『シナの五にんきょうだい』
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/01/26 16:21:04
お題は「思い出の本」ですが、若干ニュアンスが違うかもしれません。これは私にとって「忘れられない本」です。
簡単に読める絵本です。初めて読んだのは幼稚園の頃だったと思います。いや、自分で読んだのかどうかは定かではありません。先生が読み聞かせてくださったのかもしれません。
詳しいあらすじを書くことは避けますが、悪いのは言うことをきかなかった男の子のほうなのに、五人兄弟の長兄が死刑を言い渡される理不尽さに感じた怒りは、私が生涯初めて感じた社会的義憤だったように思います。
ストーリー展開としては、それぞれ異なる特殊能力を持つ五人の兄弟が力を合わせて危険を回避していくというとても楽しいものなのですが、そもそもそういう危機的背景があるために、最後までハラハラドキドキしっぱなしだった覚えがあります。決して楽しいというだけではなく、ちょっと怖くて不気味なお話としてずっと記憶の底に眠っていたのでした。
この本はその後「シナ」という差別用語が問題となって久しく絶版となっていました(かの『ちびくろサンボ』を差別図書と決め付けたのと同じ伝ですね)が、1995年に瑞雲社が川本三郎さんの訳で復刻をしました。私が幼い頃に接したのは1961年に福音館書店がいしいももこさんの訳で出版したものだったようです。
この復刻版をたまたま見つけて手に入れたときは嬉しく懐かしかったです。ン十年ぶりに読んでも、ハラハラドキドキ感は幼い頃に感じたものと同じでした。そして改めて思ったのは、この本にはかなり毒があるということでした。童話や絵本には底知れぬ残酷さや不気味さなどの毒が隠されていることも多いのですが、この作品の毒はかなり直接的でわかりやすいものだと思います。大人の視点で読んでもいろいろと考えさせられる一冊。ご一読をお薦めします。
『シナの五にんきょうだい』(クレール・H・ビショップぶん クルト・ヴィーゼえ かわもとさぶろうやく)瑞雲舎 1995
ISBN:4-916016-06-8
Bishop,Claire Huchet
Wiese,Kurt
川本三郎
うふふ、そうですよぉ~。なにしろ、なりたい理想は「魔性の女」ですから。^^
でも、子どもにもある程度の毒は必要ですよね。
無菌培養されて免疫のない子どもは、ちょっとした毒にもやられてしまいます。
あるいは、自分が他人にとって毒になっていることにも気付かない可能性もあるのではないかと。
子ども時代に読む本って大事ですよね~。
おお、ちびくろサンボも復刻されているのですね。私も欲しいです~。^^
なるほどなるほどwww
こういう毒で育ったのが わかばさんなんだwww
時々 毒が見え隠れしてると思った(≧∀≦)キャハハ~
なんちゃって
忘れられない本ってあるよね♪
読んだことないけど 絶版の上での復刻版と聞くと読んでみたくなるねw
ちなみに ちびくろサンボの復刻版 買ってしまった奴です(≧∀≦)キャハハ~
>くるみさん
あい。密林のレビューでもけっこう高評価のようです。読まれたら、また感想を教えてくださいね。^^
>紺さん
おお、紺さんも読まれたことがおありでしたか。なかなか印象的なお話ですよね。
私は絵本でしか知りませんでしたが、綺麗な絵ですよ。ずらっと同じ顔が並んでいるのも楽しいです。
あ、お買い上げありがとうございます~♪^^
結構奥深かった思い出はあります。ただ、細部の記憶があいまいで…
これ、買ってみます♪はい♪^^