優しい嘘。
- カテゴリ:自作小説
- 2011/03/24 12:42:53
私と美穂は、幼稚園の時からの大親友だ。
いつも一緒に遊んだり、しゃべったり、時にはけんかもしたけど、仲直りは早かった。
そんな美穂に裏切られる日が来るなんて、思ってもいなかった。
私のクラス6-3の女子は、大きく分けて2グループになる。
1つのグループは、いじめっ子などが集結しているハデハデグループ。
もう1つのグループは、いじめられっ子が集まる地味グループ。
地味グループの子たちは、ハデグループに目をつけられると必ずいじめられる。
だから、地味グループの子は、いつもびくびくしていなければいけない。
私たちは、ごまをすってなんとかハデグループに入れた。
トイレ前での地味グループのかげぐちにつきあったり、パシリにされるのは苦痛だったけど
地味グループに入るのは嫌だった。
いじめられたくないからだ。
そのたった1つの理由だけで、私たちはあくせくと努力をしつづけた。
「美穂、一緒に帰ろ!!」
「今日はちょっと・・・・・ごめんね。」
そう言うと美穂は廊下を走って行ってしまった。
「あ・・・・・」
最近、美穂がなんだかぎこちなくなってきた。
きっと、私の気のせいだと自分に言い聞かせながらトボトボと家に帰った。
次の日、掃除の時間、恐ろしいことが起きた。
「ちょっと、掃除しといてよね!」
「え・・・?」
「もうあんたはハデグループじゃない。地味グループ行きだよ!」
ハデグループの香奈子が私を見下すように言った。
「うそ・・・ねえ、美穂?」
私が袖を引っ張ると、美穂は困ったように私の顔を見た。
「きゃはははっ 友達もいなくなっちゃったねぇ」
香奈子がそう笑うと、ハデグループの人もくすくす笑った。
廊下を走るパタパタという音が遠のいていくなか、
私はやっと気付いた。
そうか。私は 嘘 つかれてたんだ。
なにか暗い闇を限りなく落ちて行ってるような、そんな気分で家に着いた。
ソファーにつっぷしていると、ピーンポーンとベルが鳴った。
誰だろうと思い、ドアを開けると、そこには美穂がいた。
「何の用?」
できるだけ皮肉たっぷりに聞こえるように言った。
そうすると美穂がいきなり、
「ごめんね、ごめんね」
と言って、泣き崩れてしまった。
「ちょ、どうしたの?」
泣きじゃくる美穂をなんとかリビングまで連れて行った。
「ねえ、ごめんねってどういう意味?」
少し落ち着いた美穂は、口を開いた。
「あのね・・・・
美穂が語ってくれた話は、衝撃的だった。
私が居ないあいだに、美穂は、香奈子から、こういう話をされたらしい。
「あんたの友達、もううざいからグループから消そう」
必死に、やめてくれとたのんだら、
「じゃあ、私たちの前で、あいつ裏切ってよ。そうしたら、一緒にこのグループやめるだけで許してあげる。
そのかわり、裏切らなかったら―――――今度のいじめのターゲット、あいつね。」
そう言われ、泣く泣く私を裏切ることを決心した
「ごめんね。ごめんね。」
と、あやまり続ける美穂を見て、涙が出てきた。
美穂のことだから、悩みに悩んでいたのだろう。
私を救うために、私を裏切るか、私がどちらの方が傷つかないか。
そうか。美穂がついた嘘は、優しい嘘だったのか。
「美穂、もういいよ。」
私は、今できるせいいっぱいの笑顔で、美穂を抱きしめた。
中学校でのクラスは、なんと、美穂と同じだ。
あの事があってから、美穂とはさらに仲が良くなった。
「美穂、入学式始まっちゃうよ!!」
「はーい!今行く!」
桜の舞い散る中を走っていく2人の顔は、希望に満ち溢れていた。
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- ハッピー♪
- 2011/05/08 14:00
- なんかいいお話!
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