冬の朝顔 3 珠生 ③
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/16 21:33:29
精魂込めて原稿を書き上げた日、珠生が育てていた冬の朝顔が一輪ちょうど花を咲かせた。
暖冬とはいえ、冬に育てた鉢植えの朝顔は、わずかに直径3センチしかなかった。
真夏に咲く朝顔と比べると、華やかさも大きさも遠く及ばない。
それでも、冬に咲いた奇跡の花。
遠い日の約束の花だった。
この朝顔は、特別な花だ。
小学生のとき、一緒に植えた冬の朝顔。
あの時植えた朝顔の、何代も後の子孫の朝顔なのだ。
珠生は上京してから毎年、夏と冬にこの朝顔を栽培してきた。
夏の朝顔は綺麗に咲いて実を結ぶけれど、冬の朝顔は花を咲かせることはなかった。
偶然とはいえ、ずっと描きたかった話を掻き上げた日に朝顔が咲いたなんて。
彼女いとってこの事実は、最高の祝福に感じられた。
そうだ、緑と佐奈と、二人にも知らせよう。
これは、最高の知らせになるに違いない。
神聖な気持ちでデジタルカメラで写真を撮り、パソコンにその画像を取り込んだ。
葉書にプリントしたのは2枚だけ。
一枚は佐奈、もう一枚は緑へのメッセージ。
表書きの住所は、実家の母から教えてもらっている。
やや右上がりの丸みを帯びた文字で、ゆっくりと丁寧に書きこんでゆく。
長らく書いていなかった親友の名前。
三坂佐奈。
大人しくて、控えめだけど、真のしっかりした子だ。
竹田緑。
自分の目標を常に定めて,しっかり前を向いている子だ。
二人の笑顔を懐かしく思い浮かべながら、表書きを書き終えた。
裏面の写真の横には、ただ一言だけ書き添えた。
『冬の朝顔』
と。
あの2人なら、これだけで全て理解してくれる。
珠生はそう信じていた。
心地良い疲労感に浸りながら、原稿を厳重にナイロンで包んで封筒にいれた。
そして、宅配便の伝票を貼り付けた。
本当なら、自分で原稿を渡しに行きたいが、今から生きていくための仕事が待っている。
この原稿を描き上げるため。いろんな人に迷惑をかけてしまった。
いろんな人に無理をさせてしまった。
無理をした分、させてしまった分、それを取り戻さないといけない。
次善の策として、宅配便で送付する事にした。
パソコンに取り込んで送信する手もあるが、どうしても原稿を直接送りたかった。
全ての準備を整えて、原稿と葉書を送るため珠生は部屋を出て行った。
彼女がこの部屋に戻る事は、2度となかった。
すんません。卑怯な終わり方ですね。
何がおこるんだ~??(;_;)
続きを読む前から悲しいです…
また、懐かしい名画をw
アラン・ラッド主演やったかな?
「TAMAO〜 Come Back ーーーーーーーーーーー....」
すんません、ほとんど卑怯な書き方ですね。
結末まで、もう少し待ってくだされ^^;
読んだですか><
公開しててなんやけど、気恥ずかしい…^^;
何が起きたんですか???
2度と帰らなかった???
いや~ん どんな結末かしら・・・
どんなでも 受け止めます キリッ!!(`・ω´・+)ノ
尊敬しますw