♪ニコッと時代劇 ~姫の巻物の巻~ 其の四♪
- カテゴリ:自作小説
- 2011/01/18 20:30:52
姫「ここの櫓に上るの初めてじゃ。
吉原が全て見渡せるの。
…おお…
…月が奇麗じゃ。」
月詠「…。
…今宵は丁度満月の晩。
…姫様。
実はあちきしには、
心を許したうさぎ姫様にも
秘密事にしていたことがござりんした。」
姫「何じゃ、改まって。
何でも申してみい。
わらわの心は海より広いぞ。」
月詠「…あちきは、
…実は月から参り申した、
月の住人でありんす。
月で生まれ、
月で暮らし申した。
そして今宵、
とうとう月からの使者が来てしまうのでありんす。」
姫「…なんと…!
…昨晩じいが読んでくれた絵本の話に似ておるが。」
月詠「うさぎ忍法の巻物は月から持ってきたものでありんす。
それ故、満月に当たりますると
巻物の中の人参が黄金に輝き出しまする。
月からの使者はその光を目安に、あちきしの所へ参るのでありんす。
姫様に預け、隠したつもりでありんした…。」
♪つづく♪
月詠のことはわらわに任せるがよい。
決して月へは帰さぬ。
見たい気もするが、
月詠を月へ帰すわけにはいかぬ。
わらわの良きすいーつ仲間じゃからな。
わらわのために作られたものじゃ。
そん所そこらの者には扱えぬ。
かぐや姫はかぐや姫、
月詠は月詠じゃ。
月へは帰さぬ。