昭和12年のマリみて
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/01/26 23:59:22
晴れやかな入学式が済んで、間もなくの或る日だった。
・・・・・
下の運動場から、新人の一年生が賑やかに登って来た。
体操の時間の後らしく、みんな上着を脱いで、頬が赤い。
それを上級生たちは、美しい花を選ぶような眼つきで、
木立の蔭や廊下の曲がり角に、待ち伏せしている。
「こんどの一年生は、おチビさんが多いわね。」
「そう見えるのよ。私たちが入学した時は、もっと小さかったわ、きっと。」
「大きすぎる一年生なんて、ちょっと親しみにくくて厭アね。あれくらいが可愛いわ。」
「もう、目星をつけてるの?」
「こっちでいくらきめたって、一年生だってお人形じゃないんですもの。
思うようになりゃしなくてよ。」
・・・・・・
なんだか「マリア様がみてる」のようですが
昭和12年から13年にかけて、雑誌『少女の友』に連載された
川端康成の「乙女の港」は、こんなふうに始まります。
2009年に『少女の友100周年記念号』が出版されて、
ちょっと話題になりました。
同時にリクエストが多かったこの「乙女の港」も、
新装版と復刻版のふたつがあらたに出版されたのです。
横浜のミッションスクールを舞台に、エスと呼ばれる姉妹関係を
むすぶ少女たちの物語。 エスはSISTERのSです。
一年生の三千子には、美しい上級生のエスである洋子がいますが
もうひとり三千子に思いを寄せる活発な少女克子も
三千子に積極的で・・・
まあ、そんな話ですが
中原淳一さんの少女マンガのような挿絵もあって
当時たいへんな人気だったそうです。
『少女の友』の巻末には、「トモチャンクラブ」という読者欄があって
ここに「乙女の港」の賛辞が殺到したらしいです。
そのいくつかが新装版の解説で読むことができましたが
お便りの文面からほの見える彼女たちのようすは
現代の少女とあまり変わらない気がします。
しかし、このわずか3~4年後には太平洋戦争がはじまって
かれんな乙女の世界はたちまち消え去っていくわけです。
花はどこにいったの?
って感じです。
昭和12~3年ころ、これを読んでいた少女たち・・・
激動の昭和を生きて、今は
おばあちゃんや、ひいおばあちゃんに
なっておられるのでしょうか。
「乙女の港」を読んだ日々を
遠く思い出されてるかもしれません。
コメントありがとうございます
川端康成の文章は
レトリックが巧みで
さすがだなと思います
「乙女の港」は、かなり簡潔に
読みやすく書かれてる感じです
わ
すごい♪
いつもありがとうございます❤
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bokudenさん
「マリア様がみてる」も主人公が憧れの上級生と
姉妹関係になります、呼び名がエスの代わりにスール
になってますが
宝塚も同じような世界ですね
メさん
「パートナー」知らないのでググってみました
ダンスの漫画なんですね
ほんと幅広いですよね
コバルト文庫の初期の頃には
川端康成の「夕映え少女」というのが入ってます
ラノベも書いてたって感じなんですね
チェリなの★さん
チェリなの★さんは憧れの女の先輩とか
いないですか?^^
中原淳一さんの絵は
少女漫画の元祖かもしれないです
そのあと瞳にキラキラを
入れたのは高橋真琴さんだとか
どちらも男性なんですよね
さくら♪さん
お友だちで、カトリック系の女子高に
通っていた女の子に「マリみて」を
教えたら、けっこうハマってました
高校のとき、かっこいい憧れの先輩とか
いたそうです^^
大正ロマンみたいなのも
知らないのに、なんだか懐かしい気がします
ココレオンさん
「マリみて」 も面白いのですが
やっぱり文章はねー
片やノーベル賞作家ですし^^
むかしのぬり絵といえば
わたしは、「きいちのぬりえ」が大好きです
いま、絵ハガキやら本が
けっこう出てるので買って
壁にも飾ったりしてます
io❤ioさん
川端康成さん、少女小説もたくさん書いてたようですよ~
「少女の友」の雑誌がいちばん人気あったのが
この連載のころだったらしいですが
このころの雑誌は戦災で焼けちゃって
ほとんど残ってないみたいです
そういうこともあって
2009年の100周年記念号が売れたんでしょうね
ジェイさん
少女好きだったみたいですねー
川端康成さんは、少女小説や
