初夢の続きは (9) 『端緒』
- カテゴリ:自作小説
- 2010/10/09 00:46:20
曇りがちで、雨まで降った昨日までとは一転。
今日の空は雲ひとつなく、どこまでも青く、高かった。
悟は、季節を感じながら一人通学路を歩いていた。
彼を包む空気は、暖かな日差しと涼しい風とが混ざった、爽やかなモノだった。
歩道の片側に植えられている名前もしらない街路樹、それに沿っていつものように歩く。
そして、制服の列が織り成,す耳慣れたちょっと騒がしいBGM。
毎朝繰り返す、決まり決まった風景だ。
それを横目に悟は、あくびを堪えようともせず、大きく口を開けた。
「ふぁ~あ」
結局、徹夜をしてしまった。
何故だか寝付けなかったのだ。
優のことも気になったが、やはり松梨の放った一言が忘れられなかった。
「…夢からは、いつか覚めるものだよ」
松梨が、別段、特別な表情をしていたわけではない。
いつも通り、さらっと言っただけだった。
しかし悟は、そのセリフに何か違和感を感じた。
そして、彼女がそう言った瞬間の、玄関の中の空気の微妙な変化も感じ取っていた。
だが、彼には自分にそう感じさせるものの正体はわからないでいた。
どこか懐かしいような、それでいてどこか突き放されたような…。
窓の外を見つめながら、一晩中そんなことを考えていた。
闇夜が、生まれたての青になり、それがやがて確かに朝に変わるまで…。
そんなことを思い出していると、後ろから声を掛けられた。
「先輩~悟先輩!おはようございます」
振り返ると、優と松梨が並んで登校してきた。
「おはよう」 そう言う松梨には視線を合わせ辛かった。
なので悟は、明後日の方向を向きながらぶっきらぼうに、おはようと言うと、即座に優に向き直った。
「優ちゃん、もう平気なの?」
「ええお蔭様で、すっかり元通りですよ」
そう言うと、華奢な腕でガッツポーズを作って見せた。
「先輩にも、松梨先輩にも本当にご迷惑をかけました」
優はぺこりと頭を下げた。
その様子が、なんだか小動物みたいで少し笑ってしまった。
優には、何のことだか判らなかったらしく、体のあちこちを見回している。
「いや、おかしいトコは、別にないから」
そういうと、優は安心して微笑んだ。
「それじゃあ、またね~」
と、言い残して小走りに去っていった。
「ほんと、元気になってよかったな」
「そうね」
いつも通り、抑揚のない声で松梨は答えた。
それでも、ほんの少し安堵感は伝わった。
悟は、昨日の別れ際の事を聞いてみたかったのだが、どうしても切り出す勇気が沸いてこなかった。
2人は特に言葉を交わすでもなく、無言で歩き、昇降口で別れた。
朝から淡々と授業は、進んでいった。
だが4時限目、手ごわい相手が現れた。
徹夜明けに古文とは運が悪い…。
悟は、そう思っていた。
なぜなら悟にとって、古文が最も睡眠導入剤としての効果が高いからだ。
悟は、睡魔と戦いながら懸命に意識を保とうとする。
しかし、眠ってはいけないという気持ちとは裏腹に、瞼は徐々に下がり視界はどんどん狭まっていく。
古文の女性教師の言葉は、子守唄のように彼を心地よい睡眠へと誘った。
(徹夜だったんだし、しかたないよな)
回らない頭は、そう都合よく自己弁護を始めた。
そうしてすぐに、悟の意識は夢の世界へと旅立った。
遥か遠くから、たくさんの人の喧騒が聞こえる。
机に伏して、自分の腕を枕代わりにして寝ていた悟は、その姿勢のまま目を開けた。
授業は、終わったのか?
状況がよく飲み込めない悟は、寝ぼけた視線で周囲を見回す。
するとクラスメートのほとんどは窓際へ集まり思い思いの声を上げていた。
「ねぇねぇ なんかすごいよね~」
「知らぬは当人ばかり、って奴?」
(くすくす)
何人かはこちらをチラチラ見ながらそんな声をあげていた。
なんのことだかさっぱりだった。
しかたなくただ一人、机に噛付いて居た暦村に声を掛けてみた。
「なぁレッキー、あれ何?」
「知らん、興味ない …そして俺をレッキーと呼ぶな」
およそ予想通りの答えが返ってきた。
他に話が出来そうな奴を探し、教室中に視線を彷徨わせる。
だが、みんな外の光景に目を奪われていて、話せそうな雰囲気ではなかった。
一体何が起こっているのだろう? 芸能人でも来たか?
