機心<3.1>
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/03 13:56:03
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「この支援AIのアーキテクチャには問題があるのではないか?」と、ログのリロードを中断し李部長。「完全自閉モードでの自我自制の閾値がまるでなっていないではないか。先にリリースされたDGS-65と同様、機動戦闘ユニットのアーキテクチャ・コアはラプター・コアにすべきだったのではないか?」
ブリーフィングルーム内にDX-70の仕様情報を呼び出す。
参照:機動戦闘ユニット・ポッド。
アーキテクチャの項目/そこにはDDD-7の文字。
参照:DDD-7
DDD‐7 : オプティカルインフォネットの販売する情報ペット用AI。
シム-ステイツ内で飼う(所有する)ことのできる通称、電犬と呼ばれる電脳情報ペット。正式名称はデジタル・データ・ドギィ。
DDDシリーズは3D犬ともいわれるオプティカルインフォネットのヒット商品で、1-チワワ、2-ダックスフント、3-プードル、4-柴犬、5-ブルドッグ、6-レトリーバー、7-ハスキー、8-シェパード、9-ドーベルマンといったスタンダードバリエーションから、10以降のマニア向けのシリーズなど多種多様なバリエーションを持つペット用AIである。
「ご説明いたします」と、答えたのはメアリー・シャロン。「今回のDX-70にラプタータイプのアーキテクチャ・コアを採用しなかったのは、新たに追加されたサブ・データリンク・ファイア機能のマッチングがラプターよりドギィの方が適性が高いという検証結果が出たからです」
シャロンはレポートを呼び出す。
「ふむ。ドギィには本来の習性として、パック(群れ)機能が組み込まれているからだろう?」と、そのレポートを参照し李部長。「今回のプロジェクトの売りは、その連携性の高さだからな」
そう、ドギィのアーキテクチャ・コア設計には犬の脳の基本構造が用いられている。
したがって、その本能、習性はシステムを構築してゆく過程で反映されるのだ。
それは、シム-ステイツのドメインや機動戦闘ユニットでも、自己拡張型回路を持つニューロチップやある一定上の機能拡張を許容しうるRAMチップなどのシステム構築環境さえ整っていればそのように発展を遂げる。
それを見越した上で、DX-70の機動戦闘ユニット/完全自律制御回路のアーキテクチャ・コアは選定された。DDD-7に。それもオオカミに近い最も戦闘能力が備わっているとされるバージョン2.3.2が。
2.3.2はDDD-7の中でも特殊なバージョンだ。
開発の切欠は、ある大口ユーザーからの注文だったが、ルナティック技研のセキュルティ部門がそれを番犬用に改造した。
そのセキュルティシステムは、実際にウルフパックと呼ばれ、極めて有用な物理的防犯システムとしてリリースされている。
また同じく8、9のタイプにおいてもペット用としてだけではなくセキュルティロボットのメインフレームや戦闘支援AIとしてのバージョンが存在する。
したがって、その選定は特殊なものではなかった。
「しかし、連携性能のポテンシャルの高かったとしても閾値がこれでは運用に差支えるではないか」
「そうです。しかし、ポッド13の評価戦力値は右肩上がりでした。それも他のポッドを圧倒し抜きん出ていた。結果としてシステム全体の防御力評価も向上傾向にあった」と、エリクソン。「我々はその要因の一つとしてこのアーキテクトを評価していましたが、このケース事態は一変しました」
「だろうな。サブ・アーキテクトのシステムバッファがその傾向を反映させるのだから」
「そうです。味方殺しを容認すれば、システムは破綻してしまう」
「ただちにポッド13並びに近親系列にあるシステムの一部を、機動戦闘システム群を同時並列的にサブ・アーキテクトのリセッティングを施行いたしました」と、メアリー・シャロンはそのレポートを召喚。「加えて理論汚染を防止するアップデートを施しました」
レポートにはグラフ。
閾値が平坦化=安定する傾向が示されていた。
システム全体の安定化=理論志向構造のパターン化が進行している。と、解釈できる。
その後、各システムにこれといった異常は見受けられない。
そのアップデート・プログラムは効果を奏した訳だ。
「しかし、続きを」と、エリクソンはタイミングを見計らって言った。
ふむ。と、促された李部長はシステムログのリロードを再開する。
<go to 3.2>
早とちりだったw
犬型AIを搭載した鋼翼(主人公?)君は、この為に「友軍機殺し」の扱いを受けてるのかな。
<ルーベン>のAIが鋼翼君の思惑に対応出来なかった事が問題の様な気もするね。
おはるさん、みはるさん、酒井しのぶさん──あたりはミステリー系で、熟練した構成力・文章力があり、出版界・web上でも、評価されていらっしゃいます。
副管理人の咲さんは、純文系で平易な美文をお書きになります。
leaigleさんは、ファンタジー系で、やや文章に不慣れなところがありますが、登場人物が生きており、世界観の出し方も卓越しています。
ぜひ参考になさり、吸収できるところは吸収されるといいでしょう。作品をぜひ盛り上げてくださいね。期待していますよ。
使命感をもって国家のために闘い。戦争の矛盾を感じ、仲間あるいは敵と友情や恋をしたりして悩み、乗り越え、そして見せ場で戦闘をみせる。基本的な構造「定石」を活用しましょう。たとえば、アニメ映画『ナウシカ』を引き合いにだしてみましょう。
起部での伏線の設置。人々に忌み嫌われる「腐海」に登場するユパとナウシカを思い起こしてください。視聴者は、(なんだこれは?)と食らいつきます。
床部で、無茶苦茶な世界の中にも、「風の谷」のような生身の人間が暮らす世界(小宇宙)があり、視聴者はほっとします。ところが、工房都市国家が、巨神兵を掘り起こしてしまったために、侵略者トルメキア王国のクシャナの軍隊に占領され、捕虜となった王女が、「風の谷」に不時着。とばっちりをくった「風の谷」はトルメキアに占領される。
妹を追いかけてきた工房都市の王子は、やがて、ナウシカに合流。二人は「腐海」の深部にむかい、実は毒を吐くその森が、「浄化装置」であることを悟る。(←これで冒頭の伏線の謎解きとなる)
転部で、「化学」を盲信するクシャナは、子供のオームを囮にして、おとなのオームをおびきよせたところを、「巨神兵」で一網打尽にする計画をたてるが、オームの数が圧倒的であること、巨神兵の復活を急ぐあまり故障してしまったこと──によって失敗。数少ない人間のオアシス「風の谷」もまた、「腐海」にのみ込まれる直前。ナウシカが命がけで割って入り、オームの怒りを静める。
結部で、トルメキアのクシャナが、兵を戦闘飛行艦「バカガラス」に収容し、本国に引き返す。そして浄化された「腐海」の奥で、本来あるべき樹木の新芽が顔をのぞかせる。(← 伏線のだめ押しとなる)
詰め込みすぎている感じがします
あせらずに、人間の描写をしたほうが……
(すみません)