北の少年 激闘編 4
- カテゴリ:自作小説
- 2010/10/14 20:58:13
このお話は、友人のリクエストにより、篠原烏童さんの作品から共生獣の設定をお借りしています。ファンの方で不快に思われましたら、お詫びいたします。
長文なので嫌なんです~の方はスルー推奨^^;
早めに野営の準備をするふりをしつつ、敵の襲撃を待つ。
言葉で言い表すのは簡単だが、実行するのは並大抵のことではなかった。
ケニスキャラバンから斥候を出したように、『ケルダーの左手』側からも斥候がだされているはずだ。
それに襲撃を察知されている事を、気取られないようにしなければいけない。
平静なふりをしつつ『待つ』のは辛いものだ。
特に経験が足りない者にとっては。
ロヴは魔法使いの指導のもと、掌で蝋燭から松明までの様々な炎の灯りをだす練習をしていた。
熱を持った本物の炎ではなく、幻の炎を点す練習だ。
「幻の灯りの練習はな、どんな魔法使いでも最初に習う魔法じゃ。心で思い浮かべたことを実際に現すには、炎の灯りは最も表現しやすいからの」
ロヴはそれをすぐに覚えてしまった。
だが、即席の師匠は繰り返しこの練習をさせていた。
さすがのロヴも嫌だと思うぐらいに。
(もう、大丈夫なのに。他にも気に掛かる事があるのに)
数え切れないぐらい掌に幻の炎をともして、またそれを消す。
2人でその授業をしているそばでは、隊商の人々が忙しそうに立ち働いている。
最も動いているのは、ケニスとメルガ、それにメルガの護衛をしているジェンの3人だ。
ロヴが座っている場所からは、動きまわるメルガとジェンの姿がよく見えた。
敵の襲撃を『待つ』のに慣れていない彼は、なにもせずにこの場に座っているのが辛かった。
「つまらんか?ロヴ」
上の空だった少年に、いきなり魔法使いが話しかけてきた。
驚いたロヴは、あわてて掌の炎を消した。
「いえ、その…」
「隠さんでもええ。皆の動きが気になるんじゃろう。ここで座っているよりは動いていたい、そうじゃないかね?」
おまえさんの思っていることなどお見通しだと言いたげに、魔法使いはにやにやと笑っている。
「そうです。俺もみんなの役にたちたいと思って…」
「そうじゃろうとも。若いもんは『待つ』ことが苦手だ」
魔法使いは身を乗り出して、ロヴの顔面に指を突きつけた。
「今回はな、わしとお前さんとで、50名の人間を魔法で援護せにゃならん。50名じゃ。そのためには、体力、気力、いくらあっても足りん。休める時に休むのが魔法使いの役目じゃ」
ぐっと顔を近づけ、真剣な表情でこう付け加える。
「そのかわり、今晩は徹夜覚悟で、気力の続く限り魔法を使うんじゃ。解ったか?」
「はい」
「解ったなら、これから寝る。寝て、食べて、気力を充実させる」
「はい」
隊商の野営地では、寝静まったふりをしながら襲撃がくるのをじっとと待っていた。
真夜中になって満天の星が煌く頃、闇にまぎれて遂に『敵』がやってきた。
地鳴りのように響く叫び声と、砂を蹴る駱駝の足音と共に盗賊たちが襲い掛かってきた。
砂丘の頂に陣取っていた弓の一隊が、襲撃合図の火矢を放つ。
「襲撃だ。みんな用意しろ!!」
ラルムは腹の底に力を溜めて、大声で叫んだ。
寝たふりをしていた傭兵たちと、戦いの心得がある隊商の面々は得意の武器をもって一斉に立ち上がる。
それと同時に、いくつもの松明のような灯りが、隊商の陣取る場所に灯った。
魔法使いとロヴの2人が点した、熱くない魔法の炎だ。
この炎はは2人が命を落とすか、消えろと念じない限り消えない。
火事になる心配もないし、消されて闇のなかで闘う心配もない。
「よし、わし1人ではこうはいかん。ロヴ、お前さんがいてくれて助かったぞ」
「次は何をします?」
ロヴは自分の魔法がうまくいったのが嬉しくて、勢い込んでたずねた。
「次か?風を呼ぶんじゃ」
魔法使いは砂丘の上にいる、弓の一隊を見つめた。
「風を呼んで、盗賊たちに矢の贈り物をしてやるんじゃ」
「はい」
「心で風が吹く様子を思い浮かべろ。その風が、砂丘の頂から、奴らが来る方向に吹き降ろす様を念じるんじゃ。こんなふうにな」
魔法使いはそういって、目を閉じ、小声で呪文を呟きだした。
『大気に宿る風よ。我が念じるとおりに動け。その力を示せ』
小さな竜巻が、彼の周りに起こって黒の長衣をはためかせる。
それは、頭上に逆巻く風となりゆっくりと上昇してゆく。
ロヴの目には、はっきりと魔法使いの周りで戯れる風の精霊が見えた。
中性的な顔立ちのその人の影は、半透明で軽やかに舞っているようにみえる。
ゆっくりと舞いながらその数は徐々に増えてゆき、砂丘の頂まで登ってゆく。
魔法使いはそこで目を開けて、大きな声で叫んだ。
「準備はよいぞ。いつでも弓を放たれよ、ラルム殿」
「よし!撃ち方用意!」
ラルムの命令に従って、砂丘の弓隊が一斉に、矢をつがえる。
「風よ。矢を運べ!」
「てっーーー!!」
号令と同時に、弓の弦が一斉に音をたてた。
大変お待たせしました^^;
そのとうり♪
そう、私は魔法も個人の能力だと思ってるんだ。
だから、便利ではあっても万能じゃない。
現在の技術のように。
万能な力って、どこか虚しいしね~。
決して万能ではない能力。
鍛え上げていくこと。協力しあうこと。によって大きな力になっていくんだね!
基礎を繰り返し、覚えてこその魔法だと思います。
何事も基礎がちゃんと身についていないと、応用は利きません^^;
さて、これから砂漠での戦闘シーンの始まりです。
はたして自分にかけるのか、ひとつの翔けです。
自分もロヴといっしょに、挑戦ですね。
コメント返しが遅くなり、すみませんでした。
ベストキッド(映画)のカラテの稽古みたいな^^
魔法使いの心構えを言い含めるように教えてくれるベテラン魔法使いの
キャラがなんだか好きです。
砂漠にゆらめく幻の光のもとで激闘開始。綺麗な情景とシビアなやりとりの
対比が面白くなりそうですね^^
覚えたての技って、すぐにやってみたくなるもんです。
で、すぐに痛い目をみたりするんやけど。
若いときの自分の体験をもとに、書いてみました。
なにごとも経験がものをゆーのかなw?
ロヴの若さがリアルです。
魔法の火、幻影なので消えませんってゆうか、電灯のようにスイッチが切れるまでは^^
魔法を使った戦い、どんなふうに書こうか迷いつつ書いてます。
そんな風に思ってもらえたら、書きがいもありますよ♪
風の精霊が 何とも神秘的で いいですね^^
戦いなのに わくわくしています♪
あせらず、落ち着いて魔法使ってもらわないとなあ~
がんばれ、ロヴ。がんばって書け、私w
魔法使いの言うとおり50人の人を守らないといけないので
あせらないでがんばってほしいですね。
がんばれ~ロヴ♪ \(^o^)/