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■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の…(25)

■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の跡 七(4)

形式美の原理中、統一の方面よりもむしろ變化の方面を顯著にして、裝飾美術より模寫美術に之《ゆ》くの中途にあるが如きもの、我が模樣類の特色たるは爭ふべからず。之れに反して、統一を先とするの圖紋は、よし自然物の模寫に其の形を發することあるも、而も統一といふ約束のために多大の制縛を蒙りて、自然物が有する自由奔放の態を失ひ、固滯して生動の致なきに至る。余りに規律あり、余りに整然たるなり。夫《か》の、始めより全く幾何學的なる圖紋類、たとへば龜甲形といひ、綸子形といひ、萬字といひ、雷文といふが如きは、瓣ずるまでもなし、形を植物に取りたるものにすら、此の傾向あるもの少なからず。十六の菊は菊の花に則り、五三の桐は葉と花とに則れりといへども、其の模樣化して均整統一を重んずるの結果は、殆ど模寫の原意を沒して、幾何學的圖樣と成り了りたり。其の他斯くの如く全然有機的本性を沒却するをも厭はず、單に模樣圖案を自然物中より探り出ださんとするに於いては、進んで之れを動物の形に求むるも容易なるべし。蓋し動物の形は概して均整的規律的なり。植物に於いては我等は其の不規律的なる點に自然の生命を認むれども、動物にありては、却つて規律的なるを自然と見る。



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*註1:形式美の原理中
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。

*註2:顯著
「著」の正字体。(↓見本文字のクサカンムリが「十」+「十」なのが正字)
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tyo_arawasu.jpg

*註3:裝飾
「飾」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/syoku.jpg

*註4:圖紋
「紋」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mon.jpg

*註5:全く・全然
「全」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen.jpg

*註6:雷文
「文」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bun_aya.jpg

*註7:進んで
「進」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註8:概して
「概」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/gai_oomune.jpg

*註9:認むれども
「認」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mitomeru.jpg

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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1

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2011/03/23 13:49
うん菊・・菊いいですね腰に菊

動物ラビ・・かわええ

読んでるよ↑



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