瞳の中の少女…6
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/09 22:09:46
「桂木君に、真田君だよね?」
「やあ、初めましてだね仙道君…君も家はこっち方向?」
僕と桂木は突然の面通しにあたふたし、苦笑いの愛想笑い。だが仙道君の顔は友好的に話かけたのではないのがわかるほどに青ざめている。何か相談があるのか、口をぱくぱくして声を出そうか出すまいか迷っている。改まって友達でもない僕たちに声をかけたくらいだから、何か大事なことがあるのだろう。
「真田君、突然で悪いんだけど君に相談があるんだ、いいかな?」
「相談?」
「悪いと思ったんだけど、職員室の前での君の話を立ち聞きしたんだ。君の叔父さんは刑事なんだね?」
「うん」
「今度の事件のことで、警察にひとつ言いたいことがあるんだ」
桂木は事件と聞いて身を乗り出してくる。
「事件の事ってなんだよ?」
仙道君は眼前に迫った桂木の顔を避けるように下を見る。僕は桂木を制し改めて仙道君に聞き直す。
「わかった聞くよ。ただ叔父さんだからと言って、僕が呼んで今すぐ来られる人じゃないよ。そこは理解してくれる?」
了解してくれた仙道君の話を聞くため近くの公園に行った。少し顔色の戻った仙道君は口をもごもごしながら話し出した。
「関係ないかもしれないんだけど、今度の事件で亡くなった河合さんから手紙をもらったんだ…ラブレターを」
「ラブレター!?」
桂木は細い目をして仙道を見る。
険しい顔を崩さず仙道君は河合さんからもらった手紙を鞄から出した。
僕は封筒を取り名前を見る。女性らしい字で河合有紀と書いてある、間違いない。中身は入ってなかった、まあ僕は見るつもりはなかったけど。
「これが何か関係あるの?」
ラブレター自体、なんら不思議なことではないと思った。なぜなら彼は格好いい。頭もいいし運動神経もいい。何処の誰かが仙道君を好きだという噂は、彼が転校してきてから絶えずあった。それほど彼は女の子に人気がある。
「それが…その前に襲われた三人からも、告白されて…」
「えっ!?」
僕と桂木は同時に咆哮した。
確か1人目の被害者は1年生の吉川さん、2人目は3年生の森山さん、3人目は同学年の新谷さん。幸いにもこの3人の命に別状はない。この被害者3人に加え河合さんの計4人が仙道君に想いを寄せていたことになる。そして、海沢高校に転校してから告白されたのはこの4人だけらしい。
「これは…偶然とは言いがたいね」
「それぞれに返事をしようと思った…その矢先に…」
「そう…言いにくかったら答えなくていいけど、返事はイエスだったの?それともノー?」
「告白してくれた4人には悪いんだけど。付き合うつもりは・・・・」
僕は気持ちを察して何度も頷いた、答えを早く終わらすために。
僕と桂木は仙道君に何を喋っていいのかわからなくなった。こんな時にかけてあげる話が頭に思い浮かばない、今日、それも今初めて彼と話したのだから詰まるのも無理はないのだろうけど。
でも意外なところで被害者の新たな共通点が見つかった。海沢高校の生徒女性、そして皆、仙道君に告白している。
僕はあまり考えたくないことを頭に思い浮かべた。
「告白されたことを誰かに喋ったり、見られたりした?」
「森山さんと新谷さんの時は、周りに少し人がいたような。僕は誰にも喋っていない、今日君たちに話したのが初めてだよ」
僕は無意識に手を額に当てた。いかにも探偵らしく。
「仙道君への告白が通り魔と関係あると言うことは、この学校の関係者が事件に絡んでいるかもしれない説が出てくるんだけど、仙道君はそう思っているの?」
「いや、決してそういう事じゃ…」
仙道君は自分が悪いことでもしたかのように、僕から目をそらした。僕は君を責めているんじゃないと分からせると、彼は平静を取り戻した。
確かに仙道君はキーマンになってきます
あまり言えませんけれど^^
次の展開をお楽しみに♪
被害者に意外な共通点がっ?!
これから仙道君の周りに注目、ですね?