キャスター・マイルド
- カテゴリ:小説/詩
- 2010/12/03 19:15:07
もう煙草を喫ってしまおうとおまえはいった。
なにもかも終わりにしたいのだと。
そうして白い紙巻のいっぽんに火をつけた。
*
深夜の橋では
鳩の骸に風花が落ちている
*
なんにももたずにどうやって火を付けたのかとぼくが訊ねると
おまえはひとさし指をたててみせた。
肌のなかではちろちろあおい炎がゆらめいているのだった。
それではほんとうに行ってしまうのだね。
そうよ ほんとうに行ってしまうのだわ。
おまえのくちびるからうす紫の煙がながれでる。
たちのぼり とどこおり まとわりついて。
なんだかずいぶんぼやけて視えるようだよ。 おまえはこたえなかった。
*
それならばぼくは きっとわすれてしまうよ。
いいえ あなたはきっとわすれはしないわ。
おまえのくちびるから煙が流れ出るたびに おまえのからだがすきとおってゆく。
ずいぶんうすれてしまうのだね。 おまえはただ笑んでみせるばかりだった。
*
それならばどうしたってぼくは わすれてしまおうよ。
いいえ あなたはどうしたってわすれられないわよ。いつまでたってもね。
おまえのおぼろげな影が橋の欄干に煙草を押しつけて火を消した。
じゃあね ぼくは手を振った。げんきでね。
さよなら
透き通る冬の夜気のどこかからおまえの声がひびいてきたようだった。
*
なにもかも。
終わりにしたいのだと。
そのくせ 一本しか喫わなかった
キャスター・マイルド
ぼくは残ったすべてを河に投げ捨てた。
*
深夜の橋では
せせらぎだけがきこえている
*
あれから ぼくはいちどもあの橋を渡らない。
いまでもまだあの欄干には 煙草の痕が残っているのだろうか。
























当方は800歳ですよ 年の功を感じさせる文章も
かけませんし><ろむさんの文章を読ませてもらって
勉強させてくださいね^^ おしゃれでなかなか味わい深くて
そんなブログまた拝読させてくださいね^^
詩人じゃないっす^^
どっちかといふと「死人」?^^
98歳の大人だす~~(^o^)/
実体験ですか?? でもとってもかっこいいわ るるちゃんが言うとおり苦みばしってるよ
ボサノバが合いそうなそんなポエムですね 黄昏てるわ~ 大人ね~~^^
ま。いろいろありますわいな(^o^)/
大人ですねー・・
ろむさんの実体験?・・映画みたいにクールですね・・ww