■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味(3)
- カテゴリ:その他
- 2009/03/18 23:16:42
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|一 (3)
而して我等は通例、存在現象の頂點たる意識的生活即ち生といふことに價値を附して、之れを最も貴いものとする。こゝで價値を附するとは望ましいといふ意識の伴ふことである。最も貴い價値とは、最も望ましいものといふ意味に外ならぬ。我等の知る限りに於いて、生より以上望ましい存在状態は無い。但し此處に至れば宗教的道徳的に種々の疑問が起こる。宗教は生以上の存在を望んでゐるといふものもあらう。道徳は自ら望んで生を抛つことがあるといふものもあらう。併し我が觀る所によれば、是等は以て生の最高價たる所以を傷くるに足らぬ。
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*註1:通例
「通」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註2:望ましい・望んで
「望」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bou.jpg
*註3:意識
「識」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/shiki.jpg
*註4:伴ふ
「伴」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ban.jpg
*註5:状態
「状」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/jyou.jpg
*註6:宗教
「教」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kyou_oshieru.jpg
*註7:道徳
「道」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
「徳」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/toku.jpg
*註8:起こる
「起」の正字体。「走」+「巳」。
*註9:併し
「併し」は原本では正字体が用いられている箇所もあるがここでは「併」。
*註10:觀る所・所以
「所」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tokoro.jpg
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
(2014/05/21/初校)