叶わぬ願いはもういらない…11
- カテゴリ:自作小説
- 2010/08/29 21:56:48
僕は神田と別れ、昼食をとるために大学に付属されている食堂へと向かった。
食堂は去年一新されてかなり小奇麗になった。ちょっとしたカフェのように。
食堂には今日でテストが終わった学生たちがたくさんおり、楽しい会話が飛び交っている。僕は注文してすぐに出てくるカレーを頼んで、空いている窓際の席に座った。
まったく食が進まず温かいカレーを持て余していると、隣に同学年の木下が座ってきた。木下は同じ高校の後輩だったということで授業中に意気投合し、よく一緒に授業を受けている。木下はA定食を持ってきていた、美味そうだった。
「モトさん、お疲れっす」
「おっす、お疲れ。おっ、定食美味しそうだな、俺もA定食にすればよかったな」
「あの~、突然で悪いんですけど」
木下は前置きもなしに話す、そんなときは突然のコンパの話だと思われ。
「今日空いてますか?コンパがあるんですけど」
やっぱりコンパだ。近頃、夢でしか聞いていない言葉だな。しかし、いつ聞いても高揚しない言葉だ。
「こっちの人数が1人足りなくて、やっぱり人数が合わないとマズイですし、しらけるじゃないですか」
「うーん、こっちは他に誰が来るの?」
「高木と町野が」
この二人も高校の後輩。聞きなれている名前、代わり栄えしない名前だ。まあ、知らない奴より安心はするけど。
「なーんだ、じゃあ、いつもの三野高校グループか。他にいないの?コンパ好きの寺田はどうしたの?」
寺田は3年から始まったゼミで知り合った男で、なかなか面白く僕たちの集まりではムードメーカーだ。彼がいるとコンパの盛り上がりが良く、コンパでは頼りになる存在だ。
「それが、あいつ彼女できたんですよ昨日」
「へー、良かったじゃん。あいつ彼女できるの初めてなんじゃないの?」
なんか聞きたくなかった、あいつが彼女いるのになんで俺が?そんなやっかみを考えている人はたくさんいるんだろうけど。でも祝福しなきゃな。
「モテナイあいつが信じられないっすよ、さっき写真見せてもらいましたけど、年下の子でなかなか可愛かったです」
「ふ~んそうか、で、俺は寺田のピンチヒッターか」
「縁起悪いですけど、お願いします」
十分ほど前の神田とした会話を思い出す。
『じゃあ、忘れるんだな』
簡単なことじゃないがルミを忘れる決断しなければならなった。新しい恋が始まるかもしれないんだ、その切欠があれば積極的になろう。
僕は行くことにした。
「わかったよ。じゃあ何処で何時?」
「助かります。街のスクランブルに5時半です」
「了解…ところでさ、テストどうだった?」
「ぜんぜんダメでした」
「そうか……」
今日の夜に楽しいコンパがあるというのに、落ち込む2人。家に戻るのもめんどくさいので、大学内で時間をつぶし、男4人で一緒にコンパへ行くことにした。
そうですね、勇気が必要ですね
ネタバレになるので言わないでおきましょう^^
お楽しみに^^
新しい第一歩を踏み出す勇気が必要な時もありますよね。
この展開で新しい恋になるのかはビミョウな気もしますが。
さて。次のストーリー楽しみにしてます。