北の少年 砂海編 21
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/20 21:05:38
このお話は、友人のリクエストにより、篠原烏童さんの作品から共生獣(メタモルフ)の設定をお借りしています。ファンの方で不快に思われましたら、お詫びいたします。
長文なので嫌なんです~の方はスルー推奨^^;
感想のコメントはとても励みになりますです^^v
メルガと侍女を避難させた傭兵達は、1人をその護衛に残してラルム達の手助けをするべく沐浴場に駆けつけた。
狭い入り口付近は、武装した男たちで押し合いへし合いの状態となった。
そんな中、先頭に立った傭兵が見た光景は、なかなか印象的で迫力のあるものだった。
月光を背に仁王立ちになった巨大な黒い影と、それに対峙する腰をかがめた男の姿。
彼の手には、月光をはじいて輝く剣がある。
空中には、剣を手に黒い巨大な影に跳びかかろうとしている小柄な人の影。
その人影から飛び散った水滴が、月光で煌いていた。
傭兵はほんの一瞬だが、時が止まったような気がしてこの光景に見とれていた。
長いような短いような一瞬の後、すべてが終わった。
腰をかがめた男が黒い影の腹部に一撃を決め、同時に空中の影が頭部に襲い掛かった。
巨大な影は不気味な咆哮をあげた後、一瞬で掻き消えた。
傭兵の目に残ったのは、空中から舞い降りた小柄な人影と、その人物のそばに駆け寄る銀色の燐光を放つ狩猟猫の姿だった。
(あの狩猟猫はどこから?)
傭兵の思いを打ち破ったのは、腰をかがめていた男ラルムの叫びだった。
「ジェン!大丈夫か!?」
我にかえった傭兵は、あわててラルムの元へ駆け寄った。
空中から舞い降りた人影は、剣を片手に跪いているメルガの護衛ジェンだった。
彼女の左手とわき腹が、紅に染まっている。
ぐらりとその体が揺れて、その場に倒れこむのを間一髪でラルムが抱きとめた。
そのまま彼女の体を抱え込んで、残りの傭兵達にてきぱきと指示を与えてゆく。
「その湯船でのびているやつは人狼だ。魔法使いの先生を呼んで、呪文で捕らえてもらってくれ。大事な情報源だ、逃がすな!気を失ってるが油断は禁物だ!」
「解った、あとは任せておけ」
「ああ、頼んだぞ。俺はジェンを治療魔法士の先生の所へ運ぶ」
傭兵達は後の始末をつけるべく、それぞれの目的を果たすために行動を開始した。
ラルムの指示通りに動いた傭兵達は、半分寝ぼけた魔法使いを担ぐようにして人狼のもとへ連れてきた。
湯船から引きすりだされた気を失しなった男は、驚くほど痩せていて破れた黒い衣をまとっていた。
腹部と肩を負傷して、むっとした血の臭いと獣臭さがまじったなんともいえない臭いがしている。
魔法使いはその臭いに鼻をしかめつつ、両手を翳してその男の全身に封呪の魔法をかけていいく。
「この呪文の効き目があるかどうかは、この人狼が目を覚ますまでは解らんが…」
そういいつつ、同じ呪文をロープにも施していく。
「これで体の自由を奪えば、何も恐れることはないだろう」
仕事を終えた魔法使いはため息をついて、言葉をつないだ。
「よくもまあ、人狼なんぞを生きたまま倒したものだ。できれば戦いの場をこの目で見たかった」
「俺もですよ」
魔法使いの縄でもって人狼を戒めいた傭兵、最後の戦いの場面に見ほれていた傭兵は、そう魔法使いの言葉に同意を示した。
「ぜひ最初から見たかったですよ。そういえば、あの狩猟猫はどこへいったのかな…?」
傷の手当てを終えたジェンは、再び意識を失うように眠りへと落ちていった。
治療魔法士はロヴに手伝わせて2人がかりで、ジェんの全身を清めて清潔な寝巻きを着せ掛けた。
ロヴはジェンの体にある傷跡に眉をしかめたり、また頬を染めたりと百面相をしながらなんとか仕事をやり終えた。
ジェンの息使いは苦しげだった。
顔色も青ざめて優れない。
全身が熱を帯びて、驚くほどの高熱を発している。
本当に大丈夫なのだろうかと、ロヴは不安に思った。
「後はジェンの体力が持つかだな・・・」
治療魔法士の言葉に、ロヴははっとして彼の顔を見つめた。
「先生、ジェンは、ジェンの体はどうしたんですか?」
「ロヴ、お前にも見えるだろう、傷口の黒いもやが。あれは人狼の毒に犯されている証だ」
「人狼の毒ですか?」
「そうだ。私には解毒の呪文は使えない。体の抵抗力をあげさせるのが精一杯だ。解毒の薬草が効いてくれればいいんだが…」
その言葉に、少年は青ざめた。
ジェンが死ぬかも知れない。
毒に犯されて、この世からいなくなるかもしれない。
そう考えただけで、目の前が真っ暗になるような気がしたのだ。
重い腰、あげてくれるか、くれないのかそれが問題だ^^;
主人公が目立ってくれないとねw
よっこらっしょっと^^
ロヴはバニクってますから、何とか為るはず^^;
お話引いてばかりでごめんなさい><
ロヴが何とかしてくれそうですよね ^^
大丈夫、ロヴが何とかしてくれるはず^;
そのはずなんだ~。
展開が遅くてごめんなさい。
ロヴがきっと魔法で治してくれるのを
願ってます!