山あいを走るバスの怪①
- カテゴリ:マンガ
- 2010/04/23 22:57:53
バスがカーブを曲がってくるのがやっと見えてきました。山あいにぽつんとあるバス停です。土曜日の午後4時を過ぎています。バスを待っているのは、文香とおねえちゃんだけでした。
お姉ちゃんがバスをにらみます。
「本数はすくないし、こんなにおくれてるし、しずおばさんとこってほんとにふべんよね」
しずおばさんは、山里のいなか家に1人ですんでいます。
「かえるの、おそくなっちゃったよ」
文香もバスをにらみました。これから家まで、バスと電車で一時間半もかかります。文香は、今日は、おねえちゃんと一緒に、おばさんの家へ来ていました。さいきんふさぎこんでいるしずおばさんを、元気づけに来ていたのです。
しずおばさんは、山里で草木染の仕事をしている、お母さんのお姉さんです。
おばさんの家には、何度も来た事がありましたが、「バス停へ行く元気が出ないのよ」と、いって、おばさんがバス停まで見おくりに来ないのは、きょうがはじめてでした。
ようやく来たバスに、文香もおねえちゃんもほっとしてのりこみました。天気はいいのに、なぜだか車内はうす暗く、ほかに乗っている客はいませんでした。
バスが発車してまもなくです。
文香は、「へんねぇ。見てよ、ふみ」、窓がわにすわったおねえちゃんに、ひじをひっぱられました。お姉ちゃんは外を指さしています。見ると、きりがではじめていました。、晴れた日のこんな時間に、きりがでるなんて、いくら山里でもへんでした。
きりは、どんどんこくなっていきます。バスがスピードを落としました。窓の外は、まっ白で、すぐそばの景色も見えません。とうとうバスは、とまってしまいました。外を見たまま、おねえちゃんは顔をしかめています。
文香は、「あーぁ」と、座席からのびあがって、運転席のほうをみてみました。プシュッと音がして、運転席のそばの乗降口のドアが開いたようです。運転手がゆっくり立ち上がるのが見えました。
つづきは②で。
いつ更新するんですか?
怖い??