Nicotto Town



漂流


手のひらから指の間をすり抜けてゆく時の砂は、砂塵となって彼方へと吹きずさる。

同じように右から左へと流れる事項は、どれも手つかずのまま流れてゆく。

やるべきこと、やること、なすこと、いずれも、逃げ出したくなるくらい膨大だ。

その全体像は見えず、見当もつかない。

そして、ただ、ただ、時の砂は手からむなしく滑り落ちてゆく。

雲をつかむように、それを握りしめることは叶わない。

視線は時と事項の間を行ったり来たり。

流れゆくさまを見つめるばかり。

それとも、流れているのは私の方か?

眼前に広がるものは、モノクロームの不毛な平原。

静寂という名の強風が吹き荒れる。

その光景は何も感傷的感覚を呼び起こすことは無い。

寒さも、暑さも、ない。何も、無い。

ただただ、我、その平原を彷徨う続ける。
流れゆくままに、流離うだけよ。




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