叶わぬ願いはもういらない…12
- カテゴリ:自作小説
- 2010/08/30 22:07:27
僕たちはスクランブルに到着した。大学からはバスで5~6分、意外と繁華街と大学は近い。
たくさんの人が楽しそうに歩いている。僕たちもこれから楽しいコンパだと思うとウキウキしてきた。
木下の携帯が鳴り何やら話している。今日来る女の子からの連絡だろうか?
「先に居酒屋に入っててくれって」
スクランブルから1区画、15mほどのところに目的地の居酒屋がある。地下への階段を降りるとモダンな感じの入り口が見えた。
居酒屋にしてはかなりお洒落な感じで、女性が気に入ってくれそうな店構えだった。
僕たちが店に入ってから15分ほど経とうとしていた、店員さんはまだ注文をしていないことへの戸惑いからか心配げな顔でこちらをちらちら見ている。木下の携帯がまた鳴った。
今回は少し長く電話している。もしかして、今日はドタキャンとか?こんなマイナスな勘はよく当たる。それならそれで4人で飲んで帰ればいいさ、テスト終わりのお疲れ会として。いやいや、女の子が来ないとしたら残念だと感じなければいけないんだ。
「今来ますって」
僕以外の3人は満面の笑みになる、それに釣られて僕も笑顔になる。
暫くすると居酒屋に続々と女の子が入ってきた。女の子を見る、みんな可愛い。
「こんばんは」
「こんばんは」
しかし、席に座ったのは3人だけだった。一人足りない。申し訳なさそうに一人の女の子が話した。
「一人ちょっと遅れてくるみたいなんで、まずはこのメンバーで始めましょう」
「OK!」
男女七人はさっそく乾杯した。お喋りの楽しい時間、久々の酒とこの空間が心地よかった。
一段落すると、女の子の一人の携帯が鳴りだす。
「遅れて来る子、もうすぐ店の前に着くって」
「ミヤさん、表まで迎えに行ったらどうですか」
「よっしゃ」
僕は浮かれ気分で店の前まで出る。酒が入っているので少しふらついていた。
辺りを見渡すと、夕方よりも人が溢れている。そして、僕は目を見開いた。人ごみの中に懐かしい顔が見えたからだ。こんな人だらけの、人ごみの中でも、彼女だけは見分けられた。明らかにこちらへ近づいてくる。
店の前にいた僕の目の前まで来た。僕は何もできない子供のように震え、そして動けなかった。
目の前には、夢の中に出てくる面影より少し大人びたルミがいた。
「……ルミ」
「……成二」
再会しましたね^^
これからどうなるんでしょうか?ドキドキしてくださいね^^
お楽しみに♪
うわぁ、やっぱりここで再会しちゃうんですね。
夢のお告げ、ですね。
ここから二人がどんな風になっていくのか、ドキドキです。