~firefly~①
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/05 14:50:19
~~~~~
私は、ずっと居場所を探していたんだ。
特に何も不満のない毎日。
平凡に、家族がいて、友達がいて、別に不自由な悩みもない。
たまに勉強やテストという、ちっぽけなことに頭を使うだけで、
それができなかったからといって、命まで取られることはない。
そう、毎日同じことを、繰り返しながら生きてるだけ。
それは、下手に反抗するより、一番楽な方法だけど、他に、何があるわけでもない。
何も知らなかった私は、純真無垢な心で、ひたむきに信じて生きてきた。
この生活が、いわゆる「普通」というものなんだと。
だけど…ある日、ふと、見つけてしまったんだ。
自分の中の物が、全て逆転してしまいそうなほどの、大きな「何か」を。。。
~~~~~
とある女子高の、地下にある図書室の一角。
そこは、知る人ぞ知る、さびれた空間。
ぎっしりと並ぶ数多くのメカニズムに対し、人数は、まばら。
かすかに湿った空気と、閉塞感に襲われるのが苦痛にならない人だけが、
そこに存在することを、暗黙の了解で許されている。
ヨウは、ここに一人でいる時が、何だか一番落ち着くと思っていた。
別に、人が嫌いなわけじゃない。
友達とバカな話をしながら騒ぐのだって、楽しいと思う。
だけど…人は、いつだって、多くの物を知らずに求めてしまうものだ。
いつの間にか、気付くと理想だけが先走って、勝手に幻の世界を作ってしまう。
そして、少しでも空間に歪みが出来たりすると、諦めて投げ出してしまう。
理解し合うことに疲れ、自己完結で無理矢理、納得させてることに、誰も気付かない。
皆が、平然と、自立したふりをして、笑顔を作っている。
「…本当の孤独に耐える度胸なんてないくせに。」
一人、自分に向かって愚痴りながら、ヨウは苦笑いする。
うん、わかってる。誰よりも特別になりたくても、誰よりも自分が普通なことは。
何より、今、自分が一番、しなければならないことが、出来ていない。
レポートの締め切りまで、あと三ヶ月。追い込みの為に、ここに通っているのだ。
でも、いつも、この場所に座ると、どこか別の場所にトリップする感覚に陥ってしまう。
きっと、何か、ここに麻薬的な要素があるんじゃないか、と確信している。
でも…それでもいい。もう、ここから逃れようと思っても、手遅れなのは、
自分が一番、よく知っている事実なのだから。。。
~~~~~
それは、ある蒸し暑い日だった。
そろそろ初夏の扉が開かれようとしている、その日。
いつものように、ヨウは、自分の特等席に座って、作業に追われていた。
外は、抜けるような青空だったけど、今日は、もう見れそうもない。
でも、軽く入れられたエアコンが心地良い。
…ふと、空気の流れが、何だか異様に変わる瞬間を掴んだ気がした。
頭の芯が急にズキズキと痛み出す。何、これ???
いきなり、頭の奥底に、見知らぬ声でメッセージが流れ込んできた。
「・・・コチラ、ファイ・・・アナタハ、ダレ???」
機械的だけど、何だか懐かしいような雰囲気を醸し出す声に、
最初は戸惑っていたヨウ。試しに、頭の中で語りかけてみる。
「…私は、ヨウ。…ファイ?あなたは、どこにいるの???」
ドキドキしていたのも、束の間、すぐに頭の中に声が響く。
「ヨウ・・・ボクハ、花ノ香リニ、包マレテイル・・・」
怖さよりも先に、心が弾み、ずっと聴いていたいと思わせる、不思議な旋律。
「惹かれる」とは、こういうことなのかもしれない。
気付いた時には、もう、後戻りなんてできず、あとは進むだけ。
そう、たとえ、この身の破滅しか待っていない未来だとしても。。。
~~~~~
ピチピチの女子高生の設定ですwww←
わりと、頑張って書いたけど、そんなに長くなかったという^^;
どうぞ、続きへ~wwwww
そこはかとない別世界への扉がどきどきします・・///
ヨウっていう名前に、男・・?? と思ったけど、女の人かな・・?(口調的に)
続きも読んでみます^^