創作小説「カルマキル雑技団」2
- カテゴリ:自作小説
- 2011/02/05 12:08:03
平行世界シリーズ
第2話
ひっそりとした佇まいを見せている建物。
宮殿の隅に華やかさを忘れたような小さな建物の中に数人の男女が集まっていた。数は6人。
この6人が密かに集まっているにも理由がある。
町には警備隊や騎士隊がいるが公でしか動けない場合が殆ど。だから私事で優秀な人物を集め、何か事が起こった場合に動く密隊を作ったのだ。創立者はシーフィラノ=カルマキルである。密隊のリーダーが名称“キバ”。
キバが立てる計画を遂行し、情報集めなどが主な仕事。そのため、お互いの素性など一切明かしていない。私生活に支障を表さないために。どこから情報が漏れるか判らないからだ。メンバーの素性をしっているのはリーダーであるキバと連絡係のノア、あと創立者兼選考者のシーフィラノだけである。
連絡係を務めるノアはこの町でも有名な占者・ラミーノア。情報集めが主な仕事。性格は明るく、少々いたずら好きである。
茶色の髪を長く伸ばし、中で一番年上らしく落ち着いて見える彼はロファ。騎士隊に所属し、剣術を教える役目も与えられている若き少佐、ロファソム。口数も少なくおとなしいが剣の腕は騎士隊の中でも秀でている。
メガネをかけ、奥に鋭い瞳を持つ彼はヴェーキ。国直営の工場で働いている数少ない技術者のひとり。
大きな緑の瞳をしたミール。貿易商を営んでいる父を持つ一人娘。
赤茶のウェーブ髪をひとつに束ねているのがセディ。
港町の有名名所になっているディサアッテサーカス団の長娘・セリーナである。幼い頃のけがで舞台には立たなくなったが運動神経とバランス感覚の良さは双子の妹、セラーノと何の引けもとらない。
最後にリーダーであるキバ。普段は警備隊の落ちこぼれを演じているケーノサ=メルキーヴァである。警備隊に所属しているのもシーフィラノの側に付くためシノが言い出したことといえる。シノとは従者に近い親友である。
そして、セリーナはキバの正体がケーノサであるとは、知らないのだ。
「今回の招集は、最近噂になっていることの確証を得ることだ」
「最近の噂とはあれか?」
机にひじを付いて座っているヴェーキが確認をするように問いかける。
「あれって何?」
彼の真ん前に座っているミールが興味津々と瞳を輝かせる。まだ若い女の子だけあって表情が豊かだ。
「次期後継者にシーフィラノ様ではなく妹姫、つまり姫と婚約した者が次期王位を手に入れることになる、という噂のことだろう」
入り口近くの壁にもたれて立っているロファがキバに視線をやり噂を口にする。騎士隊に所属している上、否が応にも耳に入ってくる言葉だ。
「シーフィラノ様は数年間、病のため眠っておられた。原因が今でも判らぬゆえ、今後再発する可能性もないとは言い切れない」
「そのためシーフィラノ様を快く思わない者たちが妹姫を押そうとしているのよ。利発すぎる王子様は扱いにくいっていうだけでね」
ノアがやれやれとでもいうようにため息をついてぼやく。
「噂の出所である臣下、あとそれの協力者を付きとめることが、今回の仕事だ」
キバの言葉に全員ガ頷いて今回の招集はお開きとなる。
さて、と席を立って皆が帰り出すところにキバが彼女の名前を呼ぶ。
「セディ、話がある。少し残ってくれ」
部屋に二人きりになるとやけに静かで広く感じられる。
「何?」
今まで黙っていた彼女が初めて言葉を口にする。
セディがキバに対する態度は他の人と違っていた。意地になっているというのが一番当てはまる。
原因は…セディがこの密隊に入った時、彼がシーフィラノに言っているのを聞いたからだ。
『シノ様! 彼女が入るなんて聞いてません!』
『彼女の能力をこのまま眠らす方がいいというのか?』
『そうじゃありません。それに彼女の能力が優れているのは私も認めています』
『じゃあ、何故?』
『彼女はまだ十六才の女の子ですよ』
『キバの口からそんな言葉が聞けるとは思わなかったな』
『……! とにかく私は彼女が密隊に入るのは反対です』
言い切る彼の姿を見て、決心した。
絶対、彼の前で女としての弱さは見せない、と。
彼に、出来ることを見せつけてやる、と。
だから彼の前では気は抜けない。
それがセディがキバに対する態度だった。
キバもそれを知っているがあえて何も言わなかった。
あれから二人の間は何も変わらないまま今に至っているのである。
「セディ、話がある。シーフィラノ様がお待ちだ」
「シーフィラノ様が?」
自分だけに何の用があるんだろう。
随分久しぶり過ぎのUPのせいで、第1話を忘れていそうですがww
続きの第2話です
のんびりペースで頑張っていきます><
よろしくですーーwww
わーい、ありがとー^^
ゆっくり読みます。
(^^)
あっぷ、がんばってねーw
久々に2話だ
かろうじて、1話はちゃんと覚えてたじょw
UPお疲れ様です( ´・ω・`)_且~~
ヴェーキ想像してみたら、格好良過ぎました(*´Д`*)ハァハァ
いつでも待ってるんで、気長に書いて下さい(*>ω<*)