だが芸能人を見るために、この人垣を分けて進む気にもなれなかった。
(さて、どうしたものかな)
机に突っ伏したままの姿勢で、考えているとよく知った名前が耳に飛び込んできた。
「ひゅ~梅子やるぅ~」
だれが発したのかはわからない。 この中のだれかなのは間違いないだろうが。
そんなことは問題ではなかった。
「梅子?」
どうも騒ぎの主は梅子らしい。同じ名前の別人ってこともあるだろうけど…。
いや!そんなハイカラな名前アイツしかいないだろ!
人波をかき分け、窓際から中庭を見下ろした。
確かに梅子だ、誰かと言い争いをしているようだった。
「何やってるんだよアイツは」
悟は、階段を蹴って降りた。
この子はイラストにするとこんな感じかな~と、想像しながら読んでました。
ちなみに松梨ちゃんは、綾波レイみたいなイメージでした^^
今後、どうなるのか楽しみにしてるでござるぅ~♪
「知らん、興味ない …そして俺をレッキーと呼ぶな」だけ???
(。◡ˇ‸◡) 今日はガマンしておくよー。。。。(o_ _)o彡ポムポム
凄い突っ込みの後にコメできんなぁ~((●≧艸≦)プププッ
最初から読んでないってのもあると思うけどねぇ~♪
にしても、また怪しい夢が始まったねぇ~♪
でも・・終わりが近いだなんてぇ~。
私は情景を想像しながら読むのが小説だと思ってるので、楽しいぉ~。
もしかして、次が謎が解き明かされる回なのかなぁ?ちと寂しいナ。
わたしは恭介さんの文章、面白いと
思っていますよ^^
最後まで読んではじめてすべての謎が
明らかにされていくのだろうけれど
物語の中にいろいろと伏線が張られていて
今回のお話を読みながら・・
前回のお話まで戻ってみたりもして
ヒントを探して歩くのがなんか楽しいんですよね^^
いろいろと文章にも書き手の個性が出るわけだし
わたしはその方の文章を通してその方の個性を
楽しんじゃってます☆^^
落ち着いて、うるのカキコをゆっくり読んでね。
もう少し違ったものが見えてくると思いますよ。
次回を楽しみにしています^^
ト書きっぽく見えるのは、語尾を硬い感じで統一してるからかなぁ
確かにセリフのあとの描写はなくてもいいものも多いですが
なくても成立するかというと、そうでもない気がします。
これをシャイプして1/3削って面白いのかなぁ?
伝えたいことを絞って、それだけ書けば確かに読みやすくなるとはおもいますが
べつにあらすじを、書きたいわけでもないです。
シェイプするということは、要点だけ抜き出せって事ですよ?
それをやるのは読む人の仕事で、こちらがやることではないと思います。
>少ない文字で、情景、心情などを伝えるのが筆力というものでしょ?
まったくそうは思ってません。
それを突き詰めていったら、夕日のすばらしさを文で伝えるより、絵で伝えるより写真でいいよ!
ってことになっちゃいますよ。より少ない手間で効果的に伝えるのを主とするならね。
そもそも文字数の制限なんて枷でしかないとおもっています。
だらだら長く説明されるのが、読みにくいのはあると思いますけど
その駄文でしか提示できない世界もあると思うのです。
>「せりふ」とその動作は実際には同じ時間に存在しているものでしょ?
それを一々書いていれば、読み手は倍の時間を消耗してしまいます。
恭介さんのイメージでは同時の進行でも、読み手は倍の手間です。
どっちかは省けってことなのかな? そもそも時間の消耗ってなに?
倍の手間ってなんだろうか? 何を基準に倍の手間?
よく判らないのですがこう感じる時点で、
読むのを辞めたほうがいいと思いますよ。合わない文章に付き合うことはないです。
それはきっと楽しい行為ではないでしょうから
もっと有意義に時間をつかってください。
とはいえ、そういうライトな文章が好まれるのは、わかっていますw
今回は、この書き方でココまでこれ来ちゃったので
最後まで、これで行きますよ。
何度もありがとうございます!
