【小説】紫翼のジーナ~14~
- カテゴリ:自作小説
- 2010/12/06 11:04:41
『紫翼のジーナ』6-①話
原案:はじめあき
作者:しゅーひ
クロストの後をジーナは無言でついていく。
前を行く男の背中を見つめながらジーナは考え事をしていた。
それは、先ほどのホルンとの死闘でもなく、自分の核羽の事でもない。前を歩くクロストの事を考えていた。
薬草を採取・加工し生計を立てるジアナ族は、戦闘能力も魔法能力も高くない。ましてやジーナを含めた翼人族のような特殊な能力を持っているわけでもない。
力なきジアナ族は、他部族が侵略しないような辺鄙(へんぴ)な場所で生活をする少数部族である。
このような弱き部族は、サノアルタと呼ばれるこの星にはいたる所に点在している。たくさんありすぎるため、学院でトップ成績であるジーナでさえ全てを把握は出来ていない。
ジーナにとっては特に興味のある事では無いし、ジーナがちょっと本気を出せば、名も知らぬ少数部族全員を滅ぼす事も可能なのである。
つまり、ジアナ族とはそういう部族だとジーナは確信していた。
事実、前回クロストを見た時はとるに足らない、普通の男だと思っていた。いや、思わされていたのだ。
今ならわかる。普通に歩いているように見えるが、クロストには全く隙がない。見えない膜で覆われているような感じがする。
この瞬間、後ろからジーナの最速の技を繰り出してもクロストには当たらないような気がしてならないのだ。
『コイツには勝てない』といった屈辱的な感覚に支配されているのだが、なぜだかジーナはクロストに対して好意的ともいえる感情をもっていた。
今までのジーナにとって他人とは、敵もしくは興味なしのどちらかでしかなかった。あの大神官であるモルトラにでさえ、いつかはブっとばすと思っている。
つまるところ、ジーナは自分の中にある今までに無い感情に戸惑っていたのだ。
そんなジーナの心の葛藤は知ってか知らずか、クロストはゆっくり振り向いた。
「さぁ、ここがウチだ。前に来たから知ってるな。さて、入る前に一つ確認したいことがある」
にこやかに見えるが、それがかえって威圧感を増していた。
「ジーナ、リンはどうした?」
クロストは静かに質問した。当の本人はしばらくポカンとしたあとポンと手を叩いた。
「おお!どうりで静かだと思った。何処いったんだ?」
「ふむ、やはり何も判っていないのだな」
「ん?どういう意味だ?」
ふぅーと大きなため息をついてクロストは続けた。
「では聞こう。核羽を見つけていないのに、なぜ両翼をもっているんだ?なぜ〈水〉の能力が発動した?なぜ自分の知らない技が使えた?」
立て続けに質問されたが、何一つ答える事ができないジーナは、あ、う、お・・と言葉にならない声を発した。しかし、なんとか一つの答えを導き出した。
「あ~つまりだな。うん。俺の核羽が復活したんだ!そうだ!たぶん・・・いや、きっとそうだ。だから〈水〉の能力も発動したんだ。知らない技は・・・そう!俺はレベルアップしたんだ!」
「なるほど、あながち間違った答えではない」
すんなり根拠の無い自分の意見を肯定されて、少しだけ気が大きくなったジーナであった。
「だろ?そうだよな。さすが俺!これで俺の目的は果たされた!」
晴れやかな顔をするジーナにクロストが聞いた。
「では、もう一度聞こう。リンはどうした?」
「え、いや、それは・・・」
「まあ、今のままではいくら待っても答えは出ないであろうから教えてやろう。リンはそこにいる」
クロストはジーナの左の翼を指して言った。
「な・何ぃ?は!どういう事だ?俺の翼の中にリンがいるっていうのか?んなワケあるか!」
「翼の中にリンがいるのではない。リンが翼そのものなのだ。だから、左翼が復活し、〈水〉の能力が発動した。そしてここが重要だが、リンがいるからこその先ほどの新しい技なのだ」
「え、何を言っているんだ?なんでリンが翼に・・・?ってうぐぅ!!」
突然、左の翼が光だし、光ったままドサっとそのまま地面に落ちた。しばらくすると光は人の形になり、光が収まったそれはリンそのものであった。
「いきなり・・・どうして?」
何がなんだかわからないジーナは呆然とリンを見つめていた。
リンは小さな寝息を立てている。外傷のようなものは全く見当たらなかった。純粋に寝入っているようにみえる。
「キミが『認識』したので、異物としてリンを外に排出したのだ』
クロストが呆けているジーナに言った。
「順序だてて説明が必要だな。とりあえず、リンを寝室に運んでくれ。話は家の中でゆっくりと出きる」
クロストは玄関扉をすっと開きながら言った。ジーナはあわててリンを抱えてクロストの後を追った。
すーすーと気持ち良さそうな顔をしているリンを見て、なんかだか心の奥底がムズムズしたような気がした。
しかし、今の自分に起こっている状況に色々びっくりしていたので淡雪のような感情はすぐに消えてしまった。
そして、クロストさんに抱いた感情も、本人は戸惑っているみたいだけど
いい傾向なんじゃないのかな、ジ―ナにとって^^
クロスト師匠の怪しさとモルトラ大神官の怪しさは、種類が違うねw
ちなみに私の脳内では、クロストさんは美男子ですw 格好良く書いてくださいww
どうやら色んな裏を知っている、と言う面で怪しい人っぽいですね。ちょっとだけ安心。
寝ているリンが気になりますね。
前を読んでないからわからない~
最初から読んでみようかな(^∀^)
UPお疲れ様ーww
クロスト師匠、動き出しましたね。
どこまで謎が明らかになるのか楽しみですww
怪しい師匠・・・こっちの『妖しい』であってほしいなあww
もしや・・と 思っていたのが 確信にかわりました(笑)
やっぱり リンだったのねぇw
ますます 気になるお話に 目が離せませんw
今回は①~④となります。
やべー、クロストさん ますます怪しい~~~w
ジーナ 1話(①~②)
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=608204&aid=20519730
ジーナ 2話(①~②)
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ジーナ 3話(①~②)
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ジーナ 4話(①~②)
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ジーナ 5話(①~⑤)
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