瞳の中の少女…4
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/08 21:06:38
「何かあったのかな?」
隣の席の桂木が呟く。
僕は何気なく教室を見回した。僕は比較的前の席だったから気が付かなかったが、一番後ろで窓際の席の河合有紀がいない。病欠かとも思ったが昨日はすこぶる元気だった。
僕はすぐにぴんと来た。
『通り魔だ』
クラスのみんなはテストが遅れることに一喜一憂している。その中で僕は直感していた、また事件が起きたことを。
河合有紀が襲われたんだ。
桂木にその事を話そうとしたが、彼は教科書から目を離さない。桂木だけではない、クラスメイトもテストの備えに集中して、河合さんの事を病欠としか感じていないのだろう。
十分後、先生が教室に戻り簡単なホームルームを行い、何事もなかったようにテストが始まった。
日本史と英語のテストが行われている時間も、僕は河合有紀のことを考えてしまい集中できないでいた。二年生になって初めて一緒のクラスになり、今まであまり喋ったことはないが、こうなると幼なじみの様に気になる。
心に黒雲があるままテストは終了した。
テスト期間が終わったので、みんな安堵の表情を浮かべている。その中で僕の顔だけは曇っていた。河合さんのことを、通り魔であって欲しくない、病気であって欲しいと。
それもつかの間、ある人物が学校に来ていたことで、その思いは崩れてしまう。
僕が担当している職員室前の廊下を掃除している時に、叔父の圭輔が職員室から出てくるのを見てしまった。
僕は思わず駆け寄った。
「叔父さん」
「…俊一」
叔父は気まずい顔で僕の顔を見る。
間違いなく事件が起きた、それもまたここの生徒が狙われた。その事実を聞かれたくない顔だ。
「また来ているって事は事件が起きたんだね」
「そうだ…わかっているだろうけどあまり生徒たちには言うなよ」
叔父は周りを気にしながら小声で話す。
「いずればれるから、いつ言ったって一緒だよ。で誰が?」
誰なのか聞いたとたん、叔父は口を紡ぎ目を閉じた。犯人を捕まえられない警察の不甲斐なさを嘆いているようにも見えた。
「俊一のクラスの河合有紀さんだ」
「…やっぱり。うちの担任が朝から慌ただしかったかし、今日は彼女の姿が見えないから。それで、被害は?」
「まだ、誰にも言うんじゃないぞ」
僕は頷いた。そして次の言葉は、僕の予想を遙かに上回る答え。
「彼女はたった今亡くなった」
一連の通り魔で、初めての死者となった。突然、僕の体は震えだし止まらなくなった。
「いいか、発表があるまで誰にも言うなよ」
叔父はそう念を押して、足早に帰っていく。僕の返事も待たずに。
「わかってるよ」
目の前の誰もいない空間に僕は答えた。まだ震えは続いていた。首を振り体に力を入れると、ようやく体の震えが止まった。
こんばんは^^
連続通り魔事件、これからどうなるんでしょうか?^^
お楽しみに♪ドキドキして待っててください♪
最悪の事件の幕開けですね。
あー、ドキドキするぅ~。