Nicotto Town



待って

少女は、一人佇んでいました。

次のバスが来るまで、あと、39分もありました。

そのため、他に待っている人はいません。

彼女と動物だけが、場を支配しています。

(本当は、何を待っているの?)

少女には、わからなかった。

またわかりたくなかった。

(バスじゃないの?)

ますます、わからなくなって少女は頭を振りました。

少女は、空を見上げて呟きました。

「あ…… 雨が降る……」

空には、黒い雲が幾重にも重なり漂ってきました。

それは、まるで少女の心。

不安で落ち着かず、揺れ動いて、今にも泣き出しそうな魂。

やがて落ちてくる雨粒。

雲が、重なるごとにそれは、ますます大きくなっていきます。

「どうしよう?」

少女は、少し走り出し、その場でたたらを踏んだ。

靴をアスファルトで踏み鳴らし

「いっそ、びしょびしょに濡れちゃおうかな」

少女は、動物に訪ねます。

「バスは、あと何分で来ますか?」

「あと、28分です」

少女は、頭をもたげて空を見上げた。

雨粒は激しく、少女の顔を叩きます。

持っていたアイスは、とっくに溶けきっていました。

「もういいや…」

少女は、すでにずぶぬれになっていました。

けれどもう、それは、どうでもいいことに思えました。

思い出していたのは、昔のこと…彼のこと…。

今、どこにいますか?

彼に、会いたい…

けれども、言葉にする勇気はありませんでした。

雲は、引き続き空を覆っていました。

それでも、僅かな時間、雲の切れ間に藍色の空が顔を覗かせました。

それは時間にして、僅か13秒。

その13秒に、あわせるように少女は口を開きました。

「あなたに、会いたいよ…」



…一年前


『こんにちは』

「ああ、ごめんなさい」

『え? どうして謝るの?』

「列に割り込んじゃったみたいだから、周りの景色に見とれちゃっていて」

『あはは、そうですか』

「はい、ごめんなさい 私は…」

少女は、名前を名乗ろうとしましたが、思い出すことが出来ません。

「ごめんなさい。 私、自分の名前がわからないみたいです」

少女は、ひたすら彼に、ぺこぺこ頭を下げます。

『大丈夫です。う~ん…そうだなメェちゃんでは、どうですか?』

「…はい。メェちゃんでいいです」

『では、メェちゃん。 この綺麗なバス停は、いつでもあなたのお越しを歓迎しますよ』

彼は、すごく大げさに、執事がするように右手を胸の前に添え、礼をした。

「ありがとう」

バス停に、バスが来るまでの16分

しゃべっている間に、少女は彼のことが好きになりました。

とても優しい彼でした。

バスに乗って遠ざかる彼を、見送りながら少女は思いました。

「あ、彼の名前、聞き忘れちゃった」

けれども、その時は、またバス停に行けば会えると思っていたのです。

次の日も、またその次の日も、そうして毎日バス停に行きました。

けれども、その日以来、二度と彼を見つけることは出来ませんでした。

「あなたは、どこに行きましたか?……」



「バス到着まで、あと3分です」

動物の声で現実に引き戻されました。

雨は、かなり弱まっていました。

空には、光芒が現れ、教会からは、鐘の音が響いてきました。

「あ……」

空に、七色の橋が掛かりました。

「とても綺麗……」

少女は、しばらく、虹に見とれていました。


『こんにちは』

目の前には、傘を持った男が立っていました。

男は、少女の周りをぐるりと一周回ると

「ずいぶんと濡れちゃいましたね。これじゃ風邪を引いちゃいますよ」

と、言いました。

少女は、彼を見つめ バスはバス停を離れ 虹は消えていました。

彼は虹の橋を渡ってきたのでしょうか?

そうして、彼は帰ってきたのです。


「お帰り」

『ただいま』

『メェちゃん』


原作:棗メイ  翻訳・アレンジ:恭介

今回、お友達の作品を翻訳、日本語的におかしい部分や、文章として成立しない部分、読みにくい部分を、自分なりの解釈で日本語にしてみました。楽しんで読んでいただけたら幸いです。

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2010/06/27 02:41
へぇぇ~Σ(@o@)!!

共同作品みたいでスゴイですねΣ(@o@)
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2010/06/27 01:58
うちに棗メイさんが足あとを残してくださっていまして、どちらからいらしたのかなー・・・?
と思っていましたら、こちらでお名前を拝見してびっくりしています^^ 
(恭介さん。。。翻訳もなさるのですね!)

前半のキュンとする感じが 最後でほんわかと温かい気持ちになりました✿
なんだかとても穏やかな空気を感じます。
ありがとうございました(。◕ ◡ ◕。)♡...
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2010/06/24 01:57
こんばんは✿(。◠‿◠。)

ふんわり~温かなお話ですね♬♫

やさしいこころ やさしい風景…

幸せ気分です♡
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2010/06/23 21:44
ほっ・翻訳(✪ฺܫ✪ฺ)
多才ですね♡(。→ˇ艸←)
すごくほのぼのしたお話でした♪
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2010/06/23 20:35
しんみりハートフルな内容でしたのね。
舞台がバス停だったので・・・
先程私がお茶を入れている間に行ってしまった、バスを思い出してしまいましたw
判り易いお話で、素敵でしたわ。^-^
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2010/06/23 16:47
見つかってよかったヽ(✿→∀←)ノ ♫

そして「ただいま」「おかえり」そんな会話が微笑ましくもあり、ステキなお話しでした♫

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2010/06/23 16:21
楽しく、読ませていただきました。(*^^*)
会いたくても、もう二度と会えない人のことを、思い出しました。
「ただいま」って、いいですね。(^-^)
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2010/06/23 09:33
なんだか、心がほっとする優しい感じですね。
棗メイさん、恭介さん、読ませてくれてありがとうございます。
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2010/06/23 08:46
かわいい^^
なんだか今日はやさしく過ごせそうです♪
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2010/06/23 07:23
あ^^こういうの好きw
メイたんの作品次回も楽しみにしてる~^^
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2010/06/23 03:09
うちに足あとが残っていた棗メイ様、
いつものように『どんな方だろうか?どちらからいらしたのかしら?』としか思っていませんでした。
でもでも…こんなステキを持った方が訪れてくださっていることもあるのか~と感動♥
恭介様にも感謝です♪
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2010/06/23 02:28
翻訳とアレンジはありがとうございます!
本当に、楽しいです.

第1回の書く作品、またとても熟していません
しかしもしある人は好きならば、私はとても嬉しいなりました.



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