創作小説「本物を探して」1
- カテゴリ:自作小説
- 2010/08/07 00:46:50
プロローグ
ある日。父に呼ばれた。
「隣の大国の第2王子と、婚約してもらうからな」
突然の言葉に絶句するしかない。
目前から父、小国の王が姿を消すまで何も考えられなかった。
誰もいなくなった広間に王女の絶叫が響き渡った。
「嘘でしょー!!」
☆ ★ ☆ ★ここは大国に挟まれた小さな国、テニトラニス。
小さいながらも海辺に面しているため、繁栄している国である。
私はそこの王の娘、一応「お姫様」なのよね。
今回の事件の発端は父王からの突然の言葉。
よく言う政略結婚って訳なの。
自室の窓辺で小さく溜息をついた。
政略結婚はこの現在、良くあること。今の時代に恋愛結婚したいって大それた思いは持っていないわよ。
でもね、でも。
「何で、24才の奴と結婚しなくちゃいけない訳?」
つい口に出して愚痴がこぼれてしまう。
私はまだ16才。
いくら政略結婚だって……もっと若い、同じ年頃の男がいいって思うのは贅沢かしら?
もうすぐその王子がこの国にまで来るらしいんだけど……。
言い忘れてたけど、私は一人娘。だから私と結婚するって言う事は、この小国の次期王になるって事なのよ。
でも、断ればこの国は終わり、のようなものなのだ。
政略結婚は国が繁栄するための絶対的要素。大国から護って貰うよう同盟を結ぶようなものだから。
いろいろ考えているとだんだん思考が暗くなってきた。
「あーもう! ムカツク!!」
イラ立ちを態度に表し、音を立てて椅子から立ち上がった。
こういう時は……。
慣れた手付き(?)で窓枠に足をかけた。そして、勢い良く私は下へ飛び下りたんだ。
私の部屋は二階。それでも簡単に飛び下りれるって度胸あるのかもしれない、なーんて自分で誉めたりなんかして。
庭を見張っている者に見つからないようにして、私は城を抜け出した。こう言う時には自分達の城が小さくてよかったって思う。堀もないし。
思いっきり遊んで来ようって決心して、お忍び(?)で城下町へと繰り出して行った。
海辺で栄える国だけあって、やっぱり大変賑わっている。
町の人は私の顔は殆ど知られていない。
女だから城の中で大切に育てられたんだろうれど、私は親の思うようには育たなかったらしいわね。なんせこんな所に来ているぐらいだから。
長い金色(と言っても茶色がかってあまり光沢がないけど)の髪をポニーテールに結び上げ、町中を歩き回る。
今まで何回か来たことがあるので、地形には少し慣れている。部屋で地図を見て調べたりもしたけど、結構穴場を知っている。
もちろん危ない所へは足を踏み入れない。私だって命は惜しいもの。
いろんな所を見学して、楽しく町を徘徊していると、一人の男が前から走って来る。
これが結構、カッコいいんだわ。
人の流れに逆らってるものだからぶつかってふらついたりしているけど、そのたびに、
「すみません」
なんて誤っているのよ。
バラバラに切られた黒い髪。
その後を何人かが追いかけているのが判った。
彼らから逃げているらしい。
すらりとして背は高いが、力はなさそうに見える。
足首なんか女の私が妬ましく思うくらい細い。私が太いって訳じゃない。自信過剰かもしれないけど容姿には自信あるから。でも男のくせにあそこまで綺麗と女として許せないわよね。
しかし、
「助けてあげるのも悪くはない」
小さくいたずらっ子のように笑うと、彼が近付いて来るのを心待ちにしていた。
新しい小説です。短編なので5回くらいで終わるかな。
当時は一人称を書くのが苦手で、練習のために簡単な設定をたてて書き上げたという思い出があります。
書いたのは…15年以上前だわ(笑)学生の時ですね。
感想は次回チャットで★…ドキドキです、なんかコワイです~~(笑)
打たれ弱いので、お手柔らかにお願いします。
「本物を探して」3~5最終は一挙公開しますっ