Nicotto Town



初夢の続きは「イベント版」 (1)

どうしてこんなことになったのだろうか?

少なからず後悔をしていた。

数時間前…

放課後、僕は、ずっと好きだったクラスメートをカラオケに誘った。

答えは意外にも「OK」すごく嬉しかった、だが

それを、聞いた幼馴染のアイツ(一応女)が

僕と2人きりなんて危険危険!付いていってあげるねなんてぬかしてお供に加わった。

ここまでは、まあちょっと不満だがまだいい!

だが話を聞きつけたアイツの友達

さらにいつもおとなしく話したこともないクラスメートまで加わって

僕+女性4人というなんとも気まずい状況でカラオケにきている。

そして今、何曲目だろうか?

アイツの友達は、未だにマイクを離す気配がない…。

なんとか彼女の隣に座ることが出来たが、アイツの友達のせいで空気はひどく重い。

幼馴染のアイツに目で、合図した

(お前何とかしろ)

アイツは無言でうなずくと、スックと立ち上がった。

かかっていた曲が突然止まった。
幼馴染のアイツがリモコンを操作して曲を止めたのだ。

マイクを離さないからといって突然止めていいのか!?
と、少し思いつつも、
こうでもしないと止まらなかっただろうな・・・
これはこれでよかったのかも、と妙に納得してしまった。

「はいはい、次私と優ね~」
と言って、せっかく僕の隣に座っていた彼女を連れていってしまった。

ええ~!行っちゃうの・・・
でも彼女の歌声が聴けるのはうれしいな。
また後でなんとか彼女の隣の席を確保すればいいか。

「優、何歌おっか?」

僕は彼女の歌声を聴けるってことに喜びドキドキしてはいたものの、
幼馴染のアイツ、そう、梅子がどんな選曲をするのか、別の意味でドキドキしていた。

「じゃあ優!アレいってみようか!私たちの十八番!!」

…十八番?ふたりで十八番を持ってるほど梅子と優はしょっちゅうカラオケに来てるのか!?
(-益- )!!チッ 羨ましいっ!
で…なに歌うんだろ…

慣れた手つきでリモコンで選曲する優。

一発入力!番号暗記してるっ!ヽ(゚Д゚;)ノ!!
相当歌いこんでるなw

イントロが始まった。
が…  ん?なんだこの歌…  どこかで聴いたことがあるような…

さすがに人数が多いので、この部屋は大きめで小さなステージまである。
そのステージに、今、邪魔くさい梅子と、僕の愛しの優が、
寄り添い腕を組み、見つめ合い、ふたりの世界に入っている!

梅子のやろ~!その役、僕にやらせろってんだぃ!

なんだかせつない表情で歌い始めたふたり。

「♪ま~ず~しさに~負けたぁぁぁぁ~♪」
「♪いぃえ、世間に、負けたぁぁぁぁ~♪」

(-_-)…この歌は…

『昭和枯れすすき』・・・・・

まさかの選曲…確か番号まで暗記していた優…
そして、本気モードのせつない表情までしていた…

優って…僕が好きな優って…
こ、こういう子なのか…

僕は驚いた。まさか愛しの優がこんな懐メロファンだったなんて。
その時、普段は大人しいクラスメイトの桃香(ももか)が、おもむろに席を立ちあがった。

「? 桃香~、どうしたの?」

「ん、皆の分のドリンク持ってくるね」

突如、マイクがキーンと嫌な音を立てる。
懐メロを歌っていた優と梅子は慌ててマイクのスイッチを切った。
大人しいクラスメイト桃香が、僕にメガネの奥からアイコンタクトをとる。

「(あ……もしかして気を使ってくれたのか……?)」

なんだぁ! まだ話した事もないクラスメイトだけど、いい子だったんだな!(邪魔とか思ってマジごめん)

「桃香ばかりに5人分のドリンクは持てないよ。私もついていく」
「あたしもあたしも~!」

次々と挙手をする女性群。
優もテンションMAXで手をあげたのだが、にんまりと笑う梅子に止められた。

「優は頼り無いからね。彼と二人で次の曲選んで待ってて」

み、みんな……!
邪魔とか思ってて本当にごめんな!!
そして、ルームには僕と優の二人だけが残された。

「悟(さとる)、先に曲入れて~♪」

せがむ優に僕は燃えた。
よし! 優、俺の熱い気持ちを聴いてくれ!!

しかし、デンモクのミスによりとんでもない曲を入れてしまったのを、
僕は曲のイントロが流れ出すまで知る由も無かった。

ドリンクを手にした女子3人がドアの手前まで来ると、意外なイントロが流れてきた。
先ほど曲を強制終了された松梨(まつり)が口を開く。

「…ねえ、なんだっけコレ? んーと。このなんちゃらが目に入らぬかーってドラマ?」

「水戸黄門のオープニングにかかるやつね」
中の二人に気付かれないように、ドアのガラス越し様子をうかがいながら梅子が答えた。
今度は桃香が聞いた。

「悟君が歌っていますね」

「ウケ狙い? さっきおたくらシブい選曲だったし」

「ま、奴がこんな曲好きだとは思えないわね」

「優ちゃんは、こういうのも好きなんですか?」

「嫌いではないと思うけど…どうかしら」

そうこうしている間に、曲が終わったようだ。

「さて、じゃあそろそろ行きますか」




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