Nicotto Town



機心<2.1>




汝はいかなる存在か?

>我は、ルナティック技研製セキュルティパッケージ/拠点防衛システムDX-70 Ver.1.7.3 機動戦闘迎撃ユニット FA‐5


汝の存在意義は?

>防衛領域に侵入するすべての敵対存在を、すなわち我の敵を排除/掃討するために存在する。


汝の名は?

>ポッドNo.13 パーソナルネームは「鋼翼」



まどろむ意識のかなた、我を呼び醒ます信号を受信。
我は、自我の覚醒を意識/認識する。
起動。
うぇいくあっぷ。

我は、ルナティック技研製拠点防衛システムDX-70 Ver.1.7.3 機動戦闘迎撃ユニットに組み込まれた独立機動戦闘ユニット・ドライバ、ポッド13。名は、鋼翼。
マザー及び他の戦闘ユニットにはPod13と認識/呼称されているが、ある教導パッケージはこう呼んだ。
「お前は鋼翼だ。鋼の翼。いいな? いいだろう? お前の名前は鋼翼だ」
その教導パッケージは一方的にそう認識しているようだ。
したがって、我はPod13/鋼翼と自身をそう自認する。

マザーからミッションが通達される。
それは、行動理念であり、存在意義を証明するもの。
我は、ミッションを遂行するために存在し、完遂することによってのみその存在意義を証明できる。
それを達成することが義務であり、快感であり、歓びである。

ミッション内容を認識。
それを理解することにたまらない興奮を覚える。
待ち遠しさに焦がれ、戦慄を覚える。
したがって、発進時のボルテージは極限に達する。
その高揚感と電磁場の本流が、その本能を発火させるのだ。

ミッション・ゴー。
座標インジケーターの数値が跳ね上がるのと同時に、その闘争心をむき出しに。
堪らない。満たされない欲望を思考全体から噴出させ、その飢えを満たすために試練に挑む。
焦燥×戦慄×興奮=フル‐ドライブ。
出力最大でその座標へ。
欲望の絶頂へと翔け上がる。

その最中、思考の中を鈍いものが浮き上がる。
それが敵だ。
任務を妨げる存在。
ノイズ/障り/煩わしさ=障害。

挑め! 貫けっ!! 突き破れぇッ!!!

欲望が思考の中で絶叫する。
そして、その衝動はただちに実行に移される。
標的をロックオン/誘導機雷を選択。
放出。

殺到する光線。
閃光。
それは膨張しエネルギー波となって拡散する。
追いつく衝撃波、爽快感が翔け抜ける。

イヤッホゥッッ!!!

満たされる欲望。
障害の破壊/消失。
高揚感=爽快感=達成感=満足感。
それらが思考の中で一斉に鳴り響く。
やめられない至福感。
恐悦至極。
感無量。
それが我のミッションに対する認識だった。
その瞬間までは。


そのミッションは、カテゴリ5/強襲防衛戦だった。
1から5まであるミッションカテゴリのカテゴリ5はDX-70システムをフル稼働させた最大防衛モード。DX-70を構成する128台の局所迎撃砲台<ピットファイア>/64体の防塁壁面<ディフレクション・スクリーン>/32基の誘導機雷塔<シーカサイト>/16機の機動戦闘迎撃機〈Fa-5〉/8基のリニアレールカノンのすべてを起動/出撃させる。

マザーからのミッション情報によれば、このミッションには、我を含むDX‐70に加え、複数の教導パッケージ/イージス・タイプの戦闘群が5/DA‐32<アドバンスド‐リングファイア〉が参加し、これまでにない大規模戦闘状態での拠点防衛任務を想定したものだった。
したがって敵の数も火力も通常の襲撃とは桁が三ケタ違い。
ロードオブデストロイを中核として、機動母艦/強襲フリゲート/潜航艦など一個艦隊による総攻撃的火力。それは小惑星防塁を消し炭にできる火力だ。

ミッション開始時刻。我を含む迎撃戦闘ユニットは、発進後、デルタフォーメーションで教導パッケージの支援任務に就いた。

教導パッケージは、マザーと同位あるいはそれ以上の指令権限を有するユニット。
戦闘領域全体をカバーするリングファイアネット統合情報系とは別の独立指令系としてミッションに参加/指令を発令する場合が多い。
その形状/役割は様々だが、教導パッケージと呼ばれる個体は、必ずひとつないし複数の独立思考系を搭載し、それは完全に孤立/自律的に起動している。そして、すべての形式に当てはまるが、教導パッケージを搭載する個体はそれを搭載しない個体に比べ機動性/出力/火力の面において劣る傾向がある。
また、教導パッケージは対情報戦を考慮して設計されたのか、完全自閉系のユニットであり、DX-70のシステム群及び他の連携体系の友軍とは違って、同期フォーマットを持たず、独自のインターフェースを介してのみの間接的な情報交換しかできず、その反応速度も他のそれと比べて非常に遅い。そのため極めて非効率的かつ限定された情報共有しかできなかった。

しかし、その存在は必ず一つ以上がミッションに介在し、それによって我の存在意義は肯定されるのだ。

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2010/05/11 19:02
↓コメントに言葉が足りなかったので追記させて頂きます。m(_ _)m

用語解説はいちいち「本文中に入れて欲しい」と言っているのでは有りませんので。
(本文中に解説を入れてしまうと、ドッグファイトの緊張感とスピード感が損なわれてしまう事は
僕にも判りますから)

『押井 守』さんという有名な映画監督さんがおられますが、僕にはこの方々の作風が肌にあいません。
個人的には「理屈ばかりでウザイ」と感じます。
しかし国内と海外で高い評価を受けている方です。
ですから、「作風は万人受けしなくてはならない」わけではないと思います。
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2010/05/11 16:55
ポッドNo.13 「鋼翼」
『序』で出てきた「友軍機を攻撃、撃墜した」奴ですね。
何故「友軍機を攻撃」したのかが、今後明らかになるかと思います。
続きを読んでいきますね。^^

ここまで読んだ感想ですが...「格好良いけど、僕には敷居が高い」です。
SF物は結構好きなんですが、歳のせいなんでしょうね。(新しい用語系が判らんw)
ゲームの『エースコンバット』・『アーマードコア』・『バルドヘッドシリーズ』で見かけた用語が
出てきますが、SF&ミリタリー系の知識が乏しいと文面を理解するのがかなり厳しいです。
個人的意見で恐縮ですが、何処かに用語解説が有ると嬉しいですね。
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2010/05/08 22:16
あー……『雪風』に雰囲気が似てますね。
あれは三人称視点ですが。
アバター
2010/04/29 21:18
詩的な描き方ですね。
物語のでだしをみていません。
近々──



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