっちゃうよ!!」
「はーい!今行く!」




            
          桜の舞い散る中を走っていく2人の顔は、希望に満ち溢れていた。

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2011/05/08 14:00
なんかいいお話!



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