道案内@銀座⇒有楽町駅⇒目白駅
- カテゴリ:人生
- 2010/05/09 23:20:37
日曜日の銀座の大通りは、文字通り歩行者天国になっており、3車線(2車線だったか?)の道路は全て歩行者専用道路になっている。
銀座の一番大きな交差点の近くにある文教館という本屋の4階の喫茶店の窓際で、コーヒーを飲みながら歩行者の様子を眺めていました。
人は、どうして生きているんだろう。
コーヒーを飲み終わって、清算を済ませ、店を出ると、そこは5メートルほどの廊下に続いていて、その先にエレベーターがあります。
このとき、時刻は4時30分。用事があって5時に渋谷に集合する予定だったので、エレベーターで1階まで降りることにしました。
で、エレベーターが来るのを待っていたら、盲目の老人が一人、うろうろしているを見かけました。そして、エレベーターが4階に到着したことを告げる、「チン」という音に、「ん、ここはどこだ?」という表情と、何か頼りなさげな独り言をつぶやいていました。
「下に向かうエレベーターが、到着した音ですよ。」と僕は言いました。対しておじいさんは、「エレベーター、ああ、乗りたいのだけれど、どこだい?」と僕に問うてきました。
「こっちです。あ、花瓶があるので気をつけてください。ここが入り口です。何階に行きたいのですか?」「1階に。電車に乗りたいんだよ。」
今日は歩行者天国。盲目の、杖をついた老人が一人で駅にたどり着けるのか不安になったので、おせっかいかも、と思いながら、尋ねました。
「電車は、何線ですか?」「目白まで行きたいんだけれどねぇ」
盲目の老人は、そう言いながら僕の方を向きました。左目が完全に閉じています。右目も、僕の頭のはるか上を見つめています。うん、完全に見えていない感じがします。
「目白、でしたら、山手線ですね。僕も渋谷に行く用事があるので、一緒に行きましょうか。」
これは、本当におせっかいです。待ち合わせに遅れることは確実。でも、この老人を銀座にほっぽり出すことは、僕には耐えられない。
というわけで、老人と共に、その本屋さんから出て、JR有楽町駅まで歩いていって、山手線に乗って、目白まで向かいました。
歩いている最中、盲目の老人が僕に対して言ったこと、「君は、金融系に勤めているのかい?」「年齢は、27歳くらいかね?」「身長は、180センチくらいかな?」とか、僕に対する特徴を、声だけで全て言い当てたところが、驚愕に値するほど正確でした。
有楽町駅から山手線に乗り込んで、立ち話をしながら目白駅に向かい、駅に着いて、折角なので(というか、降りたドアから改札口までの距離が半端なく遠かったので、不安になったから、そのまま渋谷駅に行こうかと思ったけれど、思いなおして、僕も電車を降りて)駅の改札口まで一緒に行って、帰りに握手をして帰りました。
当然、渋谷の集合時間には30分以上遅刻してしまいましたが、僕は、僕の行ないに対して否定も後悔もしていません。
そんな日曜日の午後でした。