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ドリーム・バー 「デスシャドウ」


春谷探偵物語 第1巻「序章~始まりは殺人~」1


 原作  トチロ~ こと 神風 香京(かみかぜ かきょう)
 1992年度作品  春谷探偵物語  第1巻 「序章 ~始まりは殺人~」 


 「本日もJR東日本を御利用いただき、誠に有り難うございます・・・・・。」
 通勤ラッシュが終わった時間帯でも、夏休み初日ということもあってか、旅行者で込み合っている東京駅。その10番ホームにアルミのカメラケースと旅行鞄を持った男が一人上がってきた。手にはテープレコーダーを持って何か呟いている。彼の名は・・・・・。


 プロローグ


 「私の名は小田 信二、25歳。新宿にあるフォトハウスに勤務しているカメラマンである。本日は、平成6年 7月20日、月曜日。今日から一週間、旅雑誌の取材で高知へ向かう。これはその記録を収めた取材記録である。 今、私は東京駅の10番ホームにいる。あと幾分かでここに寝台特急の瀬戸が入線してくる。」
 彼は一端そこでテープを止めた。そして溜息を一つつき、バッグから近くのコンビニで買った缶コーヒーを手にした。
 「10番線ご注意下さい。間もなく列車か到着いたします。危険ですから白線の内側におさがり下さい。」
 場内アナウンスが流れて暫くすると、EF65型電気機関車に牽引されたブルーにシルバーライン2本が入った客車がホームに入ってきた。1990年からA個室寝台とラウンジカーを連結した寝台特急『瀬戸』はまた一段と新しい姿を見せて旅行者を喜ばせていた。場内アナウンスが列車の行き先を流している間に、小田は列車に乗り込み、A寝台個室へと向かった。交通費が会社から出たので、彼は奮発して予約したのだ。
 「へぇー、思ったより中は広い。でも少し圧迫感があるな。 ん、鏡と洗面台付きか、これは楽だな。」
 小田が席に腰を下ろし窓の外を眺めた。通勤ラッシュも終わった東京駅は、子供連れの旅行者や残業を終え疲れた顔をしたサラリーマンがホームで電車を待っている。時たま酔っぱらった男性が大声で叫びながら歩いていく。そこへ車内放送が流れ、列車の行き先や到着時刻を説明している。
 「まだ発車まで時間があるな。ビールでも買ってくるか。」

 けたたましく発車のベルが鳴り、汽笛を短く鳴らした瀬戸は、定刻の21時丁度にゆっくりと東京駅を出発した。小田はこの時、自分が殺人事件に巻き込まれようとは、知る由もなかった・・・・・・・。

#日記広場:自作小説




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