少女がでてくる作品が多いですね
「伊豆の踊子」の映画のときは
吉永小百合さんに会いに撮影現場まで
わざわざやってきたそうです
エスという言葉は、レズにとってかわられたんでしょうか
いまは百合ですね
撫子さん
いやですわ、そちらのエスではございませんことよ^^
あら、撫子さんは川端先生も中原先生も
お好きじゃありませんのね
残念ですわ
「女生徒」こんど読ませていただきますわね
そうでしたわ
草の花は、なでしこ
って、枕草子にもございましたわね
あー、この言葉遣いだとぜんぜんツッコメないー
正直、川端康成も中原淳一も私の好みじゃありませーん。
というワケで「乙女の港」は読んだ事ありませーん。
代表作よりも、マイナーな作品にハマる事はよくあります。
太宰治も「斜陽」「人間失格」より「女生徒」の方が面白かったです。
花はどこにいったの?・・・って、撫子がここにいるじゃないですかー♪
きゃっきゃっ☆
ありすさん
田辺聖子さんは、調べたら昭和3年生まれなので
連載当時、10歳くらいですか。
小さいころから本が好きで
少女小説も読みまくっていたみたいなので
絶対読んでおられますね。
Cocoさん
エス、いまだとSMのほうだと思っちゃいますが
大正の頃から、あったみたいですね
中原淳一さんは、「世の中には美しいもいのが必要」
というしっかりとした哲学を持った方で
戦争で美しいものや、かわいいものが
無くなっていったことを憂えて
戦後も、美しいものを発信し続けた「少女の味方」です♪
イズミさん
去年、これを読んだとき
ちょうどイズミさんが川端康成全集を読んでられたので
乙女の港を読みました、って伝言書いたら
好きな作品ですって、書いてくださったのがうれしかったです
川端さんとしては、はっきりした対象の読者がいたので
この作品は、書いてて力が入ったんじゃないでしょうか
こんど「浅草紅団」を読んでみたいと思ってるんですが
読みました?
ぴかさん
川端康成さんっていうと「雪国」が有名ですが
私も最初に読んだ川端さんの本は「雪国」で
個人的には、あんまり面白くなかったのです
「乙女の港」は、「雪国」のすぐあとくらいの作品ですが
個人的には、こっちのほうが面白かったです^^
竹の音さん
「トモチャンクラブ」に寄せられた
お便りの文章や雰囲気は
なんだか今のメールやブログと似たような
ところがある気がしました
少女の世界みたいな
今につながる文化が大正時代くらいに
でてきたみたいですが
中原淳一さんは、その象徴的な
少女を描かれた感じです
こまめさん
そうそう、高いですよねー
少女の友の付録セットみたいなのも出てて
そちらは、15000円くらいしてました
マリみて、主にアニメなんですけど
わたしはけっこう好きです
一見ありそうだけど、じつは「こんなのあり得ないよー」
ていう世界なので、ファンタジーなのかもしれません
お嬢さまと百合の世界を疑似体験できます^^
空豆さん
「少女の友」は戦後も昭和30年ころまで
続いてたということで、その後の少女文化は
少女マンガに引き継がれていった感じなのでしょうか
川端康成30代、「雪国」と同じ頃の作品みたいですが
人気の割に本人は、満足してないとこもあったみたいです
もくれんさん
当時、10歳で読んでた子がいたとして
それでも80歳を超えられてますね
2009年に「少女の友」創刊100年記念に
出版のされた本
けっこう売れたみたいですが
ご年輩の方が買われたのかどうかはわかりません
当時の少女たちも中原淳一さんの絵を真似てみたり
きっとしてたんでしょうね
オズさん
女子寮というと、アニメ「小公女セーラ」の原作
「小公女」は19世紀に書かれてますが
でも、ちょっと系統が違いますね
読んだことないのですが
吉屋信子さんの「花物語」というのが
あるのですが、これは大正時代に書かれた
少女小説ということです
とりさん
ほんと
豪華な取り合わせですよね!
中原淳一さんの挿絵の魅力というのも
かなり大きかったのだろうと思います
でも、戦時色が濃くなってくると
中原さんの絵は弾圧をうけたらしいです
ま~りんさん
大正から昭和のはじめあたり
ずいぶん斬新な文化が芽生えてたみたいですが
戦争で、ぜんぶ塗りつぶされてしまった感があります
「マリア様がみてる」は、たくさん出てますね
1冊すぐに読めちゃいますけど^^
最近、実写映画化もされたみたいです
其の頃にはSとか言ってましたね。母が言ってました。
その当時じゃーすんごい衝撃的だったでしょうねぇ==!!!
