初夢の続きは「イベント版」 (3)
- カテゴリ:イベント
- 2010/06/20 16:09:40
♪じ~んせい楽ありゃ、苦~もあ~る~さ~♪
近くから携帯の音がする。なんというタイミングだ。
しかもこの歌。夢の中、カラオケで歌った曲だ。
辺りを見回すと、コタツみかんの籠の中で携帯が震えていた。
もちろん僕のじゃない。
思わず祖母と顔を見合すと、祖母はちょっと恥ずかしそうに目を細めた
祖母の表情を気にしながらも、僕は携帯に手をなばす。
着信は「非通知設定」だ。。。
なんとなく嫌な感じがする・・・でも、でなくてはいけない衝動に駆られる。。。
「もしもし・・・(僕)」
「もしもし・・・(なぞの声)」
沈黙が続く・・・
ふと、祖母に目を向けると祖母はうつむき肩を小刻みに震わせている。
(泣いているのか?それとも笑っているのか??うつむいている為、表情は読み取れない。)
「もしもし」もう一度、問いかけてみる
「もしもし?」聞こえてきたのは、若い男の声だった。
祖母と若い男?どうしてもつながらない…ん~どういうことだろうと思っていると電話の主はさらに続けた。
「あれ?、ごめんこれ優の携帯ですよね? あなたはだれですか?」
え?優? 祖母の名前はえ~となんだっけ?
優?彼女は優?祖母は? あれ?僕に祖母なんていたか?
じゃあこの携帯は誰の?誰が、誰にかけている?
ひょっとして!
僕は脳裏に閃くモノがあった・・。
「あんた、悟?」
「・・・。そうだけど、アンタだれよ?」
怪訝そうに、こちらの様子を伺ってきた。
僕はビックリして、電話を切ってしまった。
僕が掛けた優宛の電話を僕が取った?
一体どうゆうことなのだろう?電話に夢中になっていた隙に祖母の姿は消えていた。
だが僕は、知っている。僕に祖母などいないってことを
じゃああれは誰?何故優の携帯を持っていた?そして何故、僕が僕の電話を取るなんてことが出来た?
考えることは山ほどあった。
僕はごろんと、横になった、だが知らぬ間に寝入ってしまった。
「…悟…悟」
どこからか呼ぶ声が聞こえた。
と同時に頭に鈍い痛み。
「あたしの歌聞いて寝るなんていい度胸じゃん!」
痛みの正体は梅子のチョップだった。
突然、優がマイクを梅子から取り上げて、なんとも信じがたい発言をかました。
「みんな、聞いて下さい!」
「どしたの? 優?」
あれこの展開…。
「実は私は、この時代の人間ではないんです!!」
やっぱり覚えがある!すると梅子が右手をあげた
「実はわたしも!」
松梨も桃香も次々手をあげ「私も!私も」と声を上げた。
あれこれって…
「じゃあ僕も」と手をあげた瞬間
4人がどうぞどうぞって譲ってきた・ダチョウ倶楽部かよ…。
こうして、大笑いの中カラオケは終了した。
家に帰ったら優からメールが届いた。
―カラオケ、楽しかったね―
あれ?これって夢と同じ展開のような・・・。
いや、でもカラオケにはたしかに行ったし楽しかった。
ここはやっぱり返信するなら
―今度は2人で行こうな~―
だよな?
急いで返信しようとした瞬間メールが届いた。
桃香からだった。
―カラオケ、楽しかったね―
―今度は2人で行きたいな―
!!!!!
予想だにしないメールに戸惑っていると、再びメールが入った。
梅子からだった。
「松梨から伝言頼まれたんでコピペしとくね。↓
―カラオケ楽しかったね。―
―今度は2人で行きたいなっ―
!!!!!!!?
―…な~んちゃって! 今度はイケメンの友達ヨロシク☆―
↑だってさ。アンタの友達にイケメンなんていたかしら?(爆笑)」
・・・・・・。
なんだ、おどかしやがって…。
いやいやガッカリなどしてないぞ!
しかし桃香…意外と大胆…
いやいやいや、僕は優一筋!
などと考えていたら、今度は電話だ。なんなんだ、次から次へと。
着信は… 「ナベ」か。
出るなり、ナベこと渡辺は挨拶もなしに話し始めた。
「悟。お前、女子4人とカラオケに行ったそうだな?」
どうやら店から出るところをたまたま目撃したらしい。
「どうして俺を誘ってくれなかったんだよ~。俺の憧れの彼女も一緒にいたじゃないか」
「へ?」
「前に話しただろ。あの子だよあの子!」
そう言われて僕は思い出した。
「やっぱかわいいよな篠田。あの笑顔で飯3杯はいけるぜ!」
「お前の好みってホント理解できねぇ。。。」
昔から梅子梅子と呼んでいるので「篠田」と言われると一瞬誰かと思う。
渡辺は僕の幼なじみの篠田梅子が気になるらしい。
ナベはあんなガサツな女のどこがいいんだろう?
僕だったら、間違っても梅子で絶妙バーガーすら食べれない。
電話越しに、ナベこと渡辺誠二(わたなべせいじ)の、調子のよい声が聞こえてくる。
「じゃあさ、今度の休み、お前ら5人と俺でさ! 遊園地行かねぇ?」
僕が言い返そうとした言葉を遮って、ナベは「俺ももしかしたら誰か誘ってくるかもしれねぇからさ☆」などとぬかして、さっさと電話を切ってしまった。