『一寸先はお花畑』イベントテーマ「七夕」
- カテゴリ:自作小説
- 2010/07/07 01:31:29
cast: 鈴(リン) 颯(ハヤテ) 織姫 彦星
「は? 信じらんない!? 何なの?」
鈴は、大声を上げた。
颯は、両手で耳を塞いで、耐えた。
「こんなことなら、家に居た方が良かった!」
七夕の人手を甘く見ていた自分にも落ち度はあるだろう。
けれど、なにもそこまで怒らなくても…。と颯は思った。
だから、鈴の怒号には付き合わず、のん気に口を開いた。
「全然、花火見えませんね~」
「颯…」
鈴が、僕の名前を、そう呼ぶ時は、他の誰が呼ぶときとも違う、特別な響きで満ちていた。
悪意があって、慈悲深く、それでいて甘美だった。
「どうしてくれるの?」
「どうしてもって言われてもなぁ」
人波は、うんともすんとも動かず、二人はまるで、無人島に取り残されたかのようだった。
ポツ…ポツ……。頭頂部を冷たいものが叩いた。
空を見上げると、雫が強く顔を打つ。
雨が降ってきたのだ。
先ほどまで、まったく動かなかった人波が、一斉に蜘蛛の子を散らすように、てんでバラバラの方向に逃げてゆく。
颯と鈴も、アーケードの下へと滑り込んだ。
ざっと降った雨は、一時の涼を運んできたが、すぐにそれは、不快なものへと変わった。
湿度は、みるみる上昇し、まるで町中が霧で満たされた水槽のように…。
夜は、ゆっくりと霧の中へと沈んでいった。
『只今をもちまして、本日のプログラムは全て終了しました』
アナウンスが、湿った夜に木霊した。
鈴は、不満そうに、口を尖らせた。
「どう落とし前つけてくれるの?」
お前はヤクザか?そう口にしたいのをグッと堪えた。
「なあ、そういえばさ、前言ってなかった?」
「ん?何を?」
「どうして夜に虹が見れないの~?ってさ」
「あ~でも、そんなの無理でしょ?世界中でだれも見たことないんだから」
「じゃあ、天の川に虹が掛かったら、チャラだな?」
「いいわよ~掛かったらね」
鈴は、半ば呆れ顔で言った。
それを見て颯は、ゆっくりと目を閉じた。
「ねぇ、何してるの?」
「勿論、夜空に虹を掛ける努力さ」
「一年に一度の七夕なのに…」
織姫は、増水した天の川を見てうなだれた。
岸の向こうでは、彦星が手を振っていた。
「天の川は、地上の願いを天界へと送る道、今年はそれだけ地上が大変だったってことだ」
「それにしたって、なにもこの日じゃなくても」
織姫は、絶望のあまり、両の膝を着いた。
「また、ずいぶんと諦めがいいじゃないか?」
そう言う彦星の声にはまだ、力強さが残っていた。
「え?だって…」
彦星は、辺りを見回して、バケツを見つけると天の川の水を掻き出し始めた。
「え?そんなことで、水かさが減るわけないじゃない」
「やってみないと、わからないだろ?奇跡は諦めてたら絶対に起こらないぜ」
「あ、流れ星!」
空を眺めていた鈴が、声を上げた。
小さな流れ星が、天の川の傍を流れていった。
「流星群が、あるなんて話なかったけどなぁ」
「もう止めて!」
織姫は、悲痛な声を上げた。
「止めるわけにはいかんのさ、何しろ止め方を習ってないんだ」
「こんなことしたって、何か変わるわけじゃないでしょ?結果は見えているわ」
「途中で投げ出すわけには、いかんのよ! 男の辛いところさ」
彦星は、黙々とバケツで汲んだ水を外に放り投げていた。
捨てられた水は、綺麗な一条の光となって、漆黒の宇宙へ消えていった。
「もういいわ、手だって血まみれじゃない」
彦星の手は、豆もつぶれ、バケツの取っ手の部分は赤く染まっていた。
「何、抱きしめるときは、綺麗に洗って、タキシードに着替えるさ!」
「もういい、来年まで我慢する…。だから止めて」
織姫の涙が天の川に落ちると、天の川の水かさは、見る見る増して行き、ついに氾濫した。
こぼれた大量の水は、引力に惹かれるかのように、青い星めがけて降り注いでいった、光の塊となって…。
「何これ!?」
空を眺めていた鈴は、大声を上げた。
先ほどまでは、単発で流れていた流星は、その数を増していった。
その光景は、向きこそ逆さだが、海から登る太陽によく似ていた。少しずつ南の空の上の方が明るくなり、やがて一点に光の道が現れた。
次の瞬間、まるで、何かが爆ぜるようその道から放射線状に光が走る。
光の滝と化した流星の群れは、全天を照らし出した。
それは、まるで、真夜中の夜明けのように…。
この異様な光景に、しばし見入っていた鈴は、すぐ隣の天の川の異変に気が付いた。
「え?これって?」
こうして本当に、天の川に、七色の橋が掛かったのだ。
「え?本当に?」
「言ったろ?奇跡は案外起きるものさ」
『ただ、降る雨のせいで』
奇跡を待つあなたに贈ります。
書けませんwww
素敵な奇跡が起こる話を書いてみました。
現実にはありえないけれど、あったらいいな~っていう奇跡は一杯ありますよね。
奇跡とは、やっぱり、過剰なまでの思い入れが光り輝かすモノであってほしいですよね
がんばったご褒美にしては、素敵すぎましたか?
