Nicotto Town



初夢の続きは「イベント版」 (5)

「でも、わからないのは」笑うのをやめて松梨が言った。「何で、桃香がそんなことあたしにわざわざ言いに来るのよ、あたしたちライバルってことでしょ、敵でしょ」
「霞さんとの約束、悟は覚えているかしら」唐突に桃香は言った。
なんで、また、そんなことまで!!松梨は怒って
「ええかげんにしいや!人の心や気持ちが読めるからって、人の秘密どこまでかぎつけたら気が済むねん!」
「大阪の幼稚園で、一緒だったのね」桃香は言った。
「そうよ、悟が東京に引越しになって、お別れのときに約束してん」
松梨はあの悲しいお別れの日をいまだ忘れられずにいた。
中学生になって、父親が東京へ転勤になって悟に再会したとき、親同士友達だから会った、という程度の親密度だった。彼の気持ちが確かめたくて、同じ高校に入ったのだった。
「じゃ、悟が約束覚えてたら、私の負け、忘れてたらイーブンで勝負しましょ」桃香にしては珍しく上から目線の言い方だ。
「いいよ、でも優は?」松梨は言った。
「あの子は悟を好きじゃない」桃香はきっぱりといった。
「遊園地一緒に行ってもいいけど、ファッション決めてこないと一緒に歩かないからね、それと、霞さん、はやめて。松梨と呼んで」

翌朝、桃香からのメールに返信していなかったことに気付いた僕は
~今度は二人で~の部分にどう返事をして良いのか迷ってしまい
なんとなくそのままにしてしまった・・・。


* * 放課後 * *

優を誘いに教室を出た。
ちょうど廊下の向こう側に優の姿が見えたので
「優ちゃん」
と僕は声をかけた。
すると、優の後ろから桃香と松梨の姿が見えた。

なんだか嫌な予感がするなぁ・・・。
この様子だと二人も一緒にカラオケに行くことになるのかな?
念願の「優と二人でカラオケ」だったのにな。
また邪魔されることになるとは・・・。

ところが・・・。
桃香「これから松梨と買い物行くから、またね~」
松梨「桃香、急ごう。じゃ~ね!バイバイ」
優「うん、またね」


・・・あれ?
あの二人ってあんなに仲良かったっけ?
メールの返信をしていなかったから
何か言われるかと思ったんだけどな・・・

少し拍子抜けしたものの、優との二人っきりのカラオケ。
理由はどうあれ、楽しみにしていたので
「じゃあね、バイバイ」
僕はそう言って二人に手を振った。

今日は誰にも邪魔されることなく優と二人っきりでカラオケだ!
思いっきり楽しむぞ!
さっきまでの不安は消し飛び、妙に浮かれてしまっていた。
2人の企みに気付く事無く・・・


* * カラオケ * *

カラオケでは最初にざっと渡辺が梅子のことを好きで
今度の休みに遊園地に誘って欲しいと頼まれたこと、
僕と優も一緒に行って二人を応援しようということを話し、
その後は二人でカラオケを楽しんで帰った。

優と二人きりでカラオケに行けるなんて、僕は幸せだな。
この調子で遊園地も楽しめるといいな~なんて
期待に胸を膨らませてしまう。

約束の日。今日は僕と優、ナベと梅子でWデート…のハズだった。
しかし遊園地前には、男3、女2人の5人。

「紹介しよう!暦村竹文(れきむらたけふみ)だ」

「ども。あー、タケでいーです」

僕が言い出す前に、ナベが隣の眼鏡男子を紹介した。

「そうじゃなくて!」

(今日は4人でWデートだと決めただろうが!)

梅子にはデートだということはまだ内緒で言うわけにもいかず、僕は目で訴えた。

「大丈夫よ、あと2人女子来てるはずだから」

え?思わず梅子を見る。

「あんたがこんな面白そうなこと逃すはずないもん、ね?」
背にした販売機に向かって梅子が言うと、もしかしてとよぎった人物が姿を現した。

「さすがわかってるじゃな~い、梅子」
「えへへ…ごめんなさい、来ちゃいました」

女子4人が話しているすきに僕は渡辺にどういう訳か聞いた。
「いやあ、梅っちから絶対あと2人女子来るから男子呼べばってメールきてさ~。もう1人と思ったんだがタケしか捕まんなくて」

「……どうするんだよ、こんなに増えて」

「あー、僕は邪魔しませんから。間宮(まみや)とナベは狙いの子と仲良くどーぞー」

「そういうことだ♪」

同時に親指をビッと突き出す2人。
暦村…初めて会うけど、ナベから聞いた通りの変わり者だな。表情が読めない…ノリはいいようだが。

「とにかーく。みんな、今日は楽しもうぜ!」

ナベに習い、おー!と全員が拳を空に高々と上げた。…1人納得がいかない悟を除いて。

「さっそくどれに乗る?」 
真っ先に言葉を発したのは、ノリのいいタケだ。

(ちっ。。。先越された・・・と残る男子は焦りだす。)

「やっぱ遊園地ときたら、ジェットコースターじゃねぇ?」
慌てて悟も話し出す。

「え~。怖い~~~~。」
と、桃香が全員が確認できるほど震えながら答える。

(まじで?  怖いなら来るなよ。  おっ、女の子らしくてカワイイ。)
と、ぞれぞれの頭の中をジェットコースターのように余儀っていく。

たいがいの遊園地デートの始まりはこうである。




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