創作小説「剣術の祭典」(2/3)
- カテゴリ:自作小説
 - 2010/10/08 18:55:52
 
「平行世界シリーズ」
 
第2話
「次、いよいよ決勝だな。俺も出たかったのにも王族は参加出来ない決まりとかで許しちゃくれないんだよなー!」
 これまで幾度となく聞いたボヤキを曖昧な笑顔で流す。
 立場的に公平な試合に望めないからという最もに理由もある。ルクウート国だけではなく他諸国の王族も参加不可。
 外交問題に発展する恐れもあるから。
 好きで参加したわけではないが、他国の王族の出身であるエフェルファことエイーナ=テニトラニスとしては、この問題は笑ってごまかすしかないのである。
 もちろん誰にもバレていないので深くは気にしていないのだが。
「腹ごしらえしようぜ」
 本来の目的はそれで、エフェルファを呼んだのだろう。
 街中で食事をすれば人から声をかけられそうでどうしようかと思っていたので、むここは申し出をありがたく受け取ることにした。
 それに、今日は最後の日だったから。
 剣士・エフェルファの。
 青空の下の闘技場は人で埋め尽くされていた。
 全く無名の剣士が若輩の部であるが将来有望視された青少年達を次々と負かしていったからである。
 それも線の細い、女性と見間違いされそうな少年が。
 決勝戦。
 エフェルファと体重は2倍以上もありそうな大柄な人物が対戦相手だった。
 手に持った剣は体格に合った太く長い刀身。
 対するエフェルファは細く鋭利な長剣。
 主催席の横には怪我をした時のために救護場が設けられている。扱う武器は真剣。双方が無傷では済まない勝負。
 開始前にエフェルファはつい視線をそちらの方に向けてしまう。別に助けを求めているわけでもない。
 傷の手当てをする医者以外の深緑色の法衣をまとった者が数人、そこに座っているからだ。
 彼等の存在を知ったのは去年の祭典だった。
 剣の勝負ということで大きな怪我を負う者も少なくない。誇り高き剣士達は傷を負ってもなお、相手に挑むことをやめたりしない。過去において試合で命を落とす者も数多くいたのである。剣士の死を無くすために取られた対策のひとつとして彼等は役目を果たす。
 魔導士。
 不可思議な魔導の力を駆使して様々なことを行う彼等は瀕死の傷も数日の休息が必要というくらいまで数秒で回復させることができるのだ。
 そのため祭典には依頼されて山に囲まれた小国・ソハコサから数名の魔導士がやってくる。
 ほんの噂程度にしか聞いたことのなかった魔導士とその実在する魔導の力にエフェルファ、いやエイーナは興味を持った。
 魔導を習得することが出来れば…助けられるかもしれない、と。
 カーンカーンカーン
と試合開始を告げる鐘が会場内に響く。
「始め!」の主審の声は人々の歓声にかき消された。
 エフェルファは総ての雑念を振り払い、剣を構えた。
体格から放たれる攻撃力は相当なものだろう。
 素早い動きで剣を避けながらどうやって攻撃をすればいいのか思案していると、一瞬の隙をつかれて反応が遅れた。
 肌には傷は付かなかったが、衣服が犠牲になった。
 剣を握りなおして間合いを取る。
 さすがに決勝戦。
 隙を見せれば確実に攻撃を仕掛けてくる相手は一流の腕の持ち主だ。本気で集中しないとカスリ傷ではすまされない。
 相手もまたエフェルファの動きに手応えを感じ、楽しげな表情を素直に現していた。
 そして、その彼の純粋な心がエフェルファの負けず嫌いな心を呼び覚ました。
 別に負けてもいいと思っていた。
 有名になっても動き辛くなるだけだし今日でエフェルファは消えていなくなると判っていたから。
 地位や名声はいらない。
 でも純粋に戦いを楽しんでいる相手と対峙してしまうと本気で戦いたくなる。
 勝負の勝つ楽しさを思い出さずにはいられない。
『今日が最後だから、目立ってもいいか』
 開き直って覚悟を決めたエフェルファは間合いを詰めて攻撃を開始する。
 激しい攻防の撃ち合いに観客は声援を送る。
 勝負は一瞬で決まる。
 何とか激しい攻撃を避けていたエフェルファの重心のバランスが崩れた。
「あっ」
体勢を整えるよりも早く、魂身のひと降りがエフェルファに向けて放たれた。避ける暇がない。
 細身の剣を盾にしたエフェルファの動きに会場の誰もが刀身を折られ傷を負った彼を思い浮かべた。
 しかし。
 息を呑み、静まり返った会場に響いたのは刀身が折れる音でもエフェルファのうめきでもなく、ぶつかり合った剣の金属音のみ。
 3倍程もある大剣をエフェルファの剣は受け止めていたのだ。
「なっ」
 これには相手も驚きの表情を隠せなかった。
 その瞬間、エフェルファの剣は大剣のもとから姿を消し、彼の首元に浅い一本の傷を付けて止まっていた。
 数秒間、誰も動けなかった。
 判定をする主審さえも言葉を無くしていた。
 カラン……と大剣を落とした音が皆を正気に戻させた。
「勝者、エフェルファ!」
 審判の宣言のもと闘技場が揺れるほどの大音響があがった。
第2話目です。次で最終ですw
エイーナくんの剣の師匠は「次期王~」のマキセくんでーすw
そんなつながり♪
		


























続く早く読めるから・・うれしーのだ^-^
以降は直っているはずww
頑張ってWATEDを書きまするーw
今までの終わり方がずーっと気に入らなくて…この機会に変えてやるーってw
これで3回目だったりするw
キバさん登場させたから、まとまりつくかなぁとwww
1話から読みましたー。「WANTED」の続きも待ちながら、こっちも楽しんで読みますb