ロード・ダンセイニ
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/02/04 00:07:30
ロード・ダンセイニの『ペガーナの神々』
指輪物語がかかれるよりはるかにむかし
ちょうど,一世紀ほど前の1904年に当時26歳の
アイルランドの幻想文学作家ロードダンセイニの処女作
として描かれた.ケルト文学の系譜にある本のこと.
この世の中がどうやってうまれてきたのか
神様達の世界のエピソード,神話世界...
特異な神々の物語がたんたんと語られて
宇宙模型のイメージがつづられている.
僕らの世界へのイメージの教科書
とっても,めずらしい,おはなしの本があります.
『ペガーナの神々』(創土社1975刊)
(早川文庫1978刊)(河出文庫2004刊)
Peganaとは,Pegan(異端)+Arcana(秘事)の造語.
マアナ=ユウド=スウシャイという宇宙の創造者が
うたた寝に見る夢が,この地球や,神々の住む世界
(=ペガーナ)だと.そして,ペガーナは永久運動機関
として海に浮かんでいる.
この世が始まるまえに”宿命フェイト”と”偶然チャンス”が
サイコロをふって勝負して,勝ったほうが,その勝者に従う
神々をつくらせたんだって...こうしていろいろな神々が
うまれてくる...
ぼくは「太鼓手」スカアルと,いろんな神々のなかで,
「愉悦と吟遊詩人たちの神」リンパン=タン,がすきです.
マアナ=ユウド=スウシャイが神々とスカアルを創りだし
スカアルは自分で太鼓ドラムというものをこしらえばちを
ふりはじめた.すると,神々を創るのに飽き飽きしてスカアル
のうちならす太鼓に耳をかたむけたマアナはついうたたねに
さそわれて,眠りにおちてしまう.
スカアルはペガーナの神々よりも上座にいて横になった
マアナ=ユウド=スウシャイのあしもとにたちこめる霧の
なかにすわりこんで太鼓をたたいている.
数えきれないほどある下界と天界は,どれもが,このスカアル
のうちならす太鼓のこだまにすぎない,とある者はいい,
またある者は,それら,大地と星ぼしとは,ちょうど歌声に
眠りを乱されたひとが不思議な夢を結ぶのと同じで,マアナが
スカアルの鳴らす太鼓にうながされてむすんだ,ただの夢に
すぎないのだ,ともいう.どちらが,ほんとうか,うそかは
だれにもわからない...
なんだか,クラブの低音に体を揺らせて夢見ているときのようだね.
「愉悦と吟遊詩人達の神」リンパン=タンは不変の虚空を飽かずに
見上げる人々が疲れない為に「夜明け」と「宵やみがせまる寸前」の
2回づつ,毎日毎日空に青を色どる2枚の絵を描く.その絵は毎日
どれも2枚とはなくちがったものにしようと神々にやくそくして.
音楽の出てくるところを引用してみよう..
リンパン=タンのために楽のねはある.
彼の召使いである風が,世界のあちこちから吹きわたってきたとき.
そこからリンパン=タンの旋律をこしらえた.
やがて夜になって湧きあがったその歌は.川のように世界のあいだ
をくねり,ただよい,ながれていった.
そして,その旋律を聞きつけるものがあちこちにいた.
するとすぐに,歌声をもつものが,音楽にあわせこぞって
かれの霊にさけびかけた...
北欧の静寂と,ピンとはりつめた空気がつめこまれたような
こういったケルトの神話,むかしばなしから.
僕の音楽体験の原風景がうかびあがってきます.
死ぬまで胸にかかえておきたい,おさないころに
きかせてもらいたかったおはなしは,
この一冊のファンタジーです.
今なら文庫で読めますよー,音楽ファンのみなさんへ♪
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620円です。大切な夢がつまっています
ケルト神話、聞きかじり程度の知識しかないけれど好きです(^^)