そういわれてみれば、そうかも・・・?梅子は、そうでしたね~
でも他は~「理想のデート」の時のヒロインくらいかな?
結構苦労したんですよw
写真のまえから喋り捲ってる人がいて、ワンマンショーとかやり始めてw一瞬の隙を突いてとりました。
なんだかんだで、男は、格好をつけたがる生き物ですからねw
みゆさんにも、素敵な奇跡が起こると思いますよ~
創作意欲の半分は、凛凛香さんに頂きました。
奇跡は、願い続ければ、いつか起こると思います!
起こって欲しい奇跡でもあるのでしょうか?
願っていれば、叶うと思いますよ!
過度な思い込みこそが、奇跡を起こす原動力!ですね~
天の川にかかる虹、信じていればいつか見れるかもしれませんよ~
いや、作家でもなんでもないですよ。
ありえない奇跡的な光景って、一度は見て見たいですよね。
るりさんの作品も、かなり良かったですよ!
写真は、タウンに居続けると、0:28辺りに撮れます。
文芸サークルでもなんでもないのですが、たまにこういうイベントをやりますw
意外と、力作揃いで、いい作品が出てくるんですよ!
大丈夫です。奇跡は案外起こるものさ~
きっとジェミンさんにもステキな奇跡が起こると思いますよ!
二組の恋人たちがリンクされた物語!
さらにたくさんの人たちの願い。
なにか、どんどんと物語の世界が広がってゆきますね。
好きな女性が困ってるのを放っておけず、けなげに頑張る男性陣の心がステキです^^
時間軸がいっしょで宇宙と地上とでそれぞれの物語があって
両方ともに共通するのは奇跡を信じてひたすら努力すると良いことがあるよ^^
ってことなんですね^^
雨が虹を呼ぶ・・。しかも見えないはずの夜に・・。夢ではなく現実に・・。
現実のお話ではないはずなのに、恭介さんのお話には何か説得されるものを
感じます^^
そういえば気の強い女性多いですよね。
また、すごい時間に写真撮ったのですね(苦笑)
奇跡、信じてみたくなりますね。
本当に案外起きて欲しいものです…。
「途中で投げ出すわけには、いかんのよ! 男の辛いところさ」彦星さんの本音と言うのか
男性の方の本音かなって思っちゃいましたよ(^_^;)
奇跡・・私にも起こって欲しいな~
天の川に七色の虹の橋…
想像するだけでも~ (*◡‿◡人)うっとり~♡でっす
今宵はちょっぴり…
actress気分で♬♫
それにしても…
彦星殿b
何百年?何千年?昔の人だけに~
男前っ!ですねb
夜空の花火…
天の川…
虹の架け橋…
奇跡を待ちながらも…
いつの世も
女の子は 現実主義
男の子は 夢追い人
人間って 不思議・不思議…ねw
素敵なストーリーを
ありがとうございました✿(。◕‿◕。)・゚:♡・゚
ステキな奇跡ですねぇ~♪
「奇跡は案外起きるものさ」 そう、信じてみますかねぇ~☆
ありえない偶然だからこそ感動も大きいですね♪♪
『天の川に架かる七色の虹』見た~い(✪ฺܫ✪ฺ)
恭介さんて、やっぱり、作家さんでしょう!?
2つのストーリーが重なって、織りなす物語・・・。
とっても、ロマンチックな、七夕ですね。私も、天の川にかかった虹を、見てみたいです。
すごいなぁ。
写真も、すごいなぁ。どうやって撮ったんでしょう?
なんかこういうイベントはいいですね^^
恭介さんの七夕イベントの作品読みに来たんですけど
やっぱ・・読まないで帰りますw
自分のができたら・・また・・読みに来ますw
www(T_T)