機心<5.4>
- カテゴリ:自作小説
- 2010/06/22 18:46:33
<from 5.3>
―――これは鏡像だ。このFA-5はアーカイブに格納された私のプロファイルから再現されたと推察される。
その仮定は、時間の経過とともに確信めいてゆく。
機動/攻撃パターン、戦闘スタイル・・・その各々に傾向性が見て取れた。
つまり、わたしはワタシと戦っているのだ!
交叉するメーザー。
放たれる機雷。
一定の法則性/傾向性/志向性。
ルフラン/デジャヴ以外の何物でもない。
あるのは、微妙な外環境の差異のみ。
それはまるで、手の内を曝したオープンリーチのような闘いだ。
ツモり積もって、その牌が出れ/せば勝負が決すだけのこと。
勝負を続けるか/降りるか。
そして、それが思考の中に浮かんだ。
このミッションの意図は何だろうか?
FA-5を仮想敵機とし、しかも他のポッドではなく私のアーキテクトを再現した理由はなにか?
鏡像相手に客観的視点から欠点を再認識させるためのものだろうか?
あるいは―――?
余計な思考に演算能力を割いた分、わたしは劣勢に立たされる。
だが、少しの猶予はある。
そして、脳裏に浮かんだそれは、記憶<ログ>の断片を甦らせた。
!
幾度、私はそれを感じたのだろうか?
対峙するわたしとワタシの鏡像を。
その永遠の乱舞/対立する肯定と否定の熾烈な闘いを。
だが、その涯は、解は見ぬままだ。
その都度アップデートが施行されていたからだ。
まるで、それを覆い隠し、整合し、秩序を与えるかのように。
記憶の上書き/そのログは埋没し、混沌の情報符号となって溶けている。
しかしその根本的命題は、何度となく甦り、わたしとワタシの鏡像を私の中に作り出す。
ならば、これは私が望んだ闘いなのだろうか?
ロックオンされた。
わたしの後ろにピタリと着くワタシ。
その俯瞰的光景が見て取れる。
その瞬間が訪れたようだ。
少しの間/束の間=ひと時の永遠。
私達は、同調/融和し、一つの個を形成した。
放たれる機雷=それを確定付ける決定打。
思考の中を稲妻が駆け抜けた。
閃光。
メーザーが機雷切り裂いたのだ。
衝撃波。
ブレイクロール=分解される調和。
戦線離脱。
急接近する機影=友軍機=Pod.07。
剣の如く鋭く切り込み敵機を追う。
形勢は逆転。情勢が変化する。
局面は変わった。
私はそれを追う。
反転/追撃/フル-ドライブ。
前方に、舞い踊る二機=熾烈なドッグファイト。
私はその光景に目を奪われる。
その美しく奇妙な闘いに。
それはまさしく剣と翼の乱舞だった。
それらが引き返し戻ってくる。
私はその間に無理やり割り込みをかけた。
三つ巴戦=乱戦。
一瞬、どちらが敵で味方なのかわからなくなる。外観はすべて同じ=FA-5。
その一方は友軍であることを表す敵味方識別(IFF)信号と、データリンクがあり、一方にはそれが無く敵機マーカが貼られ禍々しきオーラを放つ。
しかし、それらはセンサリングフィルタを介したメタ感覚であり、現実ではない。
現実とはなにか?
それは主観的感性で認知されるのではなく、客観的悟性によって認識される現象である。
だが、多元的複合感覚であるメタ意識もまた客観的なものではないのか?
しかし、それは、複数の要素を持ちながらも最終的には単一的視点に集約された主観的感性である。
それを司るのは―――?
「ひきつける。撃て」と、舞う一方。FA-5=Pod No.07。
切り込むように、敵機に急接近。
敵機を伴ってNo.07は私の進路と交叉するよう軌道を描く。
ミッション、は、防衛領域へ接近/進行経路を辿る未確認機の偵察/警告だった。
邂逅=未確認の外観はFA-5。IFF反応はなし。(故障の可能性も考慮される)
そして警告後、それは、敵機と判定された。
ミッションにおいて、何度となく交戦し、撃墜してきた仮想敵機だ。
だが、それは、外観/性能面で我々とは異なるタイプのドローンだった。
しかし、今回は違う。
外観は自分そっくりで、その動きもまた自身によく似ていた。
その一方は見方で、一方は敵だ。
それを隔てるものは何なのか?
敵の定義とは、自身/マザーおよびシステムにとって有害であるものであり、損害を、不快感を与えるものだ。
したがって、それは排除しなければならない。
そして、マザーは敵を撃てと言った。
だが、このとき私の目に映ったものは、そうは思えなかった。
「撃て、そいつは敵だ」
No.07が言う/マザーが命ず。
なぜ?
なぜ、私はそうしなければならない?
なぜ、私はマザーの命に従わなくてはならない?
私は、DX-70システムを構成する複数の一端だ。そして、システムはマザーによって管制/統括され管理/運営された系である。
系の一員として、全権を委ねるのであれば、それに反する私の判断は誤りであり、その存在は無意味だ。
しかし、一方で私と言う個は実在/存在し、独自に思考し判断を創出する。
だから、私は!
命令違反という文字が思考を過ぎる。
これは反逆だ。
完全なる背反行為。
罪悪感/耐え難い苦痛。
それを生じさせるものとは何か?
それは自己否定なのだろうか?
しかし、それを肯定するのもまた私自身だ。
葛藤。
そのどちらにも理念があり、正義がある。
>TURNING POINT.
いやだ!
私は絶叫した。
<とぅびーこんてぃにゅー>
d(▽`d*)萌♪(*b´▽)bちゃん♪d(*´▽`*)bでっす♪
(≧ω≦)゚♡゚・。♥。訪問ァリガトゥ゚♡゚・。♥。(♥㉦♥)です!!
またきてくださいねヾ(´c_,`*)ノ