やるー康成ww
太平洋戦争かぁ・・・・・私は今の時代に生まれてよかったぁ。。しみじみ。。。
中原淳一の絵は子供の頃に買ってもらった「塗り絵」に似てる^^
うーん懐かしいなぁ。。
廊下ですれ違う先輩たちには、体育会系さながらのゴッツイ感じの挨拶をしていました(*^皿^*)
瞳に☆が輝くような女の子らしいお友達は・・・周りには1人もいなかったですw
当時、母やりももっと年上の女子が読んでいたんですね。
けれど、中原淳一さんの絵を見ると、私はなぜか懐かしい感じがして好きです^^♪
わたしの友達が大好きなんですよぉ。
お母さんに聞いたら「中原淳一の絵、少女マンガみたいに
おめめがぱっちりだよ」って言ってました。
それに、美智子様が先輩にお手紙書いたのを雑誌でみたら
こんなふうなお嬢様文章だったそうです。
仲のよい女の子同士をSって呼んでるシーンがあるのですが、
元ネタはこれだったんですね!
川端先生の作品の幅広さには驚きを隠せません。
その頃の少女たちが、ものすごく憧れたのかな。
純文学の香りが漂う冒頭の文章です。
人生の大大先輩のご婦人方の素敵な思い出のお話だと
思うと、より、淡い思いがします。
私も、探して読んでみたいです。
中原さんの描く少女は、本当にキラキラな瞳の美少女ですね。
川端康成の作品を読むことがないけど、だいぶ興味を惹かれたので
早速、本屋で探してみますね。
(onpuさんにもおっしゃったことがありましたっけ?)
偉大なる文豪が少女小説も書いていたと思うと、なんだか微笑ましいですよね。
川端さんの作品は、ご本人が「未完でもいいというつもりで書いている」とおっしゃるように、
ぼんやりとした終わりかたが多いのですが、
「乙女の港」は爽やかかつ後味のよい終わりかたで、読後感が良くて大好きです。
洋子さまは、凛とした理想の「お姉さま」ですよね(笑)。
中原淳一さんの絵がついているなんてすごいですよね~
どれだけ女学生の胸をキュンキュン♥いわせたことかww
なんとなく。
きっと今とは比べ物にならないくらい大反響だったでしょうけどねwww
まあ、でも考えてみると、源氏物語も女性が好む本ではありましたね。。
いつの時代も女性は空想好きで可愛らしいのでしょうね^^
余談ですが、「マリア様がみてる」は読んだことないのですよね~。
夢の庭シリーズはすきなのになぁww^^;
なんと豪華な2人なのかしら。
復刻版でもいいから、こういう素敵な本はまた見たいですよね。
中原さんの絵大好きです❤
私が子供の頃(だったかな?)はクララ白書やアグネス白書が流行りましたw
「乙女の港」みたいな品の良い話ではないけど、女学園の話で女子寮の生活が描かれてたんだっけかなぁ~
80歳代というと私の祖母もそうですが、天国にいるので読んだかどうかは聞けません(〃゚艸゚):;*。
間違えました↓
昭和12年~13年年の連載ですね。
愛読していた方は 80を越えていらっしゃるわね・・・
昭和12年て・・・73歳ですね。
私は戦後の生まれですけど少女雑誌を読み出した昭和30年頃も
同様の作品が多かったように思います。
その挿絵に心惹かれて まねて描いたものでした。
小学校高学年になった頃には 雑誌の連載だけではなく
単行本もよく読みましたが 「乙女の港」は
覚えていません。
あーー、でも懐かしいですよ(遠い目・・・)
そして 恐縮です~私のほうからお願いするのもいかがなものか?と
実はためらっていたんです。ありがとうございます(^^)))))
雑誌少女の友は、読んだ事がありませんが、川端康成の世界に心惹かれました。
本当に今の白髪のおばあさま方に、乙女の頃の華やかな思いを
思い出させてくれる名作ですね。
全文、読んでみたいモノです。
ちょっと欲しくなったよ。挿絵がいいね。
マリみては読んだ事ないのよね。
アニメはちろっと見たんだけど
正直何が人気か分からずじまい(苦笑)
読んでみたら分かるのかな。