創作小説「WANTED」7
- カテゴリ:自作小説
- 2010/10/11 21:41:11
「平行世界シリーズ」
WANTED
第7話
はあーーっと大きく息を吐いて床に座り込んでしまった。
言葉を発す事も出来ないくらい脱力してしまったからだ。
「そーいう訳か……シーフィラノ……」
眠っているシーフィラノに向かって話し始める。
「総て、お前が仕組んだ事だったんだな……」
追いかけられた時、運よく現れたのも。
カルマキルに行くように仕向けたのも。
どこからともなく現れて、自身のことはなにひとつ説明せずに、ずっと側にいた。
「……私は、何をすればいい?」
ここで彼が目を覚ますのを待つだけ…そんな事で呼ばれるはずもない。
眠っている身体。
そう、眠っているのは躰だけだ。
精神はずっと一緒にいたのだから。
「貴女に、起こして欲しいのです。きっかけになれば、と」
「きっかけ?」
「はい。……遠い昔に、約束をされたそうですね」
そんな覚えなど…ないと否定しようとして、ふわっと窓から入ってきた風が彼女の髪を揺らしていった。
そうだ、カルマキルを離れる時に、年上の少年と約束を交わした。
「約束…十年前に……」
十年前は両親が死んだ時。
その時に……出逢っていた、年上の少年。
何度か街中で出逢い、友達になっていた。
その時も泣いている私を慰め、涙が止まるまでずっと側にいてくれた。
町中で泣いていた自分に、優しく声をかけてくれた少年。
『16になったら、僕のもとへおいで』
無邪気な約策だった。
約束の16歳になってから果たされないまますでに時は過ぎている。
まさか…その少年が………。
ハッとして勢い良く見上げた。
「……っていうか、あれはシノだったのか?」
「そうです。実は私とも会ったことはあるんですよ、ディア殿」
「………すみません、覚えてないです」
街中で偶然あった年の近い子供たちと、一緒になって遊んでいた。
どこの誰かなどと確認することは、子供たちの間では関係ない。
「シノ様は王都からこちらの宮殿に来るたび、抜け出して街中を散策していましたから」
懐かしそうにケーノサは笑みを浮かべて話す。
「もっぱら私が道案内でしたが」
訳あって下町で暮らすケーノサの様子を見に、会いに来てくれていた。
「言霊、というのをご存じですか?」
「言霊?」
「言った言葉に力が宿るそうです。過去に放った言霊が成就される。それがこの病に似せられた、呪いを打ち砕くことになるのだと……」
「…って、呪い?」
「はい。大国の王子ということで、内外問わず、いろいろな干渉を昔から受けておられる。しかも、言霊の祝福を授かっているとのウワサが数年前に一部の者達に広まったのも事実。ま、コレが呪と分ったのも1年ほど前のことですが」
どんなに医師の診断を仰いでも結果は不明。
それを不思議に思った者が試しに呪いを遮る術を行ったところ、効果が表れたのだ。
「…シ…フィラノ?」
なんか呼び慣れていない。
王子を呼び捨てもどうかなぁと思ってしまったせいだ。
チラッと視線をケーノサに向けだが、彼は別に何も思っていないようだ。
しかし、シーフィラノは全く目覚める気配がない。
「きっかけ…か」
コレは叩き起こす方がいいのだろうか。
「シノ! いつまで寝ているんだ。起きろ!」
ベッドのシーフィラノに向かって叫びながら揺り動かした。
「約束通り、逢いに来たぞ」
部屋の空気が張り詰めた気がして、無意識に目をつむり耳をふさいでしまった。しばらくそのままでいたディアは、ポンっと頭に置かれた大きな手に、反射的に顔をあげた。
その掌はディアの頭を優しくなでる。
ベッドの上で青い双眸がしっかりと彼女の姿を捉えていた。
「16って言ったのに、遅かったね」
「シノが迎えに来ないからだろ」
「だから、ちゃんと迎えに行っただろ」
変わらぬ口調の、シーフィラノがソコにいた。
【つづく】
第7話をお届けでーす。
次で無事に終わるかな♪
「たたき起こす」とはっ!! ディアちゃんらしいやり方で(笑)ww 次が楽しみでふ~~~♪♪
いっそ無事に終わんないで(
シノさん起きんのはやっΣ←
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良かったら入ってください^^迷惑だったらすみません><
まぁまぁまぁ~
次でおわっちゃうのかぁ・・・
楽しみに待とうw