瞳の中の少女…17
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/15 22:25:39
僕は放送室に戻り、部のみんなと新年明けてからのスケジュールを決めていた。
桂木も仙道君もそれぞれの部活に汗を流していた。
しかし、こういう時に放送部のスケジュール会議は長引いた。通常なら一時間もあれば決めてしまうのに、みんなの意見が割れていつもより長時間かかってしまう。
終わったときはもう、6時15分だった。
やきもきして会議なんてそっちのけだった僕は、いそいで正面玄関に走った。そこには…。
誰もいなかった。普通は待ってくれるはずだが…
「真田!」
声を掛けたのは、同じクラスでバスケ部の金田だった。
「今、帰りか?」
「ああ、金田、桂木知らないか?」
「桂木?もう帰ったと思うぞ。なんかえらく慌しくしてたけど」
「…そうか」
僕は辺りを見回す。仙道君も井上さんもいない、桂木もいない。どうなっているんだ?
「じゃあ、また明日な」
金田は僕のあたふたした姿を気にも留めず、そそくさと帰っていった。
どうしたらいいのか分からずにいると、そこにまた女子バスケ部の数人が帰り支度を終えて玄関へときた。喋ったことの無い同級生だったが、勇気を出して声を掛けた。
「あの…1年生の井上さんはどこにいるか知らない?」
女子たちは、なんか勘違いしているのかちょっと笑みを浮かべながら言う。
「井上さんなら、仙道君が迎えに来てたわよ」
「なんか送ってもらうみたいだったよ」
「そう、ありがとう」
女子たち数人はかなり誤解をしているようだ。僕のことを変な目で見ながら学校を後にした。
そして、僕も学校を出た。
どうして僕だけ置いてけぼりになったんだ?遅れたといっても数分だ。それなのになんで?とりあえず走った。
その時、ポケットに入れていた携帯電話が鳴った。表示画面を見ると叔父と出ている。
僕はその電話を無視して走り出した、重要な電話だとも知らずに。