■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の彫刻…(31)
- カテゴリ:日記
- 2010/12/23 00:53:57
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の彫刻を論ずる書 第九(2)
彫刻に於いても同じ理があり得やう。また總じて表面の輪廓に大胆なる粗線を用ひて、餘りに滑かなものゝ往々單調となり無活動となり死となる弊を避けんとするが如きも、前段の理と相聯つて生ずる一現象である。併し此等外形上の工風よりも更に重要なのは、中身となる感想そのものが直ちに生命に到達する底のものたるを要することである。クラシシズムにあつては多く單に優美、威嚴、聰明、歡喜、苦痛、筋力といふ如きものが其の現はさんとする感想であつた。寫實派に至つては稍其の限域を廣め、更に複雜な種々の現實感想を中身とするやうになつた。けれども此等は尚ほ斯くの如き種々の感想そのものを行止りとしてゐる氣味である。自然派はすなはち此等の感想をたゞ手段として、其の奧に更に何物かを髣髴せしめやうとする。それは即ち生命である。
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*註1:彫刻に於いても
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
「彫」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tyou_horu.jpg
「刻」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/koku_kizamu.jpg
*註2:輪廓
原本では「輪廊」とあったが誤植思われるので改めた。
*註3:單調
「調」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/cyou_shiraberu.jpg
*註4:弊を避けん
「弊」の旧字体。「敝」+「廾」。
「避」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註5:前段
「前」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen_mae.jpg
*註6:併し
「併」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/shikashi.jpg
*註7:更に
「更」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sara.jpg
*註8:重要・要する
「要」の俗字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/you.jpg
*註9:到達
「達」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註10:尚ほ
「尚」の旧字体。「ナオガシラ」は「小」。
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
今収まりましたよ寒いけど
げるさん元気だな遅いですよ夜だから寝てよ・彫刻いいですな
ふふ