Nicotto Town


ドリーム・バー 「デスシャドウ」


春谷探偵物語 第1巻「序章~始まりは殺人~」4

 太陽はもう西に傾き掛けている。綺麗な夕焼けだ。小田はラッシュの始まった高知市街を抜け、五大山展望台に到着した。
 「ええっと、このレストラン前だな。待ち合わせ場所は。」
 夕方とはいえ、まだ明るい18時前と言う時間だが、レストランは若いカップルで込み合ってきている。坂出で出会った時は赤い帽子が印象的だったから、赤い帽子を被った女性を捜せばいいわけだ。   彼は辺りを見渡した。夕焼けに反射して頭がどれも赤く見える。程なくして赤い帽子を被った女性が現れた、あの女だ。
 「どうもすいません、呼び出したりして・・・・。」
 彼女が頭を下げた時、丁度風が吹いて赤い帽子が飛ばされそうになったのを必死で押さえながら彼女は言った。
 「別に構いませんよ。今日の仕事はもう終わりましたから。で、何のご用でしょうか?」
 彼はその姿に少し微笑んで言った。
 「初めて会った小田さんに失礼なんですが・・・・。実は、頼みたいことがあるんですけど・・・・・。聞いて貰えるでしょうか?」
 彼女の問いに小田は少し戸惑った。が、それは一瞬の出来事ですぐに口を開いた。
 「・・・・・・・。まあ、いいでしょう。そうですね、ここでは何ですし、私の知り合いのレストランにでも行きませんか?丁度、腹も減った頃でしょう。」
 彼女は笑って頷いた。彼も笑い返して聞いた。
 「そう言えば、貴女の名前を聞いていませんでしたね。」
 「そうでしたね。私ったら、すっかり忘れていました。 太田 陽子と言います。」
 「太田 陽子さん、いい名前ですね。  じゃ、行きましょうか。」
 小田と太田は夕闇せまる展望台を後にして、彼の知り合いが経営しているレストランへと向かった。


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