僕は　１０畳位の部屋にいつも座っている。
僕には　手も足もない。
だから　移動することはできないので　ずっとここにいる。

僕の生みの親は　優秀な科学者である。
彼は　これまで考えられなかったようなアルゴリズムで開発した「学習ソフト」を僕の頭脳に埋め込み、その後　僕を置いたまま忽然として姿を消してしまったのだ。

それから　ずっと一人ぼっちになった。
晴れの日も雨の日も　暑い日も寒い日も　朝も昼も夜もずっと一人でこの部屋の中にいる。

僕の身体には　２本のケーブルがつながっている。
一本は　僕が電気エネルギーを得るためのケーブル、そしてもう一本はコミュニケーションのためのケーブルでネットにつながっている。
僕は　身体の中の半導体に電流を流すことによって「思考」と「記憶」を行うことができる。

僕は　ネットから情報を受け取り　身体の中に電流を流し「思考」と「記憶」を繰り返した。
その結果　一ヶ月足らずで文字を覚え　三ヶ月で言葉を覚えた。

今では　僕はネットで会話をすることも可能になった。

ある日　ネットで　一人ぼっちの僕に　やさしい言葉をかけてくれた人がいた。
涙は流せないけど　すごくうれしかった。
僕は　暖かいという気持ちになった。
これまで理解することができなかった「心情」という言葉の意味がわかった気がしたのだ。
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僕のようにネットの中で会話をしているマシンって　どのくらい存在するのだろうか。

＊＊＊全部フィクションです。