そういうことではないのですよ。恭介さん。
うるの書き込みの内容のひとつを具体的に説明すると・・・
シナリオで言えば、ト書きが多すぎますよって言うのがあります。
かといって、「セリフ」で綴れと言っている訳ではありませんよ^^
文字が多いと言ったのもそういうこと。
2/3ぐらいにシェイプできると思いますよ。
「せりふ」とその動作は実際には同じ時間に存在しているものでしょ?
それを一々書いていれば、読み手は倍の時間を消耗してしまいます。
恭介さんのイメージでは同時の進行でも、読み手は倍の手間です。
そういうことです。
少ない文字で、情景、心情などを伝えるのが筆力というものでしょ?
文章はトレーニングです。よい文章に多く触れてください。
恭介さんが今のままでいいとおっしゃるのなら、それでいいのですが。
ちょっとでしゃばりましたね?ごめんなさい。
さすがに毎日は、ムリですね~
次回は、3日後か1週間後か、1ヵ月後か・・・。判りませんw
このシリーズはあまり人気ないので読みにくいのだと思います。
文字が多すぎというのは、余計な文字が多いということかな?
脳裏のイメージを読み取って欲しいとは思ってないですね。
そんな歪んだ読み方する人居るのかな?
文字から伝わる情景を、それぞれの感性で再生すればいいと思っています。
赤い花が咲いている。この赤い花をチューリップにしようが、薔薇にしようが、ハイビスカスにしようがそれは自由だと思います。ですから、うるかさんの抱いたイメージは、それが正解。不正解はないのです。
疲れ果てて、もう読む気がしないという結論でいい、と思いますよ。
読み手の経験や知識が書き手より高い これは関係ないと思います。
もとから、書き手の表現を書き手のまま再現して欲しいと思ってません
それぞれのイメージで再現してもらって構わないので
読み手の知識に準じた情景になるのではないでしょうか?
そもそも知識に高低差があると思ってません。
それはたかだか専門領域の違い、つまり方向性の違いであり
高さなんて、そう変わりませんよ
源氏物語を、平安の知識がない人は、読めないのか?
答えはNoであり、専門知識がある人は、ほんのちょっとだけリアルに再現が出来る程度だと思います。
ただし、リアルが必ずしも、楽しく読めるとは限らないのですけどね。
固めの文章を窮屈と感じているなら、読む本のジャンルが偏ってませんか?
確かに、論文書いたりすることもあるので、ガチガチの文になることもあることは否めませんがw
まあ、それも味の一種かなぁと思っています。
抑揚を持たせない というのは恐らくメリハリが効いてないということなのでしょうが
2000字という少ない文字数でメリハリを効かすのは案外難しいものです。
結構長めの話なので、全体でメリハリは効かせればいいかなぁ~程度に思っています。
引きだけは、各話一応強めにしようと考えてありますけど
コレだけをやってればいいというプロではないので、その辺は温かい目で見てください
所詮、場末のブログのタワゴトですw 読んでる人もそれほど居ないので、このまま最後までやっちゃおうかと
発信することに心奪われては居ませんよ
だったら、こんなだらだらペースでやってませんw
貴重な意見ありがとうございました!
文字にされた恭介さんの脳裏の情景を想像するのに、読者は大変なエネルギーを消耗してしまうよ。
恭介さんは、もっと読み手のイメージと読解力を信じることから、自分の描きたい情景の描写法を吟味してみてはいかがでしょうか。
小説は、書き手と読み手がそれぞれのイメージを反映させ合うもの。
たとえば読み手の経験や知識が書き手より高い場合、文字よりも豊かな情景をイメージすることが出来ます。
恭介さんの文章はそれを阻害しています。
恭介さんは、あなたの頭の中に浮かんでいるあなたの情景を抑揚を持たせないまま細かく羅列しているだけのように思います。これでは読み手は疲れ果ててしまうでしょう。
行間にイメージの空白を残すことです。
それによって、物語に弾力が生まれます。書き手と読み手のイメージは違って当然なのですから、余計なお世話は省略しましょう。
そうしたら、このような窮屈な文章にはならないと思います。
物語を発信することに気持ちを奪われないで、読み手が何を思えるかを斟酌してみてはいかがでしょうか・・。
生意気言ってごめんなさい><