Nicotto Town


ドリーム・バー 「デスシャドウ」


春谷探偵物語 第1巻「序章~始まりは殺人~」25

 やがてサイレントともにパトカーが何台も到着する。幾名かの警察官が現場検証し始めた。
 「ええっと、発見者は?」
 一人の年老いた男が救急隊員に聞く。彼は二人を指さして仕事へ戻っていった。
 「第一発見者だね。私は宮津署の坂井です。まずは名前を聞こうか。」
 「太田 陽子です。 こっちは友達の小田 信二です。」
 彼女は未だ呆然としている彼を抱き起こして言った。
 「ありがとう、もう大丈夫だ・・・。」
 小田はなんとか立ち上がり答えた。
 「さっそくで悪いんだが、状況を聞かせて貰えないか?」
 彼は発見した状況を坂井に説明した。
 「すると、君たちは参拝が終わった後に、叫び声が聞こえたのでこちら側へ来たんだね。」
 彼はメモを取りながら聞いた。
 「ええ。 そこに彼女が倒れていたんです。」
 小田は指をさした。
 「で、日射病かと思い、日陰に移動した。」
 「そうです。」
 「その時、何か不審なものはなかったかね?」
 「いえ、何も。 足音すら聞こえませんでした。」
 「救急車は誰が呼んだんだ?」
 「私です。」
 太田は軽く手を挙げた。
 「彼女が救急車を呼んでいる間、君は何を?」
 「救急車が到着するまでの間、彼女が叫んだ原因を調べようと思って、辺りを散策しました。」
 「で、死体を発見した・・・。」
 「・・・です。」
 小田は軽く頷いた。
 「なるほど・・・。 お二人さん、ここでも何ですし、チョット署の方まで来てもらえますか? ここじゃ、暑いでしょ?」
 すでに野次馬で一杯の事件現場から二人は坂井に連れられ、宮津署へ向かった。

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