瞳の中の少女…16
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/15 21:39:59
体育館へ行く途中に、僕は二階の窓から下校するある女生徒を見た。綺麗と言ってもあまり喜んでくれないような、漆黒の黒髪が風に揺れている。
僕は釘付けになる、そこから飛び降り吸い込まれてしまいそうな黒髪に。
後ろ姿でもわかる。僕が密かに思っている、二つ隣のクラスの長谷川さんだ。僕は校舎の影で彼女が見えなくなってしまうまで そこを離れることができなかった。
今から大変なことが起きるかもしれない時に不思議と僕は冷静だ。
体育館に着くと、バスケットのボールが弾む音が大きく聞こえる。
練習をしている桂木を呼びだし仙道君が井上さんから手紙をもらったことを告げた。
「そうか井上だったのか・・・わかった。練習が終わったら俺が声をかけてみるよ。多分今日は6時には終わると思うから」
「仙道君もテニス部の練習が終わったら一緒に行くことになってるから。じゃあ、6時15分頃正面玄関で・・・っと、その前に井上さんって、どの子?」
井上さんも同じ体育館の舞台のある側で練習している。彼女は何も知らすに綺麗な汗をかいていた。
「あの列の一番後ろにいる小さい子だ」
井上さんはパスの練習のため、列の一番後ろで前の子と軽く喋りながら順番が来るのを待っている。先ほど仙道君に渡した手紙のことでも話しているのだろう。桂木は小さく指を指した。僕は確認した。
「かわいい子だな…家はどこら辺なの?」
「どこら辺なのかは分からないな…ちょっと待てよ…井上って言ったら確か中学卒業後T県のI市から引っ越してきたって聞いたことがあるな」
「T県I市って言ったら仙道君と同じ?」
僕は少し嫌な胸騒ぎを覚えた。桂木も同じく感じているのだろう、引きつった笑みを浮かべて言う。
「そりゃあ…偶然だよな」
「もしかしたら、I市にいたときからずっと仙道君のこと好きだったのかもな?同じ中学だったりとかさ」
「同じ中学?…そんな偶然ねぇだろ?」
「いや、仙道君のさっきの感じ…昔から井上さんを知っているようにも思ったから…」
「まあ、そのことは後で聞こうぜ」
もう一度、二人一緒に井上さんを確認する。彼女は笑顔だ。
「じゃあ後でな」
僕は体育館のドアを閉める間際に扉のわずかな隙間から井上さんをもう一度見た。彼女はパスの練習を失敗して照れ笑いを浮かべている。そのしぐさが可愛いらしかった。
ここは言わないでおきましょう^^
さあ、どうなるでしょうか?
物語は終わりに近づいています
新しい登場人物長谷川さんは、どんな伏線なんだろう、などと読んでみるけど、当たり前ながらわかりません。
うーん、楽しみ♪