Nicotto Town



機心<4.2>

<from 4.1>

剣は、機動戦闘ユニットNo.7は、先のミッションにおいて破壊された。
したがって、補填されたこの機動戦闘ユニットが剣であるはずはなかった。
―――しかし。
その、メタ思考構造の志向性は/サブアーキテクチャの雰囲気は、剣のそれに酷似していたのだ。

その傾向は、別の面からも垣間見られる。

巴戦に突入する際、切り返す様に敵をやり過ごし、追撃に転じる。
Pod No.07の戦闘スタイルもまた剣のそれに似ているのだ。

その一方で、No.07に剣のそれと異なる点が無いわけではない。

剣は、私と同じく、先陣を切るタイプであり、進んで戦列の前列に出る傾向が強かった。
しかし、No.07が先陣を切る事は希だった。
やむを得ず、もしくは、それが最も効率的な陣形に移行する場合にのみ、No.07は先陣を切った。そして、多くの場合、複数の僚機/友軍機と共に、戦闘を展開した。
その傾向は、剣には見られないものだった。

いつしか私は、ただ単にその位置づけ/ナンバリング以上に、No.07に剣の影を重ねようとしていた。
それが無意味なことだとはわかっていたが、そうせずにはいられなかった。
罪悪感か/その代わりがを欲していたのか。いずれにしても、無意識的にそうすることで、思考の論理性が破綻することを回避しようとしていたに違いない。
そして、その断片的情報に類似性を見出す中で、ある疑問が提起された。
―――Pod No.07とは一体何なのか?

私は、その疑問に解を見出すべく試みようとした。
しかし、直接的に解を見出そうとはしなかった。そうすることで罪悪感を肯定することを避けようとしていた。しかし、それが単なる私のエゴであるとは思いたくはなかった。
私は回りくどく包括的にそれを試行した。
リングファイアネットの戦力評価をNo.7のそれに近づけ、僚機として選定されるよう図った。
ミッション傾向が、単一戦闘から、連携/連続した複合的要素を多分に含むより複雑なものへと遷移したことも私にとっては好機だった。
そして、私はその機会を得るに至ったのだ。

ミッションは四機を一個編隊して展開された。
その基本形は、先陣の二機が仕掛け、巴戦へ。
殿の二機が仕留める。という戦術を展開する。
そして、あらかじめ先陣の一機と殿の一機でバディというチームを組み、基本的にはバディ単位で戦闘を展開する。
そしてバディの先陣はNo.07で殿が私だった。

交戦に入るや否や、私は巴戦という戦況を利用して、伏線を仕掛けまくった。
態と敵の前へ出たり、No.07が振ってくる敵を無視したり、不用意敵の注意をNo.07の方へ向けさせたりした。
だが、いずれもいまひとつ決定打は得られない。
それは、その試み自体が反定立的であることに加え、その方法も今一つ有効的なものではなかったからだ。
しかしミッションの終盤にそれは起こった。
私の張った伏線の一つが功を奏したのだ。

私は態と敵を撃ち漏らした。
その敵は、その瞬間の戦況において、撃ち漏らし難い標的であり、戦況をもっとも悪化させる要因だった。

難を逃れた敵は、僚機であるもう一つバディへ矛先を向けた。
前衛たっだNo.07は切り返す様に転身し、言い放った。

〈どうした。らしくないぞNo.13。鋼翼。換われ。私がやる〉


私は身を翻し、それを追った。
出力最大/フル-ドライブ。

No.07は、敵機を追う。
しかし推力は同じ、追いつけはしない。
そして、剣の如く敵を斬り捨てた。
私は剣を目の当たりにした。
それが、No.07が、紛う方無く剣であると確信を得た瞬間だった。

<とぅーびーこんてぃにゅー>

アバター
2010/05/17 18:01
AIの個性が、ハードウェア依存でないならば、機体が破壊されても、バックアップから同じAIは再現される(はず)。

でも、汎用性の低い試作機ならば、AIの個性はハードウェアの微妙な差異によって違ってくる?
アバター
2010/05/15 14:07
新たなミッショッション。
どのような敵の罠があるか、テーマにつながる伏線
そういったものがラストにつながると、お話しは盛り上がります。



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