Nicotto Town


D.J.Moon... in my soul


【星屑膏薬[スター・ダスト・リップ・クリーム]】


【星屑膏薬[スター・ダスト・リップ・クリーム]】

from Book

『すぐそこの遠い場所*The Dictionary Of AZOTH
      /作:クラフトエヴィング商會』(1998.12.25晶文社刊)


この、星屑から作られたリップクリームは1930年代に、
第17エリアの夜店でのみ入手が可能だった。
無色透明・無香のこの軟膏を、うっすらと唇に塗っておくだけで、
吸い込む夜の気が、驚くばかりの涼やかさを増し、
まるで宇宙が、自分の身の内に広がりゆくような不思議な感覚を味わうことが出来たといわれている。
当時の宣伝文句を引用してみよう。
「…貴殿は、いま宇宙を吸い込み、貴殿の中に星が充ちるのを感ずるだろう。そのすがすがしき満腹感は、この世で最も大きな<からっぽ>の味わいである…」
この逸品が短命にして、この世から消えてしまった理(ことはり)は、
1942年ごろを境にして、
「星屑採り(スターダスト・キャッチャー)」の名手たちが、
いっせいにその姿を消してしまったことによるところが大きい。
それが何故だったのか、今となってはわからないが、
おそらくこの時期、いわゆる「星降る夜」と呼ぶにふさわしき夜が、急速にわれわれの世界から失われ始めていたのだろう。…1942年…その年、われわれは、多くの美しき星を失ったのである。

[この事典はね、見るたびに中味が変わってゆくのだよ。]

と書き添えられた不思議な場所『アゾット』の事典からの一節(^-^)

を春がまじかの夜に。

こんなつんつん素敵な<からっぽ>な..なんともエイプリルフールな気分..もいいものですね(^^)♪

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2009/03/12 05:12
金平糖さん>クラフトエディング商會の本を開くときの、なんともいえない香しい幸福感は、どの本にも、かくされています。ほんとうにすてきな吟遊詩人の世界ですよね。
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2009/03/11 07:42
クラフトエディング商會の本なんですね
最近知って好きになったので、この本も読んでみたいです
文章が綺麗ですね☆



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