機心<序>
- カテゴリ:自作小説
- 2010/04/15 03:12:20
序
世界五大電網の一つ、シム‐ステイツ。
その中核に据えられし巨大な銀色の正十二面体のオブジェクト=電脳情報管理塔。
通称:ソリッド。
シム‐ステイツを事実上管理運営する多国籍企業体:オプティカルインフォネットの管理ドメイン群のひとつ。
オプティカルインフォネット=月圏最大のグループカンパニー。
あなたの生活と安全を守る企業、オプティカルインフォネット。
月の威光にして、地球の敵。
シム‐ステイツの守り月。
その一角にブリーフィングルームは設けられた。
白いパースペクティブに浮かぶアバター。
集められたのは、そのプロジェクトの中核を成したメンバー。
オプティカルインフォネット系列の軍事コンサルタント、ルナティック技研メンバーだ。
始めましょう。と、切り出したのは、メンバーを総括するチーフ、エリクソン。
「事例はこの一例だけだと聞いたが、事はそれほど重大なのか?」と、初老の女性。ルナティック技研、システム開発部門の李部長。
「その原因がわからない。という点です」と、ドットアバター。
名称表示はメアリー・シャロン。
肩書はプロジェクトのシステム開発チーフ。
「ほう? 友軍機を攻撃、撃墜した。単なるシステム・エラーではないのか?」
「後に100回施した検証実験でこのケースは起こりませんでした」と、エリクソン。「今回の問題はシステムエラーではなく回収されたシステム・ログの内容です」
「回収されたログ?」
はい。と、応え、エリクソンは、ルーム内にシステム・ログをリロードした。
鋼の翼を持つ者也’
「なんだ。これは?」
「わかりません。ミッション中システムはパーフェクトクローズドモードですからモニタリング・ログは残っていません。このログの直後システム・エラーが生じました」
「しかし、検証では何も起こりませんでした」と、シャロンが補足する。
「進めます」と、エリクソンはリロードを再開した。
<とぅーびーこんてぃにゅー>
「仮想世界」・・・難しい表現ですね。
おそらく、物語の中の現実(私の表現では物理空間と呼んでいます)と物語の中でのインターネットのような情報による仮想の空間(個人的には電脳空間や情報世界という表現を用いることが多いです)を隔て、後者を「仮想世界」とさしているのであれば、ここではその通りです。
世界自体は、現実を基とした近未来、惑星間から恒星間航行が可能になった世界を想定しています。
ここでの描写は物理空間ではなくインターネットのような通信空間内での会話です。
『ミッション』というのは、プロジェクトの連中が開発している製品の実証検査項目と考えてくれればわかりやすいかと思います。
こんな感じなのですが、どうでしょうか?
取り敢えず舞台は、「仮想世界」の話なわけね。
で、『ミッション』っていうのは、何?
リアルな世界では「作戦」とか「使命」なんだけど、この『ミッション』は仮想世界内限定なの?リアルな世界に反